【上智公募 福祉学科】課題レポート3つのヒント
上智の福祉学科を公募推薦で受験する場合は自己推薦書の他に課題レポートが課せられます。その課題レポートはここ数年ずっと一緒で下記のようなものです。
現代において社会福祉の果たす役割が重要になっています。その理由についてまとめ、あなたの考えを述べなさい。なお、そのときに参考にした社会福祉についての専門的文献を明記すること。
今日は、その課題レポートを書く際の3つのヒントをお話ししていきたいと思います。まずは、その三つについて話をしましょう。
- 自分の進みたい福祉の分野を明確にし、福祉の役割がますます重要になることを言語化する。
- 日本の福祉制度の問題点をいくつ挙げる。
- その解決策も述べられるようにする
上記の三つの点を意識しながら課題レポートを書くのです。そもそも福祉学科を志望する人は、どういった形で福祉に関わりたいのかをある程度考えているでしょう。たとえば、高齢者福祉について学びたい人であるとか、障がい者福祉について学びたいであるとか、ある程度福祉の中でも、その対象を絞っていると思います。課題レポートでは、自分の専門とする福祉について書いていくのが定番ですので、それを進めつつ福祉が必要となる大きな原因についても言及しましょう。それが①になります。
福祉の役割の重要性に述べつつも、一方で日本の福祉制度にはいくつもの問題がありますから、それについても言及していきましょう。そして最後にその問題の解決策についても述べられるようにしておくと良いでしょう。
それでは具体的にみていきましょう。現代において福祉の役割が重要になってきている理由には、以下のような社会的な背景や課題が挙げられます。これらを知ることが一つ目のヒントとなります。
- 少子高齢化の進行
- 多くの先進国では、少子高齢化が進んでおり、働く世代が減少する一方で高齢者の割合が増加しています。これにより、介護や年金など、高齢者を支える福祉サービスの重要性が高まっています。
- 社会的孤立の増加
- 都市化や核家族化が進む中で、地域や家族とのつながりが希薄になり、孤立する人が増えています。このような孤立を防ぎ、コミュニティのつながりを支える役割を福祉が果たしています。
- 貧困や格差の拡大
- グローバル化や技術革新の進展に伴い、雇用の不安定化や所得格差が広がっています。特に低所得層や働けない人々への支援が必要であり、福祉がセーフティネットとして機能しています。
- 多様な価値観の尊重
- 現代社会では、ジェンダー、障害、国籍、性的指向など、多様な背景を持つ人々が共生する社会が求められています。福祉はこうした多様性を受け入れ、誰もが生きやすい社会を実現するための手段となります。
- 災害やパンデミックへの対応
- 自然災害や感染症のパンデミックなど、予測不可能な事態に対して、福祉制度は被災者や困窮者を支える役割を担います。これにより、社会全体の安定が図られます。
- 精神的な健康の支援
- 現代のストレス社会では、うつ病や不安障害など、精神的な問題が増加しています。福祉は、こうした問題へのカウンセリングや支援を通じて、人々の心の健康を守ります。
7. 発達障がい者の増加
- 発達障がいには、下記のような種類があります。
自閉スペクトラム症(ASD: Autism Spectrum Disorder)
注意欠如・多動症(ADHD: Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
学習障がい(LD: Learning Disabilities)
発達性協調運動障がい(DCD: Developmental Coordination Disorder)
言語発達障がい
・日本では発達障がいの診断件数が増加している背景に、社会的な認知の向上と診断技術の進展があります。
こうした理由から、福祉は現代社会において欠かせない存在となっていますので、上記をヒントに自分の関心のある分野に絞って書き進めるのです。
たとえば高齢者福祉に興味がある場合は、1や2を、外国人や障がい者の福祉に興味がある場合は、4や7を中心に調べて書けば良いのです。
次のヒントは日本の福祉制度の問題点です。上記のように福祉はますます求められているにもかかわらず、それがうまく機能していません。具体的に日本の福祉の問題点を挙げてみましょう。
- 少子高齢化による財政圧迫
- 問題点: 日本は急速な少子高齢化に直面しており、年金や医療、介護など高齢者向けの福祉支出が急増しています。一方で、若年層の減少により、福祉制度を支える納税者や社会保険料を負担する層が減少しているため、持続可能性が脅かされています。
- 年金制度の不安定性
- 問題点: 年金制度は、現役世代が支払う保険料で高齢者の年金を賄う「賦課方式」を採用しています。しかし、少子高齢化により、現役世代の負担が大きくなり、将来の年金給付に対する不安が広がっています。
- 介護労働者不足と過酷な労働条件
- 問題点: 高齢者の介護需要は増加している一方で、介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。介護労働者の賃金が低く、労働環境が厳しいため、若い人々や外国人労働者の確保が困難になっています。
- 医療費の増加と負担の不均衡
- 問題点: 高齢者向けの医療費が増加しており、国民皆保険制度の維持が難しくなっています。医療費は国民全体の税金や保険料で賄われているため、現役世代が高齢者の医療費を大部分負担している状況です。
- 生活保護制度の課題
- 問題点: 日本の生活保護制度は、最低限の生活を保障するために機能していますが、申請に対する審査が厳しく、必要な人が生活保護を受けられないケースもあります。また、生活保護の不正受給問題や、制度への偏見も存在します。
- 子育て支援の不足
- 問題点: 少子化対策の一環として子育て支援が行われていますが、保育所の待機児童問題や、育児休業制度の普及の遅れ、共働き世帯へのサポート不足が指摘されています。
- 福祉と労働市場のミスマッチ
- 問題点: 福祉制度が必ずしも労働市場の実態と合っておらず、例えば一時的に働けない人や非正規雇用の人が十分な支援を受けられないケースが多いです。特に非正規雇用者が増えている中で、彼らに対する社会保障や年金のカバー率が低いことが課題です。
7つも挙げたので覚えるのは大変な感じがしますが、すべての問題点は財政と人材の不足に起因していると思えば良いでしょう。では、どうすれば長期的な視点で制度の持続可能性を高めるとともに、福祉サービスの質を維持することができるのでしょうか?これが三つ目のヒントとなります。
- 福祉分野への人材確保と待遇改善
- 外国人労働者の積極的な受け入れ
- 地域コミュニティやテクノロジーの活用
- 財源の確保と支出の効率化
- 予防的な福祉の充実
これらの対策を組み合わせることで、日本の福祉制度が抱える財政と人材の問題に対応し、持続可能で質の高い福祉サービスを提供することが期待できます。
まとめてみましょう。以下の三つの点を意識しながら課題レポートを書くのです。
- 自分の進みたい福祉の分野を明確にし、福祉の役割がますます重要になることを言語化する。
- 日本の福祉制度の問題点をいくつ挙げる。
- その解決策も述べられるようにする
この三つを意識して、レポートを書き進めれば大きくずれることはないでしょう。是非、参考にしてみてください。
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