Kip学伸のブログ



【学校対決シリーズ】① 「女子学院 × 桜蔭」 「自由な自主性」vs「規律ある学力」— どちらがお子さんに合うか

カテゴリー:学校紹介2026.08.16

  1. はじめに

こんにちは。今回から新しい「学校対決シリーズ」という企画を始めていきます。初回は女子御三家の中でも特によく比較される二校、女子学院桜蔭を取り上げます。

 

どちらも全国最難関の女子校ですが、偏差値だけ見ると「桜蔭の方が上」です。しかし、実際にわが子をどちらかの学校に通わせるとなると偏差値以上に大事なのが「校風がお子さんに合うかどうか」です。

 

女子学院は「自由の女子学院」と呼ばれ、校則がほとんどなく、生徒の自主性に任せる校風となっています。一方の桜蔭は「学業を究める」という言葉が象徴するように、規律と学力を重視する校風です。

 

本日は「面倒見」「自由度」「進学実績」「学習環境」「通学のしやすさ」「学費」6項目で点数化し、それぞれのご家庭にどちらが向いているかを一緒に考えていきましょう。

 

  1. 軸の説明

比較する前に、今回の軸を整理します。

 

自由度:校則の有無、制服、生徒の裁量の大きさ

面倒見:先生からのサポート体制、補習や進路指導の手厚さ

進学実績:東大・難関大学、特に医学部を含めた合格実績

学習環境:授業のスタイル、探究学習やグローバル教育の有無

通学のしやすさ:立地、アクセス、周辺環境

学費:6年間でかかる総額の目安

 

この6項目を5点満点で採点していきます。あくまで「傾向」としての採点で、優劣をつけるものではない、という前提でご覧ください。なお、今回の点数はあくまで一般的な情報をもとにした一つの見方であり、絶対的な評価や優劣を示すものではありません。お子さんに合うかどうかは、ぜひ実際に学校見学や説明会に足を運んで確かめてみてください。

 

  1. 女子学院の評価

 

良い点・特長

– 校則がほぼ存在せず、制服も基本自由。生徒の自主性・自立心を育てる校風が最大の特徴

– 「これしなさい」ではなく「自分で考えて動く」文化が根付いており、行事も生徒主体で運営され る

– 立地は一番町、各国大使館が並ぶ閑静で治安の良いエリア

– 進学実績も極めて高く、2025年の東大合格者は28名(現役25名)。早慶上理には451名が合格しており、進路の幅が広い

 

良くない点(向かない家庭)

– 自由度が高い分、「手取り足取り管理してほしい」というご家庭にはやや物足りなく感じる可能性

– 校則や制服がない分、公式説明会などで「うちの子は自分で管理できるか」を見極める必要がある

– 2026年入試からキリスト教主義の礼拝を優先し、試験日が2月2日に変更(サンデーショックの影響)。併願戦略の見直しが必要

 

点数

| 項目 | 点数 |

 

| 自由度 | ★★★★★ (5) |

| 面倒見 | ★★★☆☆ (3) |

| 進学実績 | ★★★★★ (5) |

| 学習環境 | ★★★★☆ (4) |

| 通学のしやすさ | ★★★★☆ (4) |

| 学費 | ★★★★☆ (4) |

 

「※点数はあくまで一つの見方であり、主観を含みます」

 

 

  1. 桜蔭の評価

 

良い点・特長

– 女子最難関の学力層が集まり、進学実績は女子校トップクラス。理系・医学部志向の生徒にも強い

– 「知的な刺激」に溢れた本郷エリアに立地し、東大が近く、勉強への意識が自然と高まる環境

– グローバル教育や探究教育、感性表現教育にも力を入れており、単なる詰め込みではない学びを提供

– 同じ目標に向かう仲間の質が高く、勉強面での相乗効果が期待できる

 

良くない点(向かない家庭)

– 校風としては規律や学業重視の色合いが強く、「もっと自由にのびのび過ごしてほしい」というご家庭には合わない可能性

– 偏差値・入試難易度が女子校の中でも最高峰(四谷大塚基準で偏差値70)のため、入試そのもののハードルが非常に高い

– 学力面での競争が激しい環境になじめるかどうか、お子さんの性格を見極める必要がある

 

点数

| 自由度 | ★★☆☆☆ (2) |

| 面倒見 | ★★★★☆ (4) |

| 進学実績 | ★★★★★ (5) |

| 学習環境 | ★★★★★ (5) |

| 通学のしやすさ | ★★★☆☆ (3) |

| 学費 | ★★★★☆ (4) |

 

「※点数はあくまで一つの見方であり、主観を含みます」

  1. レーダーチャート

 

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6項目を並べると、女子学院「自由度」で突出し、桜蔭「学習環境」「面倒見」でやや優位という、きれいな対比になります。進学実績はどちらも高水準でほぼ互角で、特長の異なるまさに対決にふさわしい二校です。

 

 

  1. 結論

本日の話をまとめますと、「自主性を伸ばしたい、自分で考えて行動できるタイプのお子さん」であれば、女子学院。「学業への集中力が高く、規律ある環境で切磋琢磨したいタイプのお子さん」であれば、桜蔭となるでしょうか。一般的な評価とほぼ一致していると思います。

どちらも最難関の女子校であり、「どちらが上か」ではなく「どちらがお子さんの性格に合うか」で選ぶことがもっとも大切です。偏差値だけで決めず、ぜひ文化祭や学校説明会に実際に足を運んで、お子さん自身の反応を見てあげてください。

 

補足:出典・注意事項

– 偏差値・進学実績データは四谷大塚、SAPIX等の公開情報および各校公式サイトを参考(2026年時点の情報)

 

 

【総合型選抜】ボランティアはもう武器にならない? 差がつくのは 読書 かもしれない話

カテゴリー:大学受験2026.08.09

夏休みに入り、総合型選抜の対策を本格的に始める受験生も多い時期かと思います。本日は、総合型選抜入試の対策として、よく使われてきた「ボランティア活動」について、今の時代にどこまで効果があるのか、そして代わりにどんなことが差別化になり得るのかを、お話ししてみたいと思います。というのも、総合型選抜入試のような試験形式は、通常の学力テストのようなものと異なり正解がありません。正解がないからこそ、他の受験生との「差別化」というのが重要なキーワードとなるからです。

結論から言うと、私は「本を読むこと(学びたい分野に関するもの)」のほうが、今はかえって目立つのではないかと考えています。その理由について、順を追って説明します。

なぜボランティアが効かなくなったのか

一昔前は、ボランティア活動をしていること自体が評価される時代がありました。継続的に社会と関わってきた経験は、それだけで説得力があったからです。特に、自分の進みたい分野、たとえば教育学部に進みたいという人が、教育系のボランティア活動をしていたとなると、それだけで、説得力は増すものです。ところが今では、総合型選抜対策を専門とする塾がボランティア先まで紹介するようになりました。どんな活動をして、どう志望理由書に書けば評価されやすいか、というノウハウがすでに出回っているということです。

その結果、何が起きるかというと、面接官からすると「みんな似たような話をしている」、あるいは「みんな同じような活動をしている」という印象になります。もちろん、活動そのものが悪いわけではないのですが、対策されつくしてしまうと、差がつく材料としては弱くなってしまうのです。

差別化が均質化していく仕組み

ここで少し整理しておきたいのが、ボランティアに限らず、あらゆる「差別化要素」がたどる道筋です。だいたい次のような流れになります。

1.誰かが独自の取り組みを始める 最初は誰もやっていないので、それだけで目立ちます。

2.評価される事例として広まる 合格実績として語られるようになり、「あの活動をすると評価される」という情報が広がっていきます。

3.塾がノウハウとして体系化する 効果があると分かった時点で、対策できる形に落とし込まれます。ここまで来ると、誰でも同じような形で取り組めるようになります。

4.均質化して、差別化効果を失う みんなが同じことをするようになると、もはや差はつきません。そして次の「まだ対策されていない何か」が探されるようになります。

ボランティアは、今まさにこの4番目の段階にいると私は見ています。そして、次に来るものとして今のところ手つかずに近いのが「読書」ではないかと思っているのです。

図:差別化から均質化へのサイクル

 

