なぜ付属校の人気が下がりだしたのか
カテゴリー:中学受験2023.03.03
2023年度は全般的に付属校の人気が下がったようです。特に慶応、早稲田、明治といったトップ校に減少が顕著に見られます。
そもそもこの数年、付属校人気が高まった背景に、都市部にある大学の入学定員の厳格化と、「23区規制」と言われる平成30年から10年間、東京23区に店員を増やしたり、新しい学部・学科を増やしたりできないという規制がかけられていることが挙げられます。
簡単に言うと、この二つの規制が事実上軽減されたことにより、付属校の人気が下がりました。
まずは、募集人員のほうから考えてみます。募集人員の厳格化とともに一般入試による難関大学がさらに難しくなり、その影響で付属校志向が高まりました。また、付属校や系列校の中高が近年増加傾向にあるため、数年先にはますます大学受験が難化するだろうという推測のもと、中学受験で付属校狙いとなったのでしょう。また、23区規制があるため、需要の高い「情報系」のような学部の定員を増やせないため、大学受験で入ることがいちじるしく難しくなったことも要因の一つです。
このような大学受験を見据えた結果、早い段階で付属校に入って大学の心配をなくすという人が増え、そのことで付属校の人気が高まりました。
入試事情以外にも、大学受験をしないことで、単なる詰め込み教育ではない教育が受けられる(体験学習型の授業など)ということも支持を得ている一つの要因と言えます。そもそも学力のみで人の能力を測るということ自体が時代の流れに沿っていないため、勉強を詰め込む以外のことを学校に求めるのも当然と言えば当然の流れです。
こうしたことを背景に付属校は人気が上がっていましたが、2023年度では付属校の人気に陰りが見えはじめました。
その原因の一つは、「入学定員厳格化の緩和」です。募集人員の厳格化が進むと思わぬ弊害もありました。その最大の弊害は繰り上げ合格の増加です。受験生にとっては、他の大学に入学金を収めた後に、合格通知が来るのです。繰り上げの繰り上げや補欠合格の補欠合格などもあり、遅い場合は4月に合格通知が来ることもあり問題になりました。また、学校にとっても募集人員の生徒が入学しても、仮面浪人や中退などが出ますと授業料収入が減り、経営を圧迫することになります。そこで、入学時の募集人員の厳格化ではなく、4年間の総定員で学生数を見るようになり、結果として合格者数が増えることになりました。これが「入学定員厳格化の緩和」です。
また、「情報系」を始めとしたデジタル系の学部のニーズが受験生からも産業界からも高まるなかで、23区規制を改正しようという動きが出始めました。そして、こうした学部に限っては、規制を外すことを文科省が認めました。要は「周回遅れ」と言われている日本のデジタル教育のてこ入れです。そうした流れの中、特に女子高が理系に力を入れるようになり、結果として、私立の大学よりも国立理系志向が高まっています。そうした学部への対策を考えている中学の人気が出だしたのでしょう。
以上のような流れから、一時急騰していた付属校の人気が下火になったのだと考えられます。
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