【上智公募 福祉学科】課題レポート3つのヒント
カテゴリー:小論文2025.02.19
上智の福祉学科を公募推薦で受験する場合は自己推薦書の他に課題レポートが課せられます。その課題レポートはここ数年ずっと一緒で下記のようなものです。
現代において社会福祉の果たす役割が重要になっています。その理由についてまとめ、あなたの考えを述べなさい。なお、そのときに参考にした社会福祉についての専門的文献を明記すること。
今日は、その課題レポートを書く際の3つのヒントをお話ししていきたいと思います。まずは、その三つについて話をしましょう。
- 自分の進みたい福祉の分野を明確にし、福祉の役割がますます重要になることを言語化する。
- 日本の福祉制度の問題点をいくつ挙げる。
- その解決策も述べられるようにする
上記の三つの点を意識しながら課題レポートを書くのです。そもそも福祉学科を志望する人は、どういった形で福祉に関わりたいのかをある程度考えているでしょう。たとえば、高齢者福祉について学びたい人であるとか、障がい者福祉について学びたいであるとか、ある程度福祉の中でも、その対象を絞っていると思います。課題レポートでは、自分の専門とする福祉について書いていくのが定番ですので、それを進めつつ福祉が必要となる大きな原因についても言及しましょう。それが①になります。
福祉の役割の重要性に述べつつも、一方で日本の福祉制度にはいくつもの問題がありますから、それについても言及していきましょう。そして最後にその問題の解決策についても述べられるようにしておくと良いでしょう。
それでは具体的にみていきましょう。現代において福祉の役割が重要になってきている理由には、以下のような社会的な背景や課題が挙げられます。これらを知ることが一つ目のヒントとなります。
- 少子高齢化の進行
- 多くの先進国では、少子高齢化が進んでおり、働く世代が減少する一方で高齢者の割合が増加しています。これにより、介護や年金など、高齢者を支える福祉サービスの重要性が高まっています。
- 社会的孤立の増加
- 都市化や核家族化が進む中で、地域や家族とのつながりが希薄になり、孤立する人が増えています。このような孤立を防ぎ、コミュニティのつながりを支える役割を福祉が果たしています。
- 貧困や格差の拡大
- グローバル化や技術革新の進展に伴い、雇用の不安定化や所得格差が広がっています。特に低所得層や働けない人々への支援が必要であり、福祉がセーフティネットとして機能しています。
- 多様な価値観の尊重
- 現代社会では、ジェンダー、障害、国籍、性的指向など、多様な背景を持つ人々が共生する社会が求められています。福祉はこうした多様性を受け入れ、誰もが生きやすい社会を実現するための手段となります。
- 災害やパンデミックへの対応
- 自然災害や感染症のパンデミックなど、予測不可能な事態に対して、福祉制度は被災者や困窮者を支える役割を担います。これにより、社会全体の安定が図られます。
- 精神的な健康の支援
- 現代のストレス社会では、うつ病や不安障害など、精神的な問題が増加しています。福祉は、こうした問題へのカウンセリングや支援を通じて、人々の心の健康を守ります。
7. 発達障がい者の増加
- 発達障がいには、下記のような種類があります。
自閉スペクトラム症(ASD: Autism Spectrum Disorder)
注意欠如・多動症(ADHD: Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
学習障がい(LD: Learning Disabilities)
発達性協調運動障がい(DCD: Developmental Coordination Disorder)
言語発達障がい
・日本では発達障がいの診断件数が増加している背景に、社会的な認知の向上と診断技術の進展があります。
こうした理由から、福祉は現代社会において欠かせない存在となっていますので、上記をヒントに自分の関心のある分野に絞って書き進めるのです。
たとえば高齢者福祉に興味がある場合は、1や2を、外国人や障がい者の福祉に興味がある場合は、4や7を中心に調べて書けば良いのです。
次のヒントは日本の福祉制度の問題点です。上記のように福祉はますます求められているにもかかわらず、それがうまく機能していません。具体的に日本の福祉の問題点を挙げてみましょう。
- 少子高齢化による財政圧迫
- 問題点: 日本は急速な少子高齢化に直面しており、年金や医療、介護など高齢者向けの福祉支出が急増しています。一方で、若年層の減少により、福祉制度を支える納税者や社会保険料を負担する層が減少しているため、持続可能性が脅かされています。
- 年金制度の不安定性
- 問題点: 年金制度は、現役世代が支払う保険料で高齢者の年金を賄う「賦課方式」を採用しています。しかし、少子高齢化により、現役世代の負担が大きくなり、将来の年金給付に対する不安が広がっています。
- 介護労働者不足と過酷な労働条件
- 問題点: 高齢者の介護需要は増加している一方で、介護業界は慢性的な人手不足に悩まされています。介護労働者の賃金が低く、労働環境が厳しいため、若い人々や外国人労働者の確保が困難になっています。
- 医療費の増加と負担の不均衡