画像1

なぜ読書が今、差別化になり得るのか

大学が総合型選抜で見ているのは、突き詰めると「学問に対する関心の深さ」「自分で問いを立てて考える力」です。読書、それも学びたい分野に関するものは、この二つをもっとも自然な形で示せる材料になります。ボランティアのように場所や機会に左右されず、家でも取り組めるという点も、夏休みという時期には向いていると言えるでしょう。

また、読書はまだ「対策の型」が広く出回っていない分野です。もちろん今後、読書対策塾のようなものが出てくれば、いずれ同じように均質化していく可能性はあります。そこは踏まえておく必要があります。加えて、大学の先生、特に文系の先生は本を読むことが仕事の一部であり、膨大な本を読んできた人たちです。ほとんどの先生は、現在の学生が本を読まないことを残念に思っているでしょう。そこに、本をしっかりと読みこんでいる受験生が来たら、それだけでも心をつかむことができると思います。

ただし「読んだだけ」では意味がない

ここで一つ、釘を刺しておきたいことがあります。読書そのものが評価されるわけではない、ということです。何百冊読んだか、有名な本を読んだかどうかは、実はそれほど重要ではありません。大切なのは、その本から自分がどんな問いを持ったか、その問いに対してどう考え、何を調べ、何を行動に移したか、という一連の流れです。

つまり、読書もまた「読んだ」という事実だけを並べれば、いずれボランティアと同じ道をたどります。型化できないのは、活動の種類そのものではなく、そこから生まれる自分だけの思考プロセスなのです。この点を見誤ると、せっかくの読書も差別化にならなくなってしまいます。

夏休み中にできる実践

では具体的に、夏休みの間に何をすればよいのでしょうか。二点にまとめます。

1.学びたい分野に関する本を選ぶ 興味の入り口となる新書や、志望する学部に近いテーマの本から始めるのがおすすめです。難易度が高すぎる専門書よりも、まずは自分の言葉で語れるレベルのものを選ぶほうが良いでしょう。

2.読んだ後に「問い」を言語化する 読みっぱなしにせず、読んで疑問に思ったこと、もっと知りたくなったことをメモに残しておきます。これが、後で志望理由書や面接に落とし込む際の材料になります。

まとめ

以上、ボランティアが差別化になりにくくなってきた背景と、代わりに読書が持つ可能性についてお話ししてきました。大切なのは「ボランティアが悪くて読書が正解」ということではなく、どんな活動であっても、いずれ対策されて均質化していくという構造そのものを理解しておくことです。そのうえで、今の時点でまだ対策されつくしていないものに取り組みつつ、そこから生まれる自分自身の問いや思考を大事にすることが、結果的に一番の差別化になるのではないかと思います。

夏休みという時間のある時期だからこそ、一冊の本とじっくり向き合ってみることをおすすめします。

お盆休みのお知らせ

カテゴリー:お知らせ2026.08.07

8月10日(月)~8月13日(木)は塾がお休みとなっております。お間違いのないようご注意ください。

YouTube登録者数3,700名突破!

カテゴリー:お知らせ2026.08.07

お陰様でYouTubeの登録者数が3千人になりました。

ありがとうございます。

毎週日曜日の20時に発信しておりますので、ご登録よろしくお願いします。

 

動画はこちら

塾の空席情報

カテゴリー:お知らせ2026.08.05

現在すべてのコースが定員に達したため募集を停止しております。

 

10月より、新高3生(現高2生)の募集

新小4生(現小3生)の予約受付を開始します。

 

 

小学生

私立中学受験コース

4年~6年→満席

東大付属コース

満席

小学生コース

満席

中高生

私立中学生コース

満席

大学受験準備コース(中3~高2)

満席

10月より新高3生(現高2生)の募集を開始します

大学受験コース(高3生)

満席

【衝撃】芝浦工業大学がここまで難しくなった理由

カテゴリー:大学受験2026.08.02

みなさんは、芝浦工業大学と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか。保護者世代の方であれば、「理工系では有名だけれど、MARCHより少し下くらいかな」というような印象をおもちの方も多いのではないでしょうか。

 

そのようなイメージしか持たれていない方は、現在の芝浦を知ると、驚くかもしれません。レベルが上がっているからです。芝浦工業大学は近年、受験生からの人気が高まり、難化が続いています。しかし、今日お話ししたいのは、「偏差値が上がった」ということではありません。

 

じつは、昔から企業は芝浦工業大学を高く評価しており、受験生がその価値に気づくまで時間がかかった大学だということです。

 

今日はその理由について、データを交えながら解説していきます。

 

1.偏差値は原因ではなく結果

最初にお伝えしたいことがあります。それは、偏差値というのは、当然ですが、大学の価値そのものではなく、人気が高くなれば上がる数字だということです。

つまり、企業から評価されると、その情報が受験生に伝わり、志願者が増え、その結果として、偏差値が上がるのです。芝浦工業大学は、この流れがここ10年ほどで一気に進みました。

 

実は企業評価は昔から高かった

では、本当に企業から評価されていたのでしょうか。じつはそれを示すデータがあります。大学通信が毎年発表している「有名企業400社実就職率ランキング」によると、

 

2024年度卒業生の実績(2025年7月発表)では、全国総合ランキング

 

5位慶應義塾大学 46.7%

6位東京理科大学 43.6%

7位芝浦工業大学 41.2%

9位早稲田大学 39.1%

 

となっています。 上位には国公立大学や豊田工業大学のような小規模私大も入っているため、私立大学だけに絞ってみると、芝浦工業大学はおおむね3〜4位という結果です(豊田工業大学を私立枠に含めるかどうかで順位が変わります)。

 

もちろん、この数字だけで大学の良し悪しが決まるわけではありませんが、「有名企業への就職」という観点では、芝浦工業大学は全国トップクラスの実績を持っていることが分かります。つまり、企業は以前から芝浦工業大学を評価していたのです。

 

2.「最近良い大学になった」は少し違う

「芝浦工業大学は最近急に良い大学になった」というような声を聴くことがありますが、じつは、この表現は少し誤解があるように思います。というのも、企業は昔から芝浦工業大学の学生を採用してきました。

 

製造業

自動車メーカー

建設会社

インフラ企業

IT企業

 

上記のような企業で多くの卒業生が活躍しています。つまり、企業側はずっと芝浦工大生の優秀さを知っていたのです。一方で、受験生の評価はそこまで高くありませんでした。このズレが長い間存在してきたのが、最近になってなくなってきたのではないでしょうか。

 

ズレがなくなってきたがゆえに、受験生の評価も上がり、結果として偏差値が上がったのです。

 

3.なぜ受験生は気付いたのか

では、なぜここ数年で人気が高まったのでしょうか。理由は大きく三つあります。

 

  • 就職情報が見える時代になった

昔は、「大学名」だけで大学を選ぶ人も少なくありませんでした。しかし今は、

 

就職率

就職先

有名企業就職率

大学院進学率

などが簡単に調べられます。受験生自身が卒業生の進路に関してアクセスしやすくなったのです。

 

  • 理系人気の上昇

また、それだけでなく

AI

半導体

DX

情報工学

 

などの分野が注目され、理工系全体の人気が高まっています。その中でも、就職実績が強い大学として芝浦工業大学が選ばれるようになってきたのでしょう。

 

  • 都心キャンパス

それらに加えて、現在の豊洲キャンパスを中心とした学習環境も人気の理由の一つです。保護者世代が持っている芝浦工業大学のイメージとは、ずいぶんと変わったと言えるでしょう。

 

4.現在の就職力も非常に高い

実際に現在の数字を見ても、芝浦工業大学生の就職は非常に好調です。大学が公表している直近の数字(2024年度卒業生=2025年3月卒業生の実績)では、就職率は99.3%。有名企業400社への実就職率も41.2%と、着実に高い水準を維持しています。こうした数字を見ると、企業からの評価が一時的なものではなく、継続して高いことが分かります。

