Kip学伸のブログ



ICT教育って本当に効果的なの?

 

2019年より政府が進めてきたGIGAスクール構想(Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉))によって、小中学生にタブレットが配布され、デジタル教科書も2024年より使われることになりました。2019年に当時の文部科学省大臣であった萩生田氏が下記のように述べています。

 

【略】Society 5.0 時代に生きる子供たちにとって、PC 端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムで す。今や、仕事でも家庭でも、社会のあらゆる場所で ICT の活用が日常のものとなっています。 社会を生き抜く力を育み、子供たちの可能性を広げる場所である学校が、時代に取り残され、 世界からも遅れたままではいられません。 1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり、特別なこと ではありません。これまでの我が国の 150 年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端の ICT 教 育を取り入れ、これまでの実践と ICT とのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教 育は劇的に変わります。 この新たな教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最 適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの 可能性も大きく広げるものです。 また、1人1台端末の整備と併せて、統合型校務支援システムをはじめとした ICT の導入・ 運用を加速していくことで、授業準備や成績処理等の負担軽減にも資するものであり、学校に おける働き方改革にもつなげていきます。 【略】

 

 

要は学校教育の現場にITをもっと活用していこうということです。「なるほど」と思う反面、保護者の方のなかには、わが子が家でタブレットをずっといじっているのを見て、「本当に勉強しているのか?」と疑問に思われている人も多いでしょう。また、年配の方の中には、そもそもタブレットを使った学習が、今までのような紙や鉛筆を使った学習ほどの効果があるのかどうか疑問だという人もいるでしょう。

 

先週の週刊文春(2024年11月14日号)によりますと、「デジタル教育で日本人がバカになる!」というショッキングな見出しのついた記事がありました。記事は以下のような内容です。

 

・同じような政策を2006年から進めてきたスウェーデンが、PISAの順位を大きく落としたことで、最近は紙の復活を唱えている。教育大臣が、基本的な読み書きに最適なのはアナログツールだ。・・・すべての生徒への紙の教科書の再配布を法律で義務付けた・・・」

・東北大の教授の研究によると、スマホやタブレットを使えば使うほど、テストの成績が下がることがわかった。さらに学習目的のアプリを使っていたとしても、使用時間が長い生徒は成績が下がる。

・UCLAの教授によるとデジタル機器は「深い読み」がしづらいという欠点がある。

・他の教授も、デジタルで本を読む場合は、紙で本を読む場合に比べて注意散漫になり集中しづらいとの指摘。

・東大の教授によると、手書きでメモをとるほうがデジタルの場合よりも、資格や記憶、そして言語をつかさどる領域に血流が多く巡っていることが確認できた。

 

否定的なコメントが続いていますが、タブレットが向いている勉強もあると記事にはあります。

 

・発展的に考えたり、自分の意見を表現したりするのには向いている。実験の結果では、基礎問題や多肢選択問題では、紙の教材を使用したほうが点が高かったが、記述問題や応用問題ではタブレット学習のほうが成績が良かった。

 

おおよそ、上記のような記事でした。

 

まずは、私自身の話をさせてください。昔から本を読むのが好きで、気づけば家中本だらけになっていました。家の空間には限度があるのに、本は増える一方で困っているときに、kindleが発売され狂喜したものです。これで本に場所を占領されることなく、無限に本を増やすことができると思ったものです。これが10数年前の話だったと思うのですが、kindleで本を買うことが徐々に減り、今ではほとんど買うことがなくなりました。自分なりにその理由を考えてみたのですが、最大の理由はkindleで読んでも記憶に残らないことです。紙の本は手にとるたびに、その重さやカバーの絵柄、タイトル、著者などが目に入ります。一方でkindleで読むと、前回読んだページが開くという便利さはあるものの、フォントも同じ、カバーがない、著者やタイトルを目にしないことで記憶に残らないのです。

 

こうしたことを踏まえますと、何がなんでもデジタル教育を進めるのが良いとは思えませんが、物理的な面やある種の目的に向かって進める学習はデジタル機器を使ったほうが向いていると言えるのではないでしょうか。

 

おそらく皆さんが漠然と感じていることと近い結論になってしまいましたが、保護者の皆さんがそのつど判断されながら、うまくデジタル機器と付き合っていくというのがいちばんだということだと思います。

 

 

 

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