「塾に行かない中学受験」 ~本当に可能?戦略と注意点~
プライベートで私の職業が塾講師であることを伝えると、ときどき、「塾に行かずに中学受験ってできるんですか?」という質問を受けることがあります。本日はその話をしたいと思います。
結論から言えば、理屈のうえでは可能です。ただし、現実には越えなければならないハードルがいくつもあります。今日は塾に通わずに受験をすることのメリット・デメリットを整理しながら、実際のところはどうなのかについて一緒に考えてみたいと思います。お話は
①塾に行かないメリット
②家庭学習を支える道具は整っている
③ただし、現実はそう簡単ではない
④まとめ
の順で話をしていきます。
【1】塾に行かないメリット
まず、塾に行かないことのメリットについて見ていきましょう。一つ目は、経済的な負担が軽くなることです。中学受験塾は、年間で100万〜150万円ほどかかることもあります。それを自宅でまかなえるなら、大きな節約になります。塾の費用は、授業料だけではありません。以前に動画でも挙げましたが、教材費や模試代、さらには交通費や食費など思わぬ出費も多いのです。
二つ目は、家族の時間を犠牲にしなくてすむことです。
夜遅くまでの通塾、土日のテスト…塾通いは、どうしても家族全体が塾中心の生活になりますよね。それがないだけでも、生活リズムが安定します。夜遅くまでの塾通いなどさせたくない、と考えている保護者の方も意外と多いのではないでしょうか。
三つ目は、「100%自分たちの責任で進められる」という感覚が持てることです。
自分たちで計画を立てて、自分たちで子どもの理解を見ながら学習を進める。その過程自体に意味がある、と感じる方もいると思います。また、自分たちだけで受験勉強をしたのであれば、入試結果も受け入れやすいのではないでしょうか。
【2】家庭学習を支える道具は整っている
しかも今は、市販の教材が非常に充実しています。たとえば、みくに出版の『ウイニングステップ』など、塾に通わなくてもしっかりと中学受験対策ができるテキストも増えています。さらに、情報もネットで手に入る時代です。
学校説明会の動画、過去問、体験記、合格者インタビュー…。グーグルやYouTubeで検索すれば、たいていの情報は見つかるようになりました。
また、学習面においてもご夫婦で分担をすれば比較的楽になります。すべての科目をお母さんが見るとなるとお母さんの負担が大変ですが、たとえば、お母さんが国語や社会などの文系科目を、お父さんが算数や理科の理系科目を担当するという形で協力すれば、負担は大きく減ると思います。
【3】ただし、現実はそう簡単ではない
ここまで聞くと、「あ、意外とイケるんじゃない?」と思うかもしれませんが、実際はそう簡単ではありません。家庭で中学受験を完結させるのには、いくつかの大きなデメリットがあります。まずひとつ目は、情報不足です。学校ごとの出題傾向や、志望校の校風・文化は、塾に通っている子たちから自然に流れてくる情報も多く、それを家庭だけで拾うのは意外と難しいんです。あるいは、過去問も過去数年のものは手に入りますが、もっと古い物となると塾に行かないと手に入らないケースもあります。二つ目は、モチベーションの維持が難しいということ。塾に行っていれば「まわりの子ががんばっている」という空気のなかで自然とやる気が出るのですが、家庭学習ではその刺激がありません。
そして三つ目。これがいちばん大きいと思うのですが、親がイライラしがちになること。教える側にとって、子どもが分からないときに感情的になってしまう…これは本当によくあることです。特に高学年になると、思春期にも入り始めて、親子でぶつかりやすくなる時期。家庭がギスギスする危険性もあります。
また、子どもが自走できるタイプでない場合、常に親が隣で勉強を見ていなければならないことになります。これはかなり大変です。夏休みのような学校がない期間は一日中一緒にいなければなりません。
【4】まとめ:理屈では可能。でも、現実には難しい。
ということで、まとめです。「塾に行かずに中学受験は可能か?」と聞かれたら――理屈の上では可能。でも、現実には相当な覚悟と準備が必要、というのが正直なところです。どうしても塾の費用が厳しい…という場合は、塾と家庭学習をうまく組み合わせる方法(たとえば、必要な教科だけ通塾する、短期講習だけ参加するなど)も検討してみると良いかもしれません。大事なのは、「どのスタイルが子どもに合っているか」を見極めることです。塾に行く・行かないは、正解・不正解ではなく、その子に合うかどうかなんです。
ということで、今日は「塾に行かない中学受験は可能か?」というテーマでお話ししました。
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