5.結論

ここまで見ていただくと分かるように、芝浦工業大学は、偏差値が先に上がって評価された大学ではありません

 

企業評価

就職実績

受験生の人気

偏差値

この順番だったのです。つまり、偏差値は原因ではなく、結果だった。これが本日、もっともお伝えしたかったことです。

 

 

29日(水)お休みのお知らせ

カテゴリー:ブログ2026.07.28

7月29日(水)は塾がお休みとなっております。お間違いのないようご注意ください。

東大附属を目指す保護者へ  「自由な校風」の誤解

カテゴリー:中学受験2026.07.26

 本日は東大附属を目指す人に向けてお話をしていきたいと思います。私の塾では東大附属コース」というのがありまして、東大附属を希望される人用のコースがあります。当然、東大附属を目指すうえでの相談をたくさんいただくのですが、数多くの話を伺っているうちに、学校の校風について誤解をされているな、と思うことが多くありますので、そのことについて話をしたいきます。

 

 

【本題1:自由な校風の誤解】

まず、多くの人が東大附属を志望する理由として、「自由な校風」というのを挙げます。「自由」と聞くと、多くの方はこう考えます。

 

  • 校則がゆるい
  • 好きなことができる
  • 型にはめられない

 

たしかに「自由の定義」としては間違ってはいません。しかし、実際に合格した生徒を見ていると、彼らは 「自由だから何をしてもいい」というタイプの生徒ではありませんでしたある程度、言われたことがきちんとできて、その土台があったうえで、個性がある。

こういう人が合格してきました。おそらく、求められる「自由」というのは、 「何もしなくていい自由」ではなく 「土台がある上での、伸びしろとしての自由」だと言えるのではないでしょうか。

そしてここで、もう一つ、非常に多くの保護者の方が誤解されているポイントがあります。それは、

「協調性がなくても、自由な学校だから個性として認めてもらえるはず」

という考え方です。これはおそらく東大附属を誤解されています。協調性がないことを、個性だとは学校側は考えていないでしょう。

 

  • 集団行動が苦手
  • みんなと同じ動きができない
  • 周りに合わせようとしない

こうした特徴を、「自由な校風なら個性として尊重してもらえる」と捉えてしまう方が一定数いらっしゃいます。しかし学校側が見ているのは、「協調性がないなかで光る個性」ではなく、「協調性があったうえで、さらに自分の考えや持ち味を発揮できるかどうか」です。

 

つまり、協調性のなさは土台の欠如であって、伸びしろとしての自由の中身ではないのです。自由な校風の学校ほど、実は集団としての規律や信頼関係を、生徒同士の自主性に委ねている部分が大きくなります。だからこそ、協調性がない子はかえって浮いてしまい、「自由だからこそ求められる人材」からは遠ざかってしまう、ということを知っておいていただきたいと思います。

 

【本題2:向かないタイプの特徴】

では具体的に、どういうお子さんがあまり向いていないのか。 3つのポイントでお話しします。

 

  • 学校の欠席が多い

自由な校風=毎日行かなくていい、ではありません。東大附属は国立の学校ですから、まずは出欠状況を見ると思ったほうが良いでしょう。また、日々の積み重ねや周囲との関わりを 大事にする、といったことも学校の理念に書かれています。学校を休みがちなお子さんは、 土台となる基本的な生活リズムや集団適応の部分で 苦労してしまうケースが多いです。

 

  • 学校の成績(通信簿)がとれない

「自由な学校だから成績は関係ない」 と思われがちですが、これも誤解です。通信簿は、テストの点数だけでなく

 

  • 授業態度
  • 提出物
  • 主体性

 

といった、日々の積み重ねが反映されます。ここが著しく弱いお子さんは、 「言われたことを継続してやる力」がまだ育っていない というサインかもしれません。

 

  • 言われた指示が一回で聞けない

これが実はもっとも大事なポイントです。自由な校風の学校ほど、 先生が手取り足取り教えてくれるわけではありません。一度の指示、一度の説明で 「何を求められているか」を理解して動く力が必要です。これができないと、 自由な環境の中でかえって迷子になってしまいます。

 

お休みのお知らせ

カテゴリー:ブログ2026.07.21

7月22日(水)は塾がお休みとなっております。お間違いのないようご注意ください。

中学受験 ADHDの勝ち方 〜特性を知り、戦略で勝つ〜

カテゴリー:勉強方法2026.07.19

みなさんこんにちは。本日は中学受験のお話です。中学受験の中でも、ADHDの勝ち方とことについて話をしていきます。まずは、最近よく言われるADHDですが、下記のような特徴があります。

 

宿題を始めるまでに1時間かかる。

計算はできるのに、テストになるとなぜかミスが出る。

計画表を作った翌日には、もう崩壊している。

ところが、好きなことになると、何時間でも集中できる。

 

子どもの5%~7%がADHDらしいのですが、明確な線引きは難しいと思います。そうした傾向がある人も含めますと10%程度になるわけですから、けっこうな割合と言えるでしょう。

 

そうしたお子さんをお持ちの保護者の方は、きっとこんな心配をされているはずです。

 

「うちの子、中学受験できますか?」

 

今日は、そのような不安をお持ちの保護者の方に向けて話をしていきたいと思います。

 

第1章ADHDの特性を整理する

まず、ADHDの「あるある」

 

ADHDには大きく3つの特性があると言われています。一つ目は、不注意です。長時間にわたって同じことに集中するのが苦手で、気づけばぼっーとしています。あるいは、だれかが話をしていると、その話を聞いているようでまったく聞いていない、というような状況です。

 

二つ目は、衝動性です。たとえば、問題を最後まで読まずに解き始めてしまうことで、本来であればできる問題も間違いになってしまう。あるいは、思ったことをすぐ口に出してしまうので、「最後まで聞きなさい」と注意されることが多くなります。

 

三つ目は多動性です。じっと座っているのがつらく、体を動かしたくなります。だから、足や手が常に動いています。当然ですが、長時間の勉強はそれだけでストレスになります。

 

ADHDには「強み」もある

 

ここで終わっては弱みばかりで終わってしまいますので、定型発達の子人にはない、強みを見ていきましょう。

 

それが、過集中です。興味のあることに対しては、周囲が驚くほど深く、長く集中できる。これは、受験においても大きな武器になります。また、多様な刺激を求める性質から、同じ問題を繰り返すより、いろんな問題に触れるほうが伸びやすいという特性もあります。さらに、直感やスピードが鋭い人も多い。算数の計算、補助線を必要とする図形問題など、直感で解ける場面では本領を発揮します。

 

つまり、ADHDは受験に向かないというわけではなく、普通のやり方が向かないだけだといえるでしょう。

 

第2章|弱みの戦略〜やられる前に対処する

 

それでは具体的な戦略に入ってみましょう。まずは弱みへの対処から考えています。弱みは「克服」すると考えるのではなく、「仕組みで封じる」というような発想に切り替えましょう。

 

弱み やりがちな失敗 戦略的対処
注意散漫 長時間勉強しようとして途中で崩壊 25分×科目スイッチで集中を細切れにリセット
計画が続かない 月・週単位の計画表を張り出す 「今日やる1枚」だけ決める。計画は毎朝立て直す
ケアレスミス 見直しで防ごうとする 見直しは効かない。「書き直す」前提で最初から解く
衝動性 問題を読み終える前に解き始める 「問題文に線を引く」儀式を毎回挟む

 

ポイント解説

 

25分集中×科目スイッチについて

ADHDの人は「疲れたから休憩」ではなく「飽きたから終わり」になりがちです。だから、科目を変えることで、脳をリセットしながら継続できます。

国語25分 → 算数25分 → 理科25分、というサイクルが有効です。

 

「今日1枚」の計画術について

週単位の計画表は、1日崩れると連鎖崩壊します。ADHDの人には、毎朝「今日これだけやる」と決める超短期計画が合っています。達成感が積み重なることで、継続しやすくなります。

 

