Kip学伸のブログ



AI時代に必要な力 これからの教育の目的

AIがますます発展していくであろうことを鑑みれば、これからの子どもたちが受けるべき教育の内容も大きくかなわらなけばならないであろうことは、容易に想像がつくでしょう。どれだけのスピードで教育を変革することができるのかは、分かりませんが、教育そのものが大きく変わっていくことは明らかだと思います。これからの教育ではこういった三つの力を養成することが求められるということについて話をしていきたいと思っています。

①問いを立てる力

高度な生成AI(例:ChatGPT)の登場で、AIは人間のように自然な会話や回答を返せるようになりました。しかしAI自体は自発的に「問い」を生み出すことができません。AIは与えられた指示や質問に従って動くため、どんな問題を解決すべきか、どんな問いを立てるべきかを考えるのは人間の役割です​。社会が複雑化し**「正解がわからない時代」**になる中では、適切な問いを設定できるかどうかが答えを導く鍵になります​。たとえば、課題そのものを見誤れば永久に答えにたどり着けません。だからこそ、問題の本質を見抜き、新たな課題を発見する力としての「問いを立てる力」が重要性を増しています。また、AIによって日常的なルーティン作業から人間が解放される一方で、人間は好奇心や探究心に基づいて新しい価値を生み出すことが期待されています。自ら「何を知りたいか」「どんな問題を解決したいか」を問う力があれば、AIでは生み出せないアイデアやイノベーションにつながります。さらに、AI時代には適切な指示をAIに与える力、いわゆるプロンプト(命令文)を作成する力も求められますが、これも問いを立てる力と表裏一体です。人間ならではの創造性や問題発見力こそが、AIをただの便利な道具に終わらせずパートナーとして活用するための土台になります​。

 

また、AIを使用するにあたっても「新たな問い」をたてなければなりません。ひと昔前にハーバード大学のサンデル教授の「トロッコ問題」というのが流行りました。簡単に説明しますと、以下のような問題です。

あなたは線路の切り替えポイントに立っています。
目の前の線路を、暴走したトロッコが走ってきます。

このまま進むと、線路の先にいる5人の作業員に突っ込んでしまい、彼らは死んでしまいます。

でも、あなたがレバーを切り替えれば、トロッコは別の線路に進みます。
その先には1人の作業員がいて、その人が犠牲になります。

さて、レバーを引きますか? それともそのままにしますか?

さて、この問いが流行ったときは、あくまでも倫理・道徳の思考実験としての問題として考えられていました。ところが、現在ではこれは現実的な話と結びついています。自動運転がその典型です。自動運転をする車が事故を起こす際、どういう状況であればどういう処置をとるという指示は人間によってあらかじめなされます。ということは、サンデル教授の問うた倫理的な問題に答えをださなければならないということです。

こうした大きな問題に対して、たとえば一企業が答えを出して良いのでしょうか?どういう答えたが最良なのでしょうか?我々は現時点でその答えを知りませんが、今後自動運転を社会で普及させていくのであれば、ある程度の共通了解を得なければならないでしょう。そのためには、「問い」が重要です。

👉 教育ではどう反映される?

  • 探究学習・プロジェクト型学習(PBL)の拡充
  • 答えのない問いへの対話型授業

 

② 情報を活かす「説明する力」とコミュニケーション能力

 AIが膨大な知識を蓄え即座に回答を提示できる時代だからこそ、人間には独自の視点を持ち、それを効果的に伝える力が求められます。AIが生み出した情報であっても、それを取捨選択し、自分の考えと結びつけてわかりやすく表現する力が必要です​。特に、生成AIの活用が広がる中で「結果をそのまま受け取るだけでなく、その意味を解釈し人に説明できる」ことが重要になります。例えば、職場でAIが分析したデータを上司や顧客に報告する際、複雑な内容を平易な言葉で説明する能力が成果を左右します​。またAIにこちらの意図を伝える場合でも、質問や指示を明確に言語化する力が不可欠です​。コミュニケーション能力は単に話し方だけでなく、文章で論理的に伝える力やプレゼンテーション能力、そして相手に「伝わる」よう工夫する力を含みます。AI時代の人間の仕事では、専門知識以上にこうした伝える力・表現する力が土台になるとも指摘されています​。なぜなら、どんなに優れたアイデアや答えも、他者に理解され共感されなければ社会に影響を与えられないからです自分の考えを説明できる力は、深い理解の証拠でもあります。子どもたちが学んだことを自分の言葉で説明する過程で、知識は単なる暗記ではなく応用可能な知恵へと深化します。また、説明力があれば他者との対話を通じて誤解を解消し、協力を引き出すこともできるため、次に述べる協力する力とも密接に結びついています。

👉 教育ではどう反映される?

  • 哲学対話・倫理教育の重視
  • STEAM教育の中で「Art(人文知)」の位置づけが強まる

③  「他者と協働する力(Co-Creation)」

チームで協働する力や対人スキルは、AIが発達するほど相対的に重要性が増すとされています​AIは一人ひとりの業務を自動化・効率化できますが、多様な人が力を合わせて問題解決するプロセスそのものを代替することはできません。現実の課題の多くは複雑で、異なる強みを持つ人同士が意見を出し合い、役割分担しながら取り組むことで解決策が生まれます。こうした場面で必要なのが協力する力(チームワークやコラボレーション能力)です。AI時代の職場では、人間同士だけでなくAIと人間が協働するチームが登場するとも言われます​。その際、人間はAIが出した結果を正しく理解し、必要に応じて修正したり、他のメンバーと共有したりする役割を担います​

 コミュニケーション力と協調性はこうしたチーム運営に不可欠です。実際、AI技術の発展によって**「むしろコミュニケーションやチームワークが一層重要になる」**という指摘もあります​。デジタル時代のコミュニケーション手段を駆使し、国や文化の異なる人とも協働できる柔軟性も求められるでしょう。さらに、相手の立場を理解する力(共感力)やリーダーシップも協力する力の一部です。AIには相手の感情を汲み取ったり、メンバーを鼓舞したりすることはできないため、人間ならではの対人関係能力がチームの成果を大きく左右します​。総じて、AIにはない人間らしさである協力する力は、AI時代の様々な課題解決やプロジェクト推進において欠かせない基盤となります。

 

👉 教育ではどう反映される?

  • グループワーク、議論型授業、異文化理解の重視
  • 聴く力・言葉のニュアンスを扱う訓練

📝 まとめ:AI時代に教育が育てるべき力

 

 

 

 

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塾長からのメッセージ

先の見えないこの時代、何か困難が起きたときに、それを乗り越えていくだけの知恵と心の強さがなければなりません。そして本来、教育とはそういう力を養成するものであると考えております。受験は本来学力を向上させるだけでなく、精神力も強くするものです。勉強を継続することは決して楽なことではありませんが、苦しみだけがあるわけでもありません。知る喜びもそこにはあります。塾では単に知識を伝えるだけではなく、学習を通して、「学ぶ力」「忍耐力」「継続力」「計画性」「目標設定」など人生に必要なものを多く学んでいただける場であることを常に心がけています。本気になったみなさんが来塾されるのをいつでも待っています!

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