総合型選抜入試を考えている高校生の方へ
カテゴリー:志望理由書の書き方2023.09.28
高1、2年生の方で総合型選抜入試に興味のある人はできるだけ早めに塾探しをしましょう。
総合型選抜入試で受験をすると決めてからで良い、と思っていると3年生の一学期の成績が出た後、あるいは部活が終わった後から探しはじめることになります。年々そういうお問合せが増えていますが、残念ながらその時期のお問合せのほとんどはお断りしています。残席がないからです。
総合型選抜入試において、まず重要なことは文を書く力です。基本的に学校の授業では、文を書く訓練(ある程度の長さの文章を書いて添削を受ける)をすることはあまりありません。たとえば、小学生のときに大半の人は読書感想文を書いたと思いますが、添削を受けた人はほとんどいないでしょう。当たり前ですが、文章を書けるようにするには、それ専門の訓練を受けなければなりません。この当たり前の事実を分かっていない人も多く、国語が得意だから大丈夫だと考えている人も多いようです。しかし、文が書けることは、国語の成績が良い、悪いとは別のことですので、具体と抽象を行き来しながら、論理的に展開していく文章を書けるようにするためには、それなりの訓練が必要であり、そのためには一定の時間が必要だということです。
また、将来就きたい職業や進みたい方向など決まっている人は良いですが、そうでなければ、そういうことは今日の明日で決まるものではありませんので、多くの職業や大学の学部にはどういうものがあるのかを調べなければなりません。将来のことだけではなく、志望理由書には活動履歴も書かなければなりませんので、書くべき活動がなければ活動をし始める必要があります。
こうしたことすべてに対応しようとすると、残念ながら高3の夏からでは間に合いません。そもそも厳しいようですが難関大学に数か月で入ろうという考え自体が甘いのです。
とはいえ、早いうちから対策を始めれば合格率が圧倒的に高まることは間違いありませんので、少しでも興味のある人は早めにご連絡してください。お待ちしております。
私立中学受験 出来ない子に模試を受けさせる意味はあるのか?
カテゴリー:中学受験2023.09.10
中学受験をする人にとって模試の受験は避けて通れません。たとえば首都圏では、四大模試といって、「サピックスオープン」「四谷大塚の合不合判定テスト」「日能研全国公開模試」「首都圏模試」と1万人前後の受験者がいる模試が四つもあります。こうした模試に加えて、各塾で行うテストなども加えると、中学受験期というのは、常にテストに追われていると言っても過言ではないでしょう。
中学受験に慣れている保護者の方であれば、「そういうものだ」と思えるかもしれませんが、初めての方にとっては「こんなに試験ばっかりして意味あるの?」と疑問に思われる方も多いでしょう。
最初に私自身の考えを言うと、模試や小テストの意味は当然認めているものの、頻繁な模試や受験直前の模試、あるいは1月のお試し受験などはあまり推奨していません。その理由はおいおい話をしていきます。
そもそも模試を受ける意味は何でしょうか?