ケアレスミスについて

「もっと丁寧にやって」は効きません。見直しも、同じミスをします。効果的なのは、途中式を必ず書く、答えを出したらもう一度最初から解き直す、という習慣です。

 

第3章|強みの戦略〜強みを武器にする

 

次に強みの戦略です。ここが、ADHDの人が定型発達の人に差をつけられる部分です。

 

強み 受験での使い方
過集中 得意科目を一点突破。偏差値を10以上引き上げる「看板科目」を作る
飽き性(多様な刺激を求める) 同じ問題集を繰り返すより、多様な問題演習が合っている
直感・スピード 算数の計算・理科の実験問題など、直感が活きる問題で時間を稼ぐ
興味への爆発力 好きな分野から逆算して学校選びをする(理科好き→理系に強い学校など)

 

特に重要:「得意科目」を作る

 

中学受験の合否は、苦手科目をなくすより、得意科目で稼ぐほうが効率的な場合があります。特にADHDの人は、過集中が発動した科目では異次元の伸びを見せることがあります。

 

まず「この子は何に夢中になれるか」を観察してください。それが算数なら算数を、理科なら理科を、徹底的に伸ばしましょう。その科目で周囲に差をつけることが、合格への最短ルートになります。

 

まとめ

 

本日の話をまとめると、ADHDの人が受験に向かないわけではありません。ただ、普通の戦い方が向かないだけです。戦略を変えれば、武器になります。

 

お休みのお知らせ

カテゴリー:ブログ2026.07.18

7月22日(水)は塾がお休みとなっております。お間違いのないようご注意ください。

夏期講習のお知らせ

カテゴリー:ブログ2026.07.18

7月23日(木)~9月9日(水)は夏期講習期間となっております。通常授業はありませんので、お間違いのないようご注意ください。

なんでダメなの?東大附属 ~不合格になりやすい推薦書~

カテゴリー:中学受験2026.07.15

本日は東大附属の推薦書について話をしていきます。この推薦書は保護者が書くものですので、基本的にはお父さんかお母さんが書くことになると思いますが、多くの保護者の方は、何を書けば良いのと疑問を持たれるのではないでしょうか。そもそもわが子の推薦書を書く機会などなかなかないうえに、短い文の中で何を軸にすればよいのか迷われることになるでしょう。おそらく、ほとんどの塾で添削もしてくれないと思います。今回は特別に、一見良さそうな推薦書なのにダメな推薦書について話をしていきたいと思います。これが分かれば、推薦書の書き方が分からない人でも一気に書けるようになると思います。

話をしていくにあたって不合格になりやすい推薦書の例を二つ挙げてしていきたいと思います。

 

不合格になりやすい推薦書①

息子には「人を笑顔にできる人になってほしい」という願いを込めて名前をつけました。小さなころから家族や友人に優しく、けんかの仲裁役になることも多く、私たちはその優しさを何より誇りに思っています。四年生のとき、クラスメイトが転校する際には、みんなでアルバムを作ろうと提案し、夜遅くまでメッセージを集めてまとめていました。その姿を見て、「人のために頑張れる子に育ってくれた」と感じました。また、地域のイベントで合唱のリーダーを任された際には、家でも一生懸命練習し、本番で感動の涙を流す姿に胸を打たれました。これまでの経験を通して、人の心を動かし、温かい気持ちを届けることに喜びを見出しているようです。感謝の気持ちを忘れず、周囲と調和しながら成長する息子が、貴校の自由でのびやかな環境の中で、さらにその優しさを伸ばしていけることを願い、心から推薦いたします。

 

一読すると非常に良く書けている推薦書に思えます。短い文であるにもかかわらず、感動的にできていると言っても過言ではないでしょう。こんな「感動的推薦書」であったとしても、おそらくあまり評価されないのではないかと思います。具体的に話をしていきましょう。

 

  • 「感動」で止まっていて、「学び」がない

たとえば、「友人を励ました」「感謝の動画を作った」などは、確かに心温まるエピソードと言えるでしょう。しかし、本人がそこから何を考え、どう成長したかがまったく描かれていません。良いお子さんであることは間違いありませんが、東大附属は「良いことをした」よりも「どう考え、どう変わったか」を見たいのです。ですから、感動的なエピソードだから良いというわけではありません。重要なのは、「考えた軌跡」であり、それがなければ評価されません。行動の中に「思考の成長」があるかどうかがポイントです。

  • 「周囲を明るくする」「人を笑顔に」など、抽象的すぎる

上記のような表現は、評価できる内容になっているようで、中身が見えない表現となっています。要は、どんな場面で、どんな行動を取って、どんな結果になったのか、が具体的に書かれないと、説得力が弱いということです。正直に言いますと、「優しい」「明るい」「思いやりがある」といった表現は、推薦書で頻出の形容詞ですが、しかしそれだけに、何百通の中に埋もれる表現でもあるのです。やはりここでも重要なのは、「具体的に書くこと」なのです。

 

  • 家庭の願い」が中心で、子どもの主体性が見えない

全体的に「〜になってほしい」「〜を願っている」など、親の思いが前面に出たものになっている印象があります。本来、推薦書には「親が語る子どもの物語」ではなく、「親が観察した学びの記録」が求められるものです。学校が見たいのは、親の願いではなく、子どもの内側の変化ですから、保護者が主役になってしますと、合格が遠のいてしまいます。

 

  • 「自由」「のびやか」など、どの学校にも通じる締めくくり

結論に書かれている「自由でのびやかな環境で成長できると確信し」というはどの学校でも通用してしまうものです。東大附属の理念(協働・探究・多様性・自己確立)に触れた表現がないと説得力はゼロです。学校の教育理念と響き合う言葉を入れましょう。」

 

 さて、以上の話をまとめますと、推薦書というのは、その性質上良い話が盛り込まれることになります。そこに文章力が加わると感動エピソードの推薦書が仕上がりますが、そこに落とし穴があります。感動的な推薦書は「出来事の報告」になりがちになってしまうということです。東大附属が見たいのは、「行動の裏にある考え」と「他者との関係の中で変わった自分」です。ポイントは、感動よりも思考、体験より気づきということです。
ここを押さえるだけで、推薦書は合格レベルになります。

 

二つ目の例にいきましょう。

 

不合格になりやすい推薦書②

私どもは、娘が常に責任感をもって物事に取り組む姿に成長を感じております。小学校では学級委員としてクラスをまとめ、行事では実行委員を務めました。児童会や係活動でも積極的に発言し、先生方や友人から信頼される存在です。勉強にも真面目に取り組み、宿題を忘れることはほとんどなく、努力家な面が評価されています。また、友人関係でも優しく、困っている子に声をかけたり、協力し合って問題を解決したりする姿が見られました。これまでの学校生活を通して、周囲と協調しながら自分の役割を果たす力を身につけてきたと感じます。貴校でもこの姿勢を生かし、仲間とともに努力を重ねながら充実した学校生活を送ることができると確信し、推薦いたします。

 

  • 事実の羅列

文として何もおかしなところがなさそうなのに、よく読むと、典型的な「不合格の推薦書」になっています。たとえば、学級委員・児童会・行事委員……と、肩書きや行動の羅列に終わっていて、その経験で何を考え、どう成長したのかがまったく見えてきません。つまり、何に取り組んだのかという行動は書かれているが、そのときの思考や内省がまったく書かれていないのです。また、「頑張りました・協力しました」で終わる推薦書は、どのお子さんにも当てはまってしまうため、その人の特徴や個性がまったく見えなくなってしまいます。東大附属が見たいのは「なぜそう行動できたのか」「その経験で何を学んだのか」であるため、そこが抜け落ちていると評価されません。

 

  • 具体的に書く

「友人と協力した」「仲間と努力した」などは書かれていますが、誰と・どんな場面で・どんな違いを乗り越えたのかという、具体的なことがまったく書かれておらず、これもだれでも書ける内容になっています。東大附属の「協働」は「仲良くできる」ではなく、「他者との違いを通して学び合うこと」。この推薦書には「相手との対話」や「意見の交換」の要素が欠けている。要するに、「仲良くできる」と「協働できる」が違うということを理解していないといけないのです。東大附属では、意見がぶつかる中でどう考え、どう対話したかが評価されます。