- 問題点: 高齢者向けの医療費が増加しており、国民皆保険制度の維持が難しくなっています。医療費は国民全体の税金や保険料で賄われているため、現役世代が高齢者の医療費を大部分負担している状況です。
- 生活保護制度の課題
- 問題点: 日本の生活保護制度は、最低限の生活を保障するために機能していますが、申請に対する審査が厳しく、必要な人が生活保護を受けられないケースもあります。また、生活保護の不正受給問題や、制度への偏見も存在します。
- 子育て支援の不足
- 問題点: 少子化対策の一環として子育て支援が行われていますが、保育所の待機児童問題や、育児休業制度の普及の遅れ、共働き世帯へのサポート不足が指摘されています。
- 福祉と労働市場のミスマッチ
- 問題点: 福祉制度が必ずしも労働市場の実態と合っておらず、例えば一時的に働けない人や非正規雇用の人が十分な支援を受けられないケースが多いです。特に非正規雇用者が増えている中で、彼らに対する社会保障や年金のカバー率が低いことが課題です。
7つも挙げたので覚えるのは大変な感じがしますが、すべての問題点は財政と人材の不足に起因していると思えば良いでしょう。では、どうすれば長期的な視点で制度の持続可能性を高めるとともに、福祉サービスの質を維持することができるのでしょうか?これが三つ目のヒントとなります。
- 福祉分野への人材確保と待遇改善
- 外国人労働者の積極的な受け入れ
- 地域コミュニティやテクノロジーの活用
- 財源の確保と支出の効率化
- 予防的な福祉の充実
これらの対策を組み合わせることで、日本の福祉制度が抱える財政と人材の問題に対応し、持続可能で質の高い福祉サービスを提供することが期待できます。
まとめてみましょう。以下の三つの点を意識しながら課題レポートを書くのです。
- 自分の進みたい福祉の分野を明確にし、福祉の役割がますます重要になることを言語化する。
- 日本の福祉制度の問題点をいくつ挙げる。
- その解決策も述べられるようにする
この三つを意識して、レポートを書き進めれば大きくずれることはないでしょう。是非、参考にしてみてください。
しまね留学のご案内
カテゴリー:お知らせ2025.02.18
3月15日に「しまね留学」に関するイベントが開催されますので、ご興味のある方は、是非ご参加ください。
「しまね留学」は、島根県外に住む中学生が島根県内の高校に入学し、充実した高校生活を送る制度で、現在、島根県では16の県立高校が全国から意欲ある生徒を積極的に募集しています。
動画は、こちらより
都立中高一貫コース募集締め切り
カテゴリー:お知らせ2025.02.14
都立中高一貫コースは満席のため募集を締め切りました。大変申し訳ございませんが、お問合せをいただいてもお受けできませんので、あらかじめご了承ください。
通信制高校の人気急上昇中!
カテゴリー:高校受験2025.02.12
近年、日本で通信制高校を選ぶ生徒が増加しています。この現象の背景には、社会の多様化や教育の選択肢の拡大、生徒や家庭が抱えるさまざまな事情が影響しています。まずは、2014年度から2023年度までの生徒数の推移を示します。
年度 | 生徒数(人) |
2014 | 181,877 |
2015 | 183,518 |
2016 | 187,538 |
2017 | 180,393 |
2018 | 206,948 |
2019 | 220,000 |
2020 | 240,000 |
2021 | 260,000 |
2022 | 264,797 |
2023 | 290,000 |
このデータから、2014年度の約18万人から2023年度の約29万人へと、約11万人の増加が見られます。特に、2020年度以降の増加傾向が顕著であり、2023年度には過去最多の生徒数を記録しています。
では、なぜこのように人気が出てきたのでしょうか。通信制高校を選ぶ理由や増加の背景をいくつかの観点から整理してみます。
- 生徒の個別事情に対応した教育形態
通信制高校は、全日制高校のように毎日登校する義務がなく、授業の多くがオンラインや教材を使った自主学習で進められます。この柔軟性は、さまざまな理由で通学が困難な生徒にとって大きな魅力です。
- 不登校や適応障害の増加
文部科学省の調査によると、不登校の児童生徒数は増加傾向にあります。不登校の要因は学業不振やいじめ、家庭の問題など多岐にわたり、全日制高校では対処が難しい場合もあります。通信制高校は、生徒が自分のペースで学習できる環境を提供し、学業復帰のステップとして機能しています。 - 発達障害や学習障害への対応
発達障害や学習障害を抱える生徒が学校生活に適応できず、通信制高校を選ぶケースも増えています。通信制高校は、学習の進度を調整したり、個別指導を取り入れたりすることで、こうした生徒のニーズに応えています。
- 多様な学びのニーズへの対応
通信制高校は、全日制高校が提供しにくい柔軟な学びの場を提供しています。これにより、個性や興味を重視する生徒や家庭から支持を集めています。
- 特技や夢の追求
芸能活動やスポーツ活動に専念する生徒が、通信制高校を選ぶケースが増えています。たとえば、俳優やアスリート、音楽活動を行う生徒にとって、通常の登校日数や時間割では両立が難しいことが多く、通信制高校の自由なスケジュールが適しているのです。 - キャリア教育の重視
