オリジナルテキスト 主語と述語
Kip学伸では、国語のオリジナルテキストを作成している。
オリジナルテキストの目的は簡単にいうと、「文章を論理的に読み書きできるようにする」だ。
国語が苦手な子にとって、長文は苦痛以外の何物でもない。それが顕著になるのが高学年になってからだ。特に中学受験を始めると、5年生の段階で相当な長文が出題される。
ただでさえ国語が苦手であるうえに、そのような長文を読み解かなくてはならないとなると、その時点で挫折することが少なくない。
そうしたことを考慮したうえで作ってあるので、とにかく文章は短く、面白くできている。
たとえば、次のような問題だ。
猿(さる)は 桃(もも)太郎(たろう)から もらった きびだんごに たっぷり マヨネーズを かけて 食(た)べた。
この文章の主語と述語を答え、それらを繋いで一文にする。
ここでのポイントは、述語や主語を文法的に教えないことだ。述語を、「主語の動作や状態を表す言葉」と教えても、小学生にはチンプンカンプンである。
よって、Kip学伸では「述語は文の最後」と教えている。そして、あるレベルまではオリジナルテキストの文章はすべて、述語を文末においている。
そのうえで、主語を訊く。上の文でいうと述語は最後の「食べた」になる。そのうえで「だれが食べたの?」と訊けば、「猿は」という主語が自動的に導き出せる。
つまり、主語⇒述語の順序で考えるよりも、述語⇒主語で考えた方が分かりやすい。
もちろん、長文に出てくる文章がすべてそのようにできているわけではないが、とにかく「最後に述語でそこから主語を探す」ということを徹底化することで、基本的な型ができる。この型が身につけば、文章を書く際にも応用できる。
主語と述語を見つけていくオリジナルテキストを作成中にいくつもの困難が立ちはだかった。
その最大のものは、自分たちで文章を書いていて、主語が分からないような文章が作られていくことだった。
たとえば、
ライオンはメスが狩りをする。
といった場合、「(狩りを)する」が述語であるのは誰でも分かるが、その主語はライオン?メス?
同様の例文はいくつも出てきた。
ぼくは足が痛い。
問題を解決するため、勉強が始まったのだが、その中で面白い人を発見した。
三上彰という言語学者でこんな面白い本を書いている。その名もずばり
『ゾウは鼻が長い』
その主張は面白く、日本語は英語のような主語・述語の関係で文が構造化されているわけではないと。
上の文でいうと「ゾウ」というのは主題であるというのだ。
なかなか面白い説ではあったが、現場で指導することを考えるとどうも腑に落ちなかった。われわれの求めているのは、文法的な正解・不正解よりも文章が分かりやすくなるための主語・述語探しでなければならない。学習を通して、頭がより混乱してしまっては、意味がなくなってします。
多くの本を読んだが、結局納得できるものはなかったので、自力で解決するしかなかった。
そして、ようやく解決することができた。
ゾウは鼻が長い
さあ、この文の主語と述語をどうやって考えるかだが、こうやって考えると辻褄があう。
ゾウは鼻が長い(動物だ)。
つまり、上記の文には大きな述語が抜けていると考えるのだ。
そうすると、「長い」に対する主語は当然「鼻が」になる。
同様に前に挙げた例文で考えてみよう。
ライオンはメスが狩りをする
も、後ろに「動物だ」という述語が省かれていると考えるのだ。
この場合も「(狩りを)する」という述語に対する主語は「メスが」になる。
ぼくは足が痛い
の場合は、「と感じる」が抜けているのだ。ここでも「痛い」に対する主語は「足が」となる。
しかし、すべてに共通しているのは大きな述語が省かれていることだ。それらの大きな述語に対する主語は文頭にある「ゾウは」、「ライオンは」、「ぼくは」となる。
つまり、日本語は主語のみでなく、しばしば述語が省略されるのだ。
このことは英語で考えてみるともう少しすっきりとする。
前項で、日本語は主語のみならず述語もしばしば欠落してしまうことを説明した。
そして、そのことは英語と比較するとよくわかることも書いた。
ライオンはメスが狩りをする
これを直訳しようと思うと、不可能である。なぜなら言葉が足りないからだ。
無理に直訳すると(こうした言い方をするかしないかは別にして)
A lion is the animal that females hunt.
となる。英語の文型でいうと第2文系、S V C というやつだ。
ここで名詞である「C]にあたるのが、「動物」という言葉であり、
that以下がこの「動物」という言葉を修飾する。
日本語ではここでの被修飾語がしばしば省略される。
前に挙げた
ゾウは鼻が長いも
An elephant is the animal which has a long trunk.
となるはずだ。
つまり、日本語にも節(修飾語に主語・述語がある)があるのをドリル形式で学習していくことで、
後々英語を学習していくときに役立つ。
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