お茶の水女子大はオワコン?
本日は、お茶の水女子大学についてお話をしていきたいと思います。これまで、津田塾大学や白百合女子大学、そして神戸女学院大学といった、いわゆる伝統的な女子大学について、「昔と今」を比較することをしてきました。いずれの大学も、かつては非常に高い評価を受けていた一方で、現在は当時と比べると立ち位置が変わってきている、というお話をしてきました。
そうした流れもあって、「女子大はもう厳しいのではないか」「女子大はオワコンなのではないか」といった声を耳にすることも増えてきています。しかし、ここで一つ重要なことがあります。それは、すべての女子大学が同じように変化しているわけではないという点です。
本日取り上げるお茶の水女子大学は、そうした中でもかなり特殊な存在です。結論から申し上げますと、お茶の水女子大学は、昔から現在に至るまで、大きく評価を落としていない数少ない女子大の一つです。なぜこの大学だけが、他の女子大と違う動きをしているのか。
本日はその点を、歴史と現在の状況を踏まえながら整理していきたいと思います。
まず、お茶の水女子大学とはどのような大学なのか、簡単に確認しておきます。お茶の水女子大学は1875年に設立された、東京女子師範学校を前身とする国立大学です。現在は文教育学部、理学部、生活科学部などを持つ、女子の総合大学となっています。ここで重要なのは、「国立大学である女子大学」という点です。日本には女子大学が数多く存在しますが、その多くは私立大学です。その中で、お茶の水女子大学は数少ない国立の女子大学であり、この点がまず大きな特徴になります。
では、昔のお茶の水女子大学はどのような位置づけだったのでしょうか。1980年代から90年代にかけて、お茶の水女子大学は、女子の進学先としては最上位クラスの一つでした。
当時はまだ、東京大学をはじめとする難関国立大学において、女子の割合が現在ほど高くはありませんでした。そのため、学力の高い女子受験生の中には、お茶の水女子大学を第一志望、あるいは有力な選択肢とする層が一定数存在していました。
また、教育・研究志向の強い学生が集まりやすく、教員や研究者、公務員といった進路に強い大学としての評価も確立されていました。いわば「女子エリートのための国立大学」という位置づけだったと言えるかと思います。
【1980年代後半〜90年代】
・偏差値:60〜65前後
・位置づけ:
上位国立(筑波・横国あたりと近い)
女子では最上位クラス
では現在はどうなっているのでしょうか。結論から言えば、お茶の水女子大学は現在も難関国立大学としての地位を維持しています。学部や学科によって差はありますが、偏差値帯としてはおおむね55〜65前後で推移しており、地方の国立大学と比較しても上位に位置する水準です。
また、特に理学部や生活科学部といった分野では、現在も安定した人気があります。他の女子大学が大きく偏差値を落としてきた中で、この安定感はかなり特徴的です。
【2000年代】
・偏差値:58〜63前後
・特徴:
やや下がるが大きな崩れなし
東大・早慶への流出が少しずつ増加
【現在(2020年代)】
・偏差値:55〜65程度(学部差あり)
・文教育:55〜60
・理・生活科学:60前後〜上振れ
※偏差値は目安です。模試や時代によって異なります
では、なぜお茶の水女子大学だけが、このように「崩れなかった」のでしょうか。ここが本日の一番重要なポイントです。理由はいくつかありますが、まず一つ目は、国立大学であるという構造的な強さです。私立大学の場合、人気が下がるとそのまま志願者数の減少につながり、結果として偏差値も下がりやすくなります。一方で国立大学の場合、学費の安さや入試制度の特性から、一定数の受験生が必ず受験します。そのため、人気の変動があったとしても、極端に難易度が崩れにくいという特徴があります。
お茶の水女子大学はこの「国立」という枠組みの中にあるため、他の女子大とはそもそも前提条件が異なっています。
二つ目は、大学の価値が「ブランド」ではなく「中身」にあることです。津田塾や白百合などは、かつては「女子大ブランド」そのものが大きな価値を持っていました。つまり、「その大学に通っていること」自体が評価につながる側面が強かったわけです。一方でお茶の水女子大学の場合は、
・研究実績
・教育内容
・進路実績
といった、より実質的な部分に評価の軸が置かれてきました。そのため、時代の変化によって「女子大ブランド」が弱まったとしても、大学そのものの価値が大きく揺らぐことがなかったと考えられます。
三つ目は、共学志向の影響を受けにくい層が受験していることです。近年は「できれば共学に行きたい」という受験生が増えていますが、お茶の水女子大学を志望する層は、もともと学問志向や環境志向が強い傾向があります。そのため、「女子大だから避ける」というよりも、「この環境で学びたいから選ぶ」という動機で受験する学生が多く、共学化の流れの影響を比較的受けにくかったと言えます。
とはいえ、お茶の水女子大学が全く変化していないわけではありません。たとえば、東京大学に進学する女子学生の割合は年々増えて、かつてでおりあればお茶の水女子大学に進学していた層の一部が、より上位の共学大学に流れているという側面はあります。また、「女子大」というカテゴリーそのもののブランド力が下がっていることもあり、昔ほどの特別感が薄れているというのも事実です。つまり、大学そのものの実力は維持しているが、社会の中での位置づけは変化しているというのが、現在のお茶の水女子大学の姿だと言えるでしょう。
ここまでをまとめます。これまで見てきた女子大学の中には、
・偏差値が大きく下がった大学
・ブランドイメージが変化した大学
が多くありました。しかしその一方で、お茶の水女子大学のように、構造的に崩れにくい大学も存在しています。女子大という括りで一括りにしてしまうのではなく、「その大学がどのような仕組みで成り立っているのか」という視点で見ることが、これからの大学選びにおいては非常に重要になってくるのではないでしょうか。最後に一言付け加えるとすれば、
お茶の水女子大学は、
・派手さはない
・しかし非常に堅実
・長期的に見て安心できる進路につながりやすい
そういった特徴を持つ大学です。
華やかさやブランドだけではなく、
「何を学び、どのような進路につながるのか」
という観点で大学を選びたい方にとっては、今もなお有力な選択肢の一つであると言えるでしょう。
本日は、お茶の水女子大学について、「昔と今」という観点からお話をさせていただきました。
次回は、同じ国立の女子大学である奈良女子大学についても取り上げていきたいと思います。
ありがとうございました。
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