【総合型選抜】ボランティアはもう武器にならない? 差がつくのは 読書 かもしれない話
夏休みに入り、総合型選抜の対策を本格的に始める受験生も多い時期かと思います。本日は、総合型選抜入試の対策として、よく使われてきた「ボランティア活動」について、今の時代にどこまで効果があるのか、そして代わりにどんなことが差別化になり得るのかを、お話ししてみたいと思います。というのも、総合型選抜入試のような試験形式は、通常の学力テストのようなものと異なり正解がありません。正解がないからこそ、他の受験生との「差別化」というのが重要なキーワードとなるからです。
結論から言うと、私は「本を読むこと(学びたい分野に関するもの)」のほうが、今はかえって目立つのではないかと考えています。その理由について、順を追って説明します。
なぜボランティアが効かなくなったのか
一昔前は、ボランティア活動をしていること自体が評価される時代がありました。継続的に社会と関わってきた経験は、それだけで説得力があったからです。特に、自分の進みたい分野、たとえば教育学部に進みたいという人が、教育系のボランティア活動をしていたとなると、それだけで、説得力は増すものです。ところが今では、総合型選抜対策を専門とする塾がボランティア先まで紹介するようになりました。どんな活動をして、どう志望理由書に書けば評価されやすいか、というノウハウがすでに出回っているということです。
その結果、何が起きるかというと、面接官からすると「みんな似たような話をしている」、あるいは「みんな同じような活動をしている」という印象になります。もちろん、活動そのものが悪いわけではないのですが、対策されつくしてしまうと、差がつく材料としては弱くなってしまうのです。
差別化が均質化していく仕組み
ここで少し整理しておきたいのが、ボランティアに限らず、あらゆる「差別化要素」がたどる道筋です。だいたい次のような流れになります。
1.誰かが独自の取り組みを始める 最初は誰もやっていないので、それだけで目立ちます。
2.評価される事例として広まる 合格実績として語られるようになり、「あの活動をすると評価される」という情報が広がっていきます。
3.塾がノウハウとして体系化する 効果があると分かった時点で、対策できる形に落とし込まれます。ここまで来ると、誰でも同じような形で取り組めるようになります。
4.均質化して、差別化効果を失う みんなが同じことをするようになると、もはや差はつきません。そして次の「まだ対策されていない何か」が探されるようになります。
ボランティアは、今まさにこの4番目の段階にいると私は見ています。そして、次に来るものとして今のところ手つかずに近いのが「読書」ではないかと思っているのです。
図:差別化から均質化へのサイクル

なぜ読書が今、差別化になり得るのか
大学が総合型選抜で見ているのは、突き詰めると「学問に対する関心の深さ」や「自分で問いを立てて考える力」です。読書、それも学びたい分野に関するものは、この二つをもっとも自然な形で示せる材料になります。ボランティアのように場所や機会に左右されず、家でも取り組めるという点も、夏休みという時期には向いていると言えるでしょう。
また、読書はまだ「対策の型」が広く出回っていない分野です。もちろん今後、読書対策塾のようなものが出てくれば、いずれ同じように均質化していく可能性はあります。そこは踏まえておく必要があります。加えて、大学の先生、特に文系の先生は本を読むことが仕事の一部であり、膨大な本を読んできた人たちです。ほとんどの先生は、現在の学生が本を読まないことを残念に思っているでしょう。そこに、本をしっかりと読みこんでいる受験生が来たら、それだけでも心をつかむことができると思います。
ただし「読んだだけ」では意味がない
ここで一つ、釘を刺しておきたいことがあります。読書そのものが評価されるわけではない、ということです。何百冊読んだか、有名な本を読んだかどうかは、実はそれほど重要ではありません。大切なのは、その本から自分がどんな問いを持ったか、その問いに対してどう考え、何を調べ、何を行動に移したか、という一連の流れです。
つまり、読書もまた「読んだ」という事実だけを並べれば、いずれボランティアと同じ道をたどります。型化できないのは、活動の種類そのものではなく、そこから生まれる自分だけの思考プロセスなのです。この点を見誤ると、せっかくの読書も差別化にならなくなってしまいます。
夏休み中にできる実践
では具体的に、夏休みの間に何をすればよいのでしょうか。二点にまとめます。
1.学びたい分野に関する本を選ぶ 興味の入り口となる新書や、志望する学部に近いテーマの本から始めるのがおすすめです。難易度が高すぎる専門書よりも、まずは自分の言葉で語れるレベルのものを選ぶほうが良いでしょう。
2.読んだ後に「問い」を言語化する 読みっぱなしにせず、読んで疑問に思ったこと、もっと知りたくなったことをメモに残しておきます。これが、後で志望理由書や面接に落とし込む際の材料になります。
まとめ
以上、ボランティアが差別化になりにくくなってきた背景と、代わりに読書が持つ可能性についてお話ししてきました。大切なのは「ボランティアが悪くて読書が正解」ということではなく、どんな活動であっても、いずれ対策されて均質化していくという構造そのものを理解しておくことです。そのうえで、今の時点でまだ対策されつくしていないものに取り組みつつ、そこから生まれる自分自身の問いや思考を大事にすることが、結果的に一番の差別化になるのではないかと思います。
夏休みという時間のある時期だからこそ、一冊の本とじっくり向き合ってみることをおすすめします。

























