Kip学伸のブログ



現在の大学受験制度・・・4

「ゆとり教育」による学力低下が叫ばれて久しいですが、トップ高校の学力は下がっていませんし、そもそも「ゆとり教育」は公立の話ですから、カリキュラムも変わっていません。大学入試だけに注目すると、むしろこれまで述べてきたような理由から難しくなっているといえるでしょう。

参考書一つをとってみても、インターネット普及に伴って大幅に進歩しました。現在では、無料アプリをはじめとしたツールも無数に存在します。情報が増えるにしたがって、当然対策も向上しますから、その結果として入試も難しくなるのです。


一つ例を挙げておきますと、東大の英語入試で出題される英単語の挙げてみます。2001年ではおよそ3000程度の単語だったのが、2011年では6800にまで増えています。

2000年から約十年で倍になりました。

つまり、成績上位者に学力低下などおこっていないのです。



ただ、成績上位者がいく大学が若干変わり、多様化が進んだように思います。


いくつかの例を挙げてみましょう。

一つは、数年前まで日本一受験者数の多かった早稲田の合格者における関東出身者の割合です。十年前は6割ほどだったのが、昨今では7割5分
にまでなっています。これは早稲田に限らず、東大でも慶応でも同じ傾向にあります。関西の京大・阪大・関関同立も同様です。

おそらく、不景気の影響があるのだと思いますが、全国的に「地元志向」が強まっているようです。

代ゼミ20校以上が閉鎖されたのはご記憶に新しいかと思いますが、代ゼミは「浪人して私立文系に行こう」という層に支えられていました。現在では、そういう層が圧倒的に少なくなったのです。

要するに、以前であれば、都会の私立文系に行ったような成績上位者が、地元の国立大学に行こうという流れになったのです。

そしてもう一つの例は医学部を筆頭にした理系志向です。地方を含めた国立大学の医学部の偏差値は大幅に上昇し、現在では地方国立大の医学部の偏差値は東大の理科一類と変わらなくなりました。

また、女子に人気の看護学部は、1991年には全国に11校だったのが、2014年には226校に増えています。

 つまり、成績の良い子は、私立文系よりも国立理系・あるいは国家資格に直結した学部に進学する傾向が強まっているといえるのだと思います。

ぼくは、この現象はノーベル賞の授賞者にも表れているような気がします。2000年までの日本人の授賞者はすべて京大と東大を卒業した人でしたが、2000年以降、東工大、名古屋大、神奈川大、徳島大、山梨大、埼玉大と特にここ数年は地方国立卒の人の受賞が急増しました。

優秀さというものが一つの物差しで簡単には計れず、多様化したのだと思います。


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