 

学校理念との接点がない

 この推薦書には、お子さんの活動は書かれていますが、東大附属について「東大附属だからこそ」という視点がまったくありません。また、「貴校でもこの姿勢を生かし…」という締め方は、どの学校にも通用してしまう一般的なもので、まったく意味のないものです。東大附属は「ことばと論理の力」「自己確立」「探究的な学び」を掲げているわけですから、そうした理念とそれと響き合うエピソードが必要です。推薦書には、「この学校でこそ伸びる子だ」という必然性が書かれていると良いものになります。そのためには。理念の言葉を意識すると良いでしょう。

 

文体・トーンの問題

文章全体が「報告書」風で、親の「教育観」や「価値観」が伝わってきません。保護者として、どうお子さんの成長を支えてきたかという温度が感じられず、観察報告に終始しています。 ポイントとしては、保護者の教育観のなさだと思います。教育観がないと、学校の教育理念に賛同することもありませんので、志望理由がぼやけることになります。

 

総合型選抜 高2生 あと一人募集

カテゴリー:お知らせ2026.07.10

総合型選抜入試を検討されている高2生を募集しています。

残り1枠となっていますので、検討中の方は早めにご連絡ください。

2027年度中学受験  安全志向が止まらない理由

カテゴリー:中学受験2026.07.07

 

みなさん、こんにちは。本日は「2027年度中学受験、”安全志向”が止まらない理由」

というテーマで話をしていきたいと思います。

 

「うちは無理に難関校を狙わず、合格できそうな学校を第一志望にします」

 

おそらくここ10年くらいでしょうか、こういう方針の保護者がすごく増えています。何となく中学受験のイメージも変わってきたと思いますが、それに比例するように、最初から偏差値の高い学校を狙わない人が増えてきました。

 

ただし、ここで立ち止まって考えていただきたい。

 

その「安全志向」は本当に安全なのでしょうか

 

今日はこの問いを軸に、2027年度中学受験で起きていることをじっくり解説します。

 

 本編①:まず「昔の中学受験」の常識を振り返る

 

話の出発点として、ひと昔前の中学受験がどういうものだったかを振り返ってみましょう。

 

かつての中学受験、特に首都圏では、こういう構図がありました。

 

「目標は御三家。しかし、現実は厳しいから、少し下の学校を受ける」

 

御三家、つまり開成・麻布・武蔵(男子)、桜蔭・女子学院・雙葉(女子)といったトップ校を目標に据えて勉強する。あるいはそれらの学校を狙う。しかし、実際の合格可能性は低い、あるいはそこまで届かないから、本番では偏差値的に少し下の学校を受ける。

 

これがいわば「標準的な受験ストーリー」でした。

 

要するに、目線は高いところに置いたまま、現実とのバランスをとって着地するパターンです。チャレンジ精神が前提にあって、そこから現実に合わせていくイメージですね。

 

この時代、中学受験をする家庭はまだ少数派で、参加する家庭のほとんどは「難関校を狙う意欲のある層」でした。だからこそ、全体的に「上を目指す」文化が根付いていたのです。ですから、中学受験=勉強ができるというイメージがあったのだと思います。

 

 

本編②:受験人口が増えて何が変わったか

 

ところが、首都圏の中学受験率はここ10〜15年で大きく上昇しました。いまや東京都内の小6生の約3人に1人が中学受験をすると言われています。

 

これだけ裾野が広がると、参加者の層が変わります。昔は「意識の高い一部の家庭」が中心でしたが、今は「とりあえず公立じゃない方がいいかな」「せっかく塾に通っているから受けてみよう」という、ある意味ライトな動機で参入する家庭が増えています。さらに、受験する割合が増えてきますと、「友達が受験するから自分も受験したい」というお子さんも増えてきます。

 

この層に共通しているのは、「御三家を目指すつもりはそもそもない」という姿勢です。

 

昔のように「上を目指して、現実に合わせて着地する」のではなく、最初から「手が届く範囲」を第一志望に設定する。

 

これが今の安全志向の本質です。

 

昔の受験生が「御三家を狙って、落としどころとして偏差値60台の学校を受ける」としたら、今の受験生は「最初から偏差値55〜60の学校を本命として狙う」。要するに、出発点が違ってきているのです。

 

本編③:安全志向の受験生は、具体的にどこを狙うのか

 

では、安全志向の保護者が今どこを狙っているのか。大きく2つのパターンがあります。

 

パターンA:MARCHレベルの大学附属・準附属校

 

まず人気が急上昇しているのが、MARCHレベルの大学附属・準附属校です。

 

明治・青山学院・立教・中央・法政、いわゆるMARCH。これらの大学の附属・系列中学は、「中学受験で入れれば、大学までのレールが敷かれる」という安心感から、今非常に人気があります。

 

具体的な学校を挙げると——

 

中央大学附属横浜中学校(神奈川)は、中央大学への内部進学枠を持ちながら、他大学への受験も可能という「いいとこ取り」の設計が評価されています。「最悪MARCHに行ける、でも頑張れば早慶も狙える」という保険的な発想で選ぶ家庭が増えています。

 

法政大学第二中学校(神奈川)も同様で、大学附属でありながら面倒見のよさと通いやすさが評価され、「6年間見通せる安心感」を求める家庭の人気を集めています。

 

これらの学校は、御三家のように偏差値70超は要求されません。四谷大塚の合不合判定テスト・Aライン80偏差値(合格可能性80%に必要な偏差値)で見ると、開成が71桜蔭が70。それに対して中央大学附属横浜は59、法政大学第二は58です。10ポイント以上の開きがあります。「御三家よりワンランク、ツーランク下げた現実的な目標」として映るわけです。

 

※偏差値の数字は模試によって大きく異なります。今お伝えしたのは四谷大塚基準ですので、お子さんが通われている塾の模試と見比べる際はご注意ください。

 

パターンB:「入口は易しく、出口が良い」学校

 

もう一つのパターンが、附属ではないけれど、「進学実績がよくて、かつ入試の難易度が比較的低め」な学校を狙うケースです。いわゆる「コスパのいい学校」という選び方ですね。

 

栄東中学校(埼玉)はその代表格です。1月入試で受けられるという地の利もあり、首都圏全域から受験生が集まります。偏差値的にはそこまで高くないのに、東大・早慶への進学実績が出ていて、「入口と出口のギャップが大きい学校」として注目されています。

 

芝浦工業大学柏中学校(千葉)は、理系に強く、大学推薦枠も活用しやすい。「将来理系に進ませたいけど、無理に難関校を目指さなくていい」という家庭にとって魅力的な選択肢になっています。

 

この2パターンに共通しているのは、「御三家という高い目標から逆算するのではなく、最初から「確実に届く、かつ納得できる学校」を探す」という発想の転換です。

 

本編④:なぜ今この発想が広がっているのか

 

この安全志向が広がる背景には、いくつかの要因があります。

 

一つはコスト意識です。小4から始まる塾費用は3年間で200〜300万円にのぼることもある。これだけ投資して不合格では、という心理が「確実に受かる学校を選ぶ」方向に働きます。

 

もう一つは「偏差値至上主義」の崩れです。かつては「偏差値が高い学校=いい学校」という価値観が支配的でしたが、今は「面倒見がいい」「大学実績が安定している」「推薦・総合型に強い」「通学しやすい」といった軸で学校を選ぶ保護者が増えています。

 

偏差値という「縦の物差し」から、「うちの子に合っているか」という「横の物差し」への転換。これが、安全志向と良い学校を選ぶことが矛盾しない時代を作っています。

 

そしてSNSの影響も無視できません。「チャレンジ校を受けて全滅した」「偏差値60あったのに不合格だった」——こうした失敗の情報がリアルタイムで流れてくる。成功の情報より失敗の情報に人間は強く反応しますから、じわじわと「安全策をとらないと」という心理が広がっていくわけです。

 

本編⑤:ここが落とし穴——「安全校」は本当に安全か

 