・自分の学力が客観的なデータで分かる
・試験会場に慣れる
・広い範囲からの出題に慣れる
・自分の解くスピードの確認、ペース配分を学べる
・問題の解く順番
・何ができていないかを確認できる
・成績が出ることでモチベーションにつながる
模試を受ける意味は上記のように数多くあります。しかし、こうした模試から得られるものは、ある程度の条件が必要です。
・出題範囲をすでに学んでいる
・自分が目指している学校のレベルと模試のレベルが合っている
・成績に一喜一憂しない(成績の悪い場合にモチベーション低下につながらない)
・返却されたデータをきちっと分析できる
上記のような条件を満たしていなければ、模試にあまり意味がなくなります。たとえば、基本的に小6の夏以降ですと、全単元終わった状態になっていますので、出題範囲の問題はなくなりますが、それまでは塾によって学習進度や単元の学ぶ順番など異なりますので、まったく習っていない範囲が模試に出るということもしばしばあります。中学受験用の算数をまったく学んでいなければ、成績がとれるはずありませんから、返却される成績に意味はありません。出題範囲があまりにも学習している範囲と異なるようでしたら受験の必要はないでしょう。
また、成績が良くない人によくあるケースが次のようなものです。それは、成績が返却されたときに、成績が悪いために保護者の方がキレるというケースです。「こんな成績だと意味がないから受験をやめろ」というようなケースです。あるいは、ご本人自身が、「こんな成績しかとれないなら無理だ」と思うようなケースです。模試を受験することでやる気がそがれるようなら、模試など受験しないほうが良いでしょう。
塾が模試を受験させたり小まめにテストを実施したりするのは、理解の程度を測るという意味もありますが、競争心を煽ってモチベーションを高めるという意味もあるからです。というのも成績が良い人に共通していることは、モチベーションが高いことが挙げられるからです。やる気がないのに成績が良いということはありえません。ですから、競争によって「負けたくない」と強く思える人は、模試を受験することで自分の成績を上げようと思えます。
反対にこうした競争が嫌であれば、競争のない個別塾に行けば良いのです。ただし、この場合競争しなくても自分でモチベーションを高いまま保てなければ意味がありません。
自分のペース=楽ができる
では意味がなくなってしまいます。
もう一度確認をしましょう。そもそも学力の高い生徒はモチベーションが高いのです。ということは、モチベーションを高められれば成績が上がる(もしくは上がるであろう)と考えられます。そして、塾にとって生徒のモチベーションを上げるもっとも楽なの方法が競争をさせることなのです。その是非はともかく、一定の割合で良い成績をとりたいという一心で勉強に打ち込める人がいるのです。そういう人は模試やテストに向いているといえるでしょう。最難関中学にもっとも合格者を輩出しているサピックスが小まめにテストを実施し、その成績でクラスを分けることをしていることを考えれば想像できると思います。
このことを裏返すと、成績の悪い人はモチベーションを模試によっては高められないのです。あまり競争したくないともいえるでしょう。だからといって、自分のペースでゆっくりと楽をしながら学習をしたところで学力が高まるわけではありません。そうした人の場合は、別の方法でモチベーションを高めていく必要があります。
そうした人の場合は、模試よりも、自分が習った範囲のテストを小まめにして、自分が理解できているかどうかに重点を当てるがお薦めです。要は、人との競争ではなく、自分の実力がついているかの確認です。全体の中での自分の立ち位置よりも、習ったことがしっかりと分かっているかどうかの確認を通して、自信をつけていき、モチベーションを高めるのです。こういう人の場合は、4年生から定期的に模試を受ける必要はないと思います。むしろ、先ほど述べたような復習テストを中心におこない、模試は必要性を感じたときだけで良いでしょう。ただし、小6の夏から秋にかけては自分の立ち位置をしっかりと認識するためにも、3度、4度の大きな模試を受けてみてください。
最後になりますが、12月は模試よりも志望校の過去問対策に力を注いだほうが良いでしょう。模試というのはその性質上、どうしても最大公約数的な問題になります。最初に述べた四大模試は受験者数が一万人前後となります。そうすると、一万人の受験生の実力を測れ、なおかつ採点に差が生じないようにしなければならないので、実際の入試(受験生が数百人で偏差値も10前後の差しかない)とはそもそもの性質が異なるものです。
受験直前は、偏差値を上げるというよりは、志望校の対策に重点をおいて学習をしたほうが、はるかに効率的です。また、12月、1月はインフルエンザが猛威を振るう時期でもありますから、わざわざ人が密集しているところに行く必要もないでしょう。1月入試も同様のことが言えます。直前の貴重な日曜日一日を、行くことのない学校の試験に費やすのはもったいないと言えるでしょう。そもそも入試や模試というのは学校や塾が利益を出すためにおこなっているという側面もありますので、みんなが受験するからといって、わざわざ受験する必要はありません。
小論文の書き方 「○○はどちらでも良い」はウソ!