通信制高校の中には、特定の職業教育や専門分野に特化したプログラムを提供する学校もあります。ITスキルやデザイン、福祉など、興味や将来の進路に合わせた学びを選べる点が、生徒にとって魅力的です。あるいは、eスポーツを学べるプログラムも学校によってはあるようです
- 家庭や経済的事情の影響
通信制高校の選択は、家庭の事情や経済的要因とも関係しています。
- 学費の低さ
通信制高校は、全日制高校に比べて学費が安いことが一般的です。経済的に困難な家庭では、子どもを高校に進学させるための現実的な選択肢として通信制高校が選ばれることがあります。
- オンライン教育技術の進展
近年のデジタル技術の発展も通信制高校の人気を後押ししています。
- オンライン学習の普及
新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、オンライン学習が広く普及しました。これにより、生徒や保護者が「オンラインでも十分に学べる」という認識を持つようになり、通信制高校への抵抗感が減少しました。 - 多様な学習方法の提供
通信制高校では、オンライン授業、動画教材、双方向のWeb授業など、従来の紙教材に加えてさまざまな形式の学習手段が提供されています。これにより、学ぶ楽しさを実感しやすくなり、多様な学習スタイルに対応可能になっています。
- 社会全体の価値観の変化
日本社会における教育観やキャリア観の変化も、通信制高校を希望する人が増える背景にあります。
- 多様な生き方の受容
従来の「全日制高校に通い、大学に進学して就職する」というモデルが絶対視されなくなり、生徒一人ひとりの個性や生き方を尊重する考え方が広がっています。その結果、通信制高校が「特別な選択」ではなく、多くの選択肢の一つとして認識されるようになりました。
- 教育機関側の努力
通信制高校自体の質の向上や多様化も、この傾向を後押ししています。
- 学校間競争と魅力的なプログラム
通信制高校は増加傾向にあり、生徒を集めるために特色あるプログラムやサポート体制を提供しています。特に進学指導や資格取得の支援を充実させることで、保護者や生徒の信頼を獲得しています。 - 卒業後の進路サポート
通信制高校は卒業後の進学・就職支援にも力を入れており、「通信制でも進路が拓ける」という認識が広がっています。
では、反対に、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
通信制高校にはいくつかのデメリットがあります。以下に主なものを挙げます。
- 社会性の欠如
- 人間関係の希薄さ: 通信制高校は、主に自宅学習が中心となるため、学校でのクラスメートとの交流が少なく、友人関係を築く機会が限られます。これにより、社会性やコミュニケーション能力が養われにくいことがあります。
- グループ活動の不足: 普通高校でのクラブ活動やイベントがないため、集団活動を通じて得られる協調性やリーダーシップを学ぶ機会が少ないです。
- 自己管理能力が必要
- 自主学習の負担: 通信制高校では、基本的に自己管理が求められます。学習のペースや内容を自分で調整し、計画的に進める必要があります。これが苦手な生徒には、学習の遅れやモチベーションの低下を招くことがあります。
- 締め切りのプレッシャー: 課題や試験などの期限を守る責任は全て生徒に委ねられるため、自己管理ができないと、学業がうまく進まない可能性があります。
- 卒業後の進学や就職に影響が出ることがある
- 進学の難しさ: 通信制高校の卒業生は、進学する際に一般の高校生よりも不利な場合があります。特に、受験のために集中的に勉強する必要があり、予備校に通ったり独自の学習を強化したりしなければならない場合もあります。
- 就職のハードル: 通信制高校卒業生は、就職時に「フルタイムで通っていなかった」「特定の経験が不足している」と見なされることがあり、他の学校と比較して不利になる場合があります。
- 学習内容が限定的な場合がある
- 教科選択の限界: 通信制高校では、特に科目や選択肢が制限されていることがあります。特定の専門分野を学びたい場合に、他の高校に比べて選択肢が少ない場合もあります。
- サポートの不足: 通常の高校に比べて、教師からのサポートや指導が少ないため、理解度に差が出ることがあり、特に進学を考える場合には、個別指導が必要になります。
- 教育設備の不足
- 施設の充実度が低い: 通信制高校では、通学型の高校に比べて設備や施設が劣ることが多いです。実技が必要な科目や活動がある場合、それに対応する設備が整っていない場合があります。
- 学内のイベントが少ない: 通常の高校に比べて、文化祭や体育祭といったイベントが少ないため、学生生活の一部を楽しむ機会が制限されることがあります。
上記を踏まえますと、いくつかのデメリットが依然としてあるものの、希望する人が増えている背景には、社会の多様化、教育の選択肢の広がり、生徒の個別事情への対応力の向上が挙げられると言えるでしょう。通信制高校は、学びの柔軟性を重視する現代社会のニーズに応える形で進化を続けており、今後も多くの生徒にとって重要な選択肢であり続けるでしょう。
首都圏で学べる通信制高校