さて、ここからが今日もっともお伝えしたいことです。「安全だと思って選んだ学校が、実は全然安全じゃなかった」

 

これが今、静かに起きている問題です。

 

先ほど紹介したような、MARCHレベルの附属校や「入口易しく出口よい」学校。これらは確かに御三家よりは偏差値が低いと言えます。しかし、同じことを考える家庭が一気に増えた結果、受験生が集中して倍率が上がり、難化しているんです。

 

中央大学附属横浜も、法政大学第二も、栄東も——数年前と比べて合格難易度は上がっています。

 

「去年の偏差値データを見て、うちの子なら余裕で合格できると思っていた。でも実際は不合格だった」

 

こういうケースが増えています。

 

さらに構造的な問題もあります。安全志向の受験生が「確実に受かる学校」として同じゾーンの学校に集中すると、そのゾーン全体の倍率が上がります。すると「安全」のラインがどんどん上にずれていく。追いかければ追いかけるほど、安全地帯が遠くなっていく、というパラドックスが生まれるのです

 

さらに言えば、塾の偏差値データには必ずタイムラグがあります。昨年・一昨年の入試結果をもとに出されているデータが、来年の受験に適用されている。その間に人気が急上昇した学校は、データよりも実際の入試が難しくなっている可能性が高い。

 

つまり、「この偏差値なら合格圏」という判断が、すでに古い情報に基づいているかもしれないのです。

 

そしてもっとも大きな要因としては、実は中学受験の偏差値は低めに出るということです。たとえば、ご両親が中学受験をしていない場合は、偏差値の感覚が大学受験だったり、高校受験だったりします。

高校受験の偏差値は数値が高くでやすく、先ほど挙げた四谷大塚の中学受験とは同じ50でもまったくレベルの違う話になってきます。そうした前提を知らずに、「中堅校」と思って、受験を始める方が多いのですが、実際は中学受験の偏差値50がいかに大変なことかを、塾に入ってから知るようになっていきます。

 

 

本編⑥:では保護者はどう動けばいいか

 

こういう状況を踏まえて、保護者の方に意識してほしいことを3つお伝えします。

 

① 志望校の「最新の倍率・難易度トレンド」を必ず確認する

 

塾の偏差値表だけを見て安心しないこと。学校説明会や塾の個別面談で、「この学校、ここ2〜3年で難易度は上がっていますか?」と直接聞くのが一番確実です。

 

② 「安全校」にも複数校受けるプランを立てる

 

安全圏だと思っていた学校が不合格になることは、十分ありえます。「ここは絶対受かる」という前提でスケジュールを組むのは危険です。同じ偏差値帯でも複数校受けて、リスクを分散させましょう。

 

③ 「安全志向=楽な受験」ではないと理解する

 

御三家を目指さないからといって、勉強の手を抜いていいわけではありません。安全圏の学校も、きちんとした準備をしなければ受からない時代になっています。「目標を下げた分だけ楽になる」は今や幻想です。まずは、お子さんの実力を測ってみることをお勧めします。スタート地点を知ることでゴールの設定もしやすくなるでしょう。

 

まとめ・エンディング

 

今日お伝えしたことを整理します。

 

昔の中学受験は「御三家を目指して、現実に合わせて着地する」のが標準でした。

 

受験人口が増えた今は、最初から御三家を目指さず、MARCHレベルの附属校やコスパのいい学校を本命にする安全志向の受験が主流になりつつある。

 

でも、同じことを考える家庭が一斉に集まった結果、その安全校が安全ではなくなってきている。

 

「安全志向」という言葉に安心してはいけません。どの学校を選ぶにしても、最新の難易度トレンドをきちんと把握して、しっかりした準備をすることが不可欠です。

 

受験は「どの学校を選ぶか」ではなく、「選んだ学校に合格できるだけの準備ができているか」で決まります。

 

志望校選びの参考にしてみてください。

 

 

夏期講習外部生締め切りのお知らせ

カテゴリー:お知らせ2026.07.02

2026年度の夏期講習は外部生の募集を締め切りました。

中央大学法学部はなぜ偏差値が下がったのか

カテゴリー:大学受験2026.06.28

本日は中央大学法学部について話をしていきたいと思います。話をするにあたって、かつては、「法科の中央」と呼ばれたという事実をまずは押さえておきましょう。

昭和の時代、中央大学法学部は司法試験の合格者数で東京大学と1位を争い、早稲田大学を上回る実力を誇っていました。1951年から1970年までの実に20年間、旧司法試験の出身大学別合格者数で1位を獲得し続けた記録は、今も破られていません。

偏差値の面でも、1980年代のMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の中で偏差値70を超えていたのは中央大学法学部、ただ一校、一学部だけでした。

ところが現在は、その評価は大きく揺らいでいます。「中央法が明治法と並んだ」「中央法はMARCHでも下位になった」――そんな声がネット上にあふれるようになりました。というより、むしろ現在の受験生は中央の法がそんなに高かった時代があること自体が想像しづらいかもしれません

なぜ、あれほどの名門学部が、ここまで評価を落としたのか。今回はこのテーマを、30年というスパンで、事実をもとに掘り下げていきます。

第1章:栄光の時代――「法科の中央」とは何だったのか

まず、中央大学法学部がどれほどの存在だったかを振り返ります。

中央大学の起源は1885年、明治18年に設立された「英吉利法律学校」です。早稲田大学(東京専門学校)、明治大学(明治法律学校)、法政大学(東京法学校)、専修大学などとともに、当時「五大法律学校」と呼ばれた法律専門学校の一つでした。

中央大学法学部が際立っていたのは、なんといっても司法試験です。旧司法試験の時代、1951年から1970年までの20年間、出身大学別合格者数で1位を守り続けました。「法科の中央」というブランドは、伊達ではなかったのです。

この実績を背景に、1980年代の偏差値ランキングでも、中央大学法学部はMARCHの中で頭一つ抜けた存在でした。当時、MARCHの中で偏差値70を超える学部は中央大学法学部しかなく、明治大学の看板学部である法学部でさえ、当時は60台後半だったとされています。

つまり「中央といえば法学部」「法学部といえば中央」という構図が、長く受験界の常識として定着していたわけです。

 第2章:分岐点①――1978年、多摩キャンパスへの移転

この栄光に最初の影を落とした出来事が、1978年の多摩キャンパスへの移転です。

中央大学はもともと、東京・神田駿河台という都心の一等地にキャンパスを構えていました。しかし1960年代後半、「神田カルチェ・ラタン闘争」と呼ばれる学生運動が激化し、当時の中央大学はその中心的な存在の一つでした。学生が校舎を占拠し、授業や試験の実施さえ困難になる事態が頻発したのです。

加えて、高度経済成長期の入学者増加で校舎が手狭になっていたこと、そして都心部の大学を郊外へ移転させる政策的な誘導(いわゆる工場等制限法など)があったことも背景にあります。

1973年12月、評議員会は法学部・経済学部・商学部・文学部の昼間部を多摩キャンパスへ移転する方針を決議。当初はオイルショックによる建設資材の高騰や、都心の土地売却額が見込みを下回るといった財政的な誤算にも見舞われながら、最終的に1978年4月、文系4学部すべてが東京・八王子の多摩キャンパスで授業を開始しました。

この移転は、学生運動から大学を切り離すという意味では一定の効果があったとされています。しかし、受験生からの評判は決して芳しいものではありませんでした。都心の利便性を失ったことが、入学希望者の減少や、長期的な偏差値の伸び悩みにつながったという指摘が、関係者の間で繰り返しなされています。

第3章:分岐点②――他大学の「追い上げ」と国際化の波

中央大学法学部自体が大きく失速したというより、むしろ「周りが伸びた」という側面も見逃せません。

1990年代以降、MARCH各大学は軒並み偏差値を上げていきます。週刊東洋経済の分析によれば、明治大学の看板学部である法学部は、1980年代まで偏差値60台後半だったのが、1990年代には70を突破。明治大学商学部も1982年の偏差値63から、2019年には71まで上昇しました。MARCHはどの学部も、1980年代から10ほど偏差値が上がっているのです。

