大学全入時代とは何か?
随分と昔から「大学全入時代が来る」という話を聞いてきました。耳にした人も多いでしょう。「全入」とは大学への入学希望者総数が入学定員総数を下回る状況を指す言葉で、数字上では事実上「全入時代に突入した」と言っても良いでしょう。
全員が大学に行けるわけですから、みんなが行きたい大学に行けるような夢のような状況が来るのを想像する人もいるかもしれません。本当にそういう未来が来るのでしょうか?
ところで、「全入時代」という言葉は、「定員割れ」はという言葉とセットで使われることが多いのですが、「定員割れ」とは何でしょうか。大学の募集人員に対して、合格者数が届かないことを「定員割れ」と言います。
1999年から2桁率になるようになった定員割れ私立大学の割合が、2022年には47.5%にまで上がりました。要するに、現在では私大の二校に一校が定員割れをしている状況だということです。学部別で見ると、歯学部、薬学部 家政学系や教育学系において定員充足率が少ないようです。ただしこれは直近の数字ですので長い目で見るとトレンドは変わってくるかもしれません。
こうした定員割れが生じる原因として、まず挙げられるのは少子化です。90年には200万人いた18歳人口が2022年では110万とほぼ半数に減っていますから、定員割れも起こりやすくなると言えるでしょう。ちなみに去年の出生数が80万を切っていますので、18年後の18歳人口は80万人弱となり、今よりも30万人もその数を減らすことになります。
次に、1990年の時点で500ほどであった大学が現在は800ほどまでに増えたことも挙げられます。要は大学が増えたことで進学者数も増えたのです。子どもの数は減ったのに大学の数が増えたということは、当然大学進学率は高まっています。現在の大学進学率は、男女ともに6割弱となっています。上位二つの都道府県である京都、東京は7割以上の人が大学に進学しています。大学進学率が高まった一方で、高卒生や専門学校進学者は減りました。たとえば、昔であれば看護専門学校へ行っていた人たちは、現在では大学の看護学部へ行くようになっています。受験率が上がった結果として、18歳人口の減少ほど大学志願者は減っていません。
しかし、ここで奇妙なことに気づくはずです。全入時代が到来したにもかかわらず、全国的には6割の人しか大学に進学していないという事実です。
そもそも本当に「全入」であれば進学率が100%になるはずですから、なっていないということは大学に行けるとしても進学しない人がいるということです。
その大きな要因の一つは地域的な問題です。
これまで話してきた「定員割れ」というのは平均で起こっている現象です。つまり、全国平均で見ると確かにそういう状況ではあると言えますが、もう少し細かい範囲で見ると、必ずしも「定員割れ」が起こっていると言えないからです。実際、こうした定員割れ現象が起こっている一方で、都市部の人気大学の人気がますます高まっている現象も同時に起こっています。2023年の受験者数のトップは近畿大学で15万人です。こうしたマンモス大学のほとんどは首都圏と関西圏にしかありません。
「23区規制」や「定員数厳格化」などを考慮すると実際には人気大学はもっと人気があるということになります。
要は、人気大学はますます人気になり、人気のない大学にはいつまで経っても人が来ないために、定員割れのような現象が生じるのです。個人的には、日本に現在のような数の大学は必要ないと思いますが、大学として認可されると文科省から補助金が出ますから、維持したい人たちがいるのでしょう。その意味で言いますと、人気大学は依然として入学することが難しいと言えるでしょう。ただし、こうした数の問題とは別に入試方法も多様化しているので、早い段階から情報を収集して、自分に合った受験を選べば昔よりも入りやすくなったと言えるかもしれません。
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