カテゴリー:小論文2023.09.06
小論文は論理的に考えて表現できるかどうかを見るものであるから、結論は(是非を問う形にすれば)どちらでも良い、という意見があります。しかし、こうした主張は大学入試に出題される小論文に関しては正しくありません。
小論文の王道な書き方を例に考えてみましょう。たとえば、「中学生の制服着用の義務に対してどう考えるか」という課題が出たとします。それに対して二つの例を挙げてみます。
【例1】
中学生は制服着用の義務がある。
確かに、オシャレをしたい年頃であり、服装の着こなしを通して自己表現をしたい人も多いだろう。
しかし、中学生の本業は学業であり、オシャレをすることでもなければ自己表現でもない。そもそも私服になると、オシャレに対する競争熱が高まり、それによる階層化が生徒間に生じる可能性がある。こうしたことを学校という場に望む人はいないだろう。また、中学校では学業以外にも愛校心や仲間とのつながりも学べる。制服があることで、帰属意識や仲間意識が強まるだろう。
こうしたことを踏まえると、中学生は制服を着用することが望ましいと言える。
【例2】
中学生に制服着用の義務はない。自由に服を着るべきだ。
確かに、制服を着ることで学生としての自覚が生まれ、生徒間で一体感が生まれるという意見もあるだろう。
しかし、これだけ「多様化」や「グローバル化」が叫ばれている時代に、みんなが同じ服を着て学校生活を送らなければならないというのは時代錯誤も甚だしい。ましてやLGBT増進法が施行されている今日、生物的な性別によって、着るべき服が定められるというのは時代の流れに逆らっている。
このように、現代の時代の潮流を考慮して、中学生の制服着用の義務は撤廃し、小学生と同様、私服であることが望ましい。
さて、小論の出来はともかく、二つとも同じ構成で書かれています。
- 結論
- 反対意見
- 反対意見に対する反対意見と自分の意見の補強
- 結論
このような構成上の問題として見れば、どちらの小論も大きな差はありません。結論が異なるだけです。ですから、もし論理的な思考と表現ができるかどうかを見るために、小論文を課しているのであれば、上記の二つに差はつかないでしょう。しかし、総合型選抜入試での小論はそもそも趣旨が異なります。
というのも、もし、論理的な思考と表現ができるかどうかを見るために、小論文を課しているのであれば、学部別で問題を変える必要はないはずです。しかし、実際は学部どころから大学によっては学科ごとに出題内容が異なっています。なぜでしょうか?
結論は簡単です。要するに、大学側は小論文で論理的思考能力だけを見ているのではないということです。
たとえば、大学のHPやパンフレットに「多様化」「国際的」「グローバル」といった文言が数多くある大学を志望しているとしましょう。総合型選抜入試では、自分は大学側が求めている人材にぴったりであるというのをアピールします。だからこそ、大学のリサーチが重要になるのです。そうしたことを考えますと、「多様性」を謳っている大学の入試で「男は男性用制服」、「女は女性用制服」を着用するべきだと主張するような人が合っていると言えるでしょうか?あるいは、上記のような小論文が課せられたときに、海外の事情も含めて考えたときに、制服の着用義務が本当にグローバルに説得性をもつでしょうか?
多くの小論文の出題内容は時代が反映されています。当然です。大学で学ぶということは、単に自分だけの問題ではなく、社会的な意義を求められるからです。だからこそ、税金が投入されるのです。特に社会科学は、自然科学に比べて社会的な潮流の影響を大きく受ける傾向があります。昨今でいうと、「SDG’S」や「グローバル」「多様性」といったキーワードなどまさにそうだと言えるでしょう。こうした社会の流れを踏まえたうえで、自分が目指すべき方向性を考えるべきです。
以上のようなことを考えると、小論文でもある程度、結論は決まっているはずです。そうした方向性を知ったうえで、結論を書いていくことが大学入試に向けた小論文対策となります。
単なる型を覚えてそれに従って文を書く練習は、受験対策になっていないことを知っておきましょう。
夏期講習終了
カテゴリー:お知らせ2023.09.01
夏期講習が無事に終了しました。
塾は本日より通常授業となります。
予定した学習プランは遂行できたでしょうか?
その成果が問われるのは、今後の模試やテストとなります。