さらに大きな変化が、国際系学部の新設ラッシュです。法政大学の国際文化学部(1999年)、明治大学の国際日本学部(2008年)、立教大学の異文化コミュニケーション学部(2008年)、青山学院大学の地球社会共生学部(2015年)など、各大学が次々と国際系・グローバル系の新学部を設置していきました。

そしてこれらの学部は、軒並み高い偏差値を記録するようになります。2008年に開設された立教大学の異文化コミュニケーション学部は、2012年に中央大学法学部の偏差値と並び、2017年にはついに逆転しました。法政大学でも、グローバル教養学部が偏差値73で全15学部中トップ、国際文化学部も71と、伝統ある法学部や文学部を上回る人気を集めています。

かつてMARCHの中で1980年代に偏差値70を超える学部は中央大学法学部しかなかったのに対し、2019年時点ではMARCH全54学部のうち半分以上の28学部が偏差値70以上になっていました。つまり、「中央法だけが頂点」という時代が終わり、複数の学部が乱立する「多極化」が進んだということです。

英語での議論やリポート作成、必須の留学制度などを通じて、グローバル社会で働く力を身につけられる――という打ち出し方は、資格試験という単一の出口に頼らない中央大学法学部とは異なる魅力として、受験生に強く訴求しました。

第4章:分岐点③――司法制度改革と「弁護士余り」

中央大学法学部のブランドの核は、なんといっても法曹(裁判官・検察官・弁護士)養成にありました。そのコア部分が、2000年代の司法制度改革で大きく揺らぎます。

2004年に法科大学院(ロースクール)制度が導入され、2006年には現行の新司法試験がスタート。これにより、司法試験合格者数を年間3000人規模まで増やす方針が打ち出されました。

その結果起きたのが、いわゆる「弁護士余り」です。司法制度改革によって弁護士の数が大きく増え、以前のように「資格を取れば食べていける」職業ではなくなったとされています。これにより、学力上位層が法曹を目指すルートから離れていく現象が起きました。

中央大学法学部にとって、これは痛手でした。2006年に現行の司法試験制度が導入されてからしばらくは、変わらぬ名門ぶりを発揮し、2015年には法科大学院別の合格者数で全国トップになっています。しかしそれ以降は低迷が続き、2022年には合格者数50人で、ついにトップ5からも転落し、8位という結果になりました。

令和4年度の司法試験合格者ランキングでは、1位の京都大学が119人、東京大学が117人、慶應義塾大学と早稲田大学がいずれも104人で続く中、中央大学は50人で全体8位、私立大学の中では3位という結果でした。かつて東京大学と1位を争った大学とは思えない順位です。

背景には、東京大学や早稲田大学が司法試験の指導に本格的に力を入れ始めたこと、バブル崩壊後には京都大学や慶應義塾大学も参入してきたことがあるとされています。「司法試験といえば中央」という独占的な地位が、competitiveな市場へと変わっていったのです。

法学部出身の弁護士も、こうした状況を率直に語っています。「今の司法試験になって弁護士が大幅に増えた。弁護士になっただけでは差別化ができないので、ネームバリューのある大学に行かないと、と考える受験生が増えた」という指摘もあります。つまり、「資格が取れるなら大学のブランドは二の次」という発想から、「同じ資格を取るなら、より知名度の高い大学で」という発想へのシフトが起きたわけです。

第5章:受験生の選択肢が増えた30年

ここまでの要因を整理すると、中央大学法学部の偏差値が「下がった」というより、こう表現するほうが正確かもしれません。

「中央大学法学部の価値は大きくは変わっていないが、周囲の選択肢が大きく増え、相対的な位置づけが変化した」

1980年代、大学に進学する目的、特に文系で「手に職」を求める受験生にとって、司法試験という出口を持つ法学部の魅力は絶大でした。しかし90年代以降、

– グローバル化を背景にした国際系学部の人気上昇
– 司法制度改革による「弁護士という資格の絶対的価値」の低下
– 他大学(明治・立教・法政など)の看板学部の偏差値上昇

といった複数の要因が重なり、「法学部一強」だった構図が崩れていきました。さらに、1978年の多摩移転による都心からのアクセス低下が、長年にわたるボディブローのように影響したと指摘する声も少なくありません。

実際、2018年の週刊ダイヤモンドの特集では、中央大学法学部を卒業した男性が、近年の偏差値が明治大学法学部と並んだことについて「プライドが許さない」と憤る様子が紹介されています。かつてMARCHで断然トップだった法学部が、格下と見られていた明治大学と肩を並べる状況に、OBたちが複雑な思いを抱いていたことがうかがえます。

第6章:反転攻勢――2023年、45年ぶりの都心回帰

しかし、ここで物語は終わりません。中央大学はこの状況に手をこまねいていたわけではないのです。

2018年12月、中央大学は看板学部である法学部を、2023年に都心キャンパスへ移転すると発表しました。そして2023年4月、ついに法学部は東京都文京区に新設された「茗荷谷キャンパス」に移転します。1978年に多摩へ移転して以来、実に45年ぶりの都心回帰でした。

移転の狙いについて、中央大学の佐藤信行副学長(当時)は、「実学教育において社会と連携しやすくなる」ことを挙げています。都心に立地することで、自治体や法律事務所で働く実務家による教育を受けやすくなり、都心にある法科大学院の教員による授業も開設しやすくなるとしています。さらに法学部を3年で早期卒業して法科大学院に進学する「5年一貫」の法曹養成課程を充実させる狙いもあるとされています。

この移転の効果は、データにはっきりと表れています。ある進学情報サイトの分析によれば、移転前に60.0だった法学部の偏差値が、移転後には62.5まで上昇したとされ、2025年度の志願者数は前年比112%増と、MARCHの中で最大の伸び率を記録したとも報じられています。志願者数の推移を見ても、2023年の約1万2000人台から、2026年には1万5000人を超える水準まで増加が続いているというデータもあります。

もちろん、これらは個別の進学情報サイトが集計した数値であり、予備校の公式発表とは異なる場合がある点には注意が必要ですが、「都心回帰によって受験生からの人気が回復しつつある」という方向性については、複数の情報源で一致しています。

まとめ:偏差値の変動が教えてくれること

中央大学法学部の30年は、一つの大学・一つの学部の浮き沈みであると同時に、日本の大学受験そのものの構造変化を映す鏡のような存在でもあります。

– 学生運動を背景にした1978年の多摩移転で、都心からのアクセスという「立地のアドバンテージ」を失ったこと
– 1990年代以降、グローバル化を背景に国際系学部が次々と新設され、受験生の選択肢が多様化したこと
– 2000年代の司法制度改革によって、「資格を取れば食べていける」という法曹志望の動機そのものが揺らいだこと
– そして2023年、45年ぶりの都心回帰によって、再び評価が上向きつつあること

偏差値というのは、大学の実力そのものというより、「その時代の受験生が何を求めているか」を映す鏡でもあります。中央大学法学部の30年の軌跡は、まさにそのことを物語っていると言えるのではないでしょうか。

今後、都心回帰を果たした中央大学法学部が、かつての「法科の中央」と呼ばれた地位をどこまで取り戻していくのか。引き続き注目していきたいテーマです。

英検準1級 試験本番で差がつく「逆転の解き方」5選

カテゴリー:勉強方法2026.06.20

少し前に英検2級の合格のための裏技を紹介する動画を撮りました。本日は英検準1級を受検しようとしている方、あるいはすでに勉強を進めているけれどなかなか合格ラインに届かないという方に向けて、試験本番で本当に差がつく「解き方の話」をしていきたいと思います。

準1級というのは、英検の中でも一つの大きな壁です。2級までは「しっかり勉強すれば受かる」という感覚がある方も多いと思いますが、準1級からは勉強量だけでなく、試験の「解き方」そのものを工夫しないと、なかなか合格点に届かないという現実があります。

また、今日お話しする内容は、英検2級の解き方動画でお伝えしたものと重複するものもありますが、まったく異なるものも含まれています。2級の動画をまだ見ていない方は、そちらもぜひ参考にしてみてください。

今日は準1級ならではの5つのポイントをお話しします。ぜひ最後まで聞いてください。

 

①語彙問題に時間をかけるな! さっさと次へ進め!

最初のポイントです。準1級の試験は、最初に語彙・語句の問題から始まります。文中の空欄に入る単語や熟語を選ぶ形式で、25問出題されます。問題数も多く、最初に出てくるので、何も考えていないと、ここに時間を使ってしまいがちです。ところがこれが大きな落とし穴となります。

準1級レベルの語彙というのは、正直に言ってしまうと、かなりマニアックな単語が多く含まれています。受検者の中でも「この単語、見たことない」と感じる問題は必ず出てきます。そういった問題に対して、「ああでもないこうでもない」と考えていても、知らないものは、いくら時間をかけても、正解にたどり着く可能性がほとんど上がりません

準1級に限りませんが語彙問題は、知っているか知らないかで瞬時に判断するのが鉄則です。分かるものはすぐ解く。分からないものはすぐマークして次へ。この割り切りができるかどうかが、時間配分の大きな分かれ目になります。

特に準1級は後半の読解やライティングに時間がかかります。語彙問題で消耗した時間は絶対に取り返せません。最初の語彙問題でペースを崩さないことが、準1級攻略の第一歩です。2級のときにお話ししたように大問1を最後に回すというのも手の一つです。

 

②長文の「語句空所補充」はパラグラフの最初と最後を読め!

2つ目のポイントです。これは準1級ならではの問題形式の話です。準1級の読解には「語句空所補充」という問題があります。長文の中に空欄がいくつかあって、そこに入る最も適切な語句を選ぶ形式です。2級にはないタイプの問題で、初めて見ると戸惑う方も多いと思います。

この問題で多くの方がやってしまうのが、空欄の前後だけを読んで答えを選もうとすることです。確かに空欄の直前直後は重要なのですが、準1級レベルになると、空欄に入る語句はそのパラグラフ全体の文脈や論理の流れによって決まることがほとんどです。前後2文だけを読んで判断しようとすると、引っかけの選択肢にはまりやすくなります

では全部読まないといけないかというと、そこまでする必要はありません。

パラグラフの最初の文と最後の文を読む、これだけで十分なことがほとんどです。英語の文章というのは、パラグラフの最初の文にそのパラグラフで言いたいことが書かれていて、最後の文でそれをまとめる、という構造になっていることが多いからです。この2文を読むだけで、そのパラグラフが何を言おうとしているのかが分かります。そうすれば空欄に入るべき語句も自然と絞れてきます。

語句空所補充は準1級の中でも差がつきやすい問題です。パラグラフの最初と最後を読む、というシンプルなルールを覚えておいてください。

 

リスニングの「Real-Life形式」は他のパートと同じ感覚で解くな!

3つ目はリスニングの話です。準1級のリスニングには「Real-Life形式」と呼ばれるパートがあります。これは2級にはない、準1級ならではの問題形式です。このReal-Life形式というのは、アナウンスや留守番電話のメッセージ、ラジオ番組の案内など、実際の生活場面で耳にするような音声が流れてきて、その内容に関する設問に答えるというものです。

ここで多くの方がやってしまうミスが、他のリスニング問題と同じ感覚で臨んでしまうことです。このReal-Life形式は他のパートと決定的に違う点があります。それは、問題冊子に「状況」と「質問」があらかじめ印刷されているということです。

この状況と質問を、音声が始まる前に必ず読んでおくことが絶対条件です。

状況と質問を先に読んでおくことで、「どんな場面で」「何を聞き取ればいいか」が分かった状態で音声を聴けます。たとえば「空港のアナウンスを聞いて、フライトの変更内容を答えよ」という状況と質問が分かっていれば、音声の中から必要な情報だけに集中して聴けます。

反対に読めていないと、音声が何の話をしているのかも分からないまま終わってしまうことになります。準1級のリスニングの中でも、このReal-Life形式は事前準備をしているかどうかで得点が大きく変わるパートです。他のパートと同じ感覚で臨まないよう、十分に意識しておいてください。

④ライティングは「中身」より「型」が先!

4つ目です。これも準1級ならではの話です。準1級にはライティング、つまり英作文の問題があります。与えられたトピックに対して自分の意見を英語で書く、エッセイ形式の問題です。2級にもライティングはありますが、準1級は求められる語数も多く、論理的な構成が特に重視されます。

ライティングが苦手だという方の多くは、「何を書けばいいか分からない」「英語でうまく表現できない」という悩みを持っています。しかし実は、準1級のライティングで点を取るために最も重要なのは、「何を書くか」よりも「どういう構造で書くか」なんです。

準1級のライティングには、ほぼ鉄板の「型」があります。最初の段落で自分の意見を明確に述べる。次の段落でその理由や根拠を2つか3つ挙げる。最後の段落で意見をもう一度まとめる。このシンプルな三段構成を守るだけで、採点者に「論理的に書けている」と判断してもらいやすくなります。

英検のライティングの採点基準には「内容」「構成」「語彙」「文法」の4項目があります。このうち「構成」は、型を守るだけでほぼ満点に近い評価をもらえる項目です。つまり、難しい英単語や複雑な文法を使わなくても、構成さえしっかりしていれば確実に点が取れるということです。

書く内容に悩む前に、まず型を覚える型に沿って書く練習を繰り返す。準1級のライティングはこれに尽きます。難しく考えすぎず、型を武器にしてください。

⑤二次試験の面接で「分からない」と言うな!

最後、5つ目です。一次試験を突破した後の話、二次試験の面接についてです。準1級の二次試験は、試験官と1対1で行う英語の面接です。問題カードに書かれたトピックについてスピーチをしたり、試験官からの質問に英語で答えたりする形式です。

ここで多くの方がやってしまうのが、質問の意味が分からなかったり、答えに詰まったりしたときに黙ってしまうことあるいは「I don’t know.」と言って終わらせてしまうことです。これは非常にもったいないと言えるでしょう。英検の面接は、英語をペラペラに話せるかどうかを見ているわけではありません。コミュニケーションを取ろうとする姿勢、つまり「何とかして伝えようとしているか」が重要な評価ポイントになっています。黙ってしまったり「分かりません」で終わらせてしまったりすると、その時点でコミュニケーションが途切れてしまいます。では答えに詰まったときどうすればいいか。

「That’s a difficult question, but…」と言いながら考える時間を作る。「I’m not sure, but I think…」と前置きをして自分の考えを述べる。質問が聞き取れなかったら「Could you say that again, please?」と聞き返す。こういった「つなぎの表現」をいくつか覚えておくだけで、面接の印象はがらりと変わります。

沈黙や「I don’t know.」は減点につながりますが、つなぎの表現を使いながら何とか答えようとする姿勢は加点につながります。内容が完璧でなくても、話し続けることが大事です。準1級の面接は、英語力だけでなく「度胸と準備」で乗り越えられます。

 

まとめ

今日は5つのポイントをお話ししました。最後におさらいします。

 

.語彙問題は知っているか知らないかで即判断して、分からなければさっさと次へ進む。

・語句空所補充はパラグラフの最初と最後の文だけを読んで文脈を掴む。

・Real-Life形式は状況と質問を音声が始まる前に必ず読んでおく。

・ライティングは中身より先に型を覚えて、構造で点を取る。

・面接で詰まっても黙ったり「I don’t know.」で終わらせたりせず、つなぎの表現で話し続ける。

 

準1級は確かに難しい試験ですが、解き方の工夫で確実に得点を伸ばせる余地があります。2級の解き方動画と合わせて、ぜひ今日お話しした5つのポイントを次の試験から意識してみてください。

 

夏期講習配布開始

カテゴリー:お知らせ2026.06.19

6月16日(火)より夏期講習のお知らせを配布しております。ご確認いただきますようよろしくお願いします。

また、外部生もじゃっかん募集しておりますので、ご希望の方はお問合せフォームよりお申しつけください。