受験における戦略と戦術――慶應文系狙いは国語の勉強は不要か?――
カテゴリー:大学受験2023.06.15
先日慶應大学文系を目指す高3生に質問を受けました。彼女は、Kip学伸で小論文のみを受講しています。英語は英語の塾へ、世界史は世界史の塾へ通っています。要するに科目ごとに異なる塾に通っています。
いくつかの質問を受けたのですが、以下のようなものでした。
・別の塾のチューターに慶應を目指すのであれば国語の勉強は時間がもったいなからしないほうが良いが、勉強をしないほうが良いのかどうか?
・英語の塾の先生に模試は受ける必要がない。マーク模試と本番では試験形式が違うから意味がないので、受ける必要はないと言われたがどう思うか?
・英語の塾が通っていて意味がないように感じるので辞めても良いと思うか?
内容は若干異なるとはいえ、このように、細かなことで疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。それぞれにまったく異なる内容の質問ではありますが、共通していることがあると思います。
それは、上記の質問には受験にたいする戦略が欠けているということです。
受験をするには、戦略と戦術の二つの作戦が必要です。戦略と戦術というのは、よくビジネスの世界などで言われている用語ですが、受験にも同じことが当てはまると思います。ですから、受験生は特にこの二つを意識してほしいと思っています。
戦略というのは、「勝ち方」と言い換えても良いでしょう。戦術はその「勝ち方」を遂行するのに必要な準備です。
まず、戦略で重要になってくるのは、二点あり、敵を知ることと自分を知ることです。敵の強みと弱み、自分の得意分野と不得意分野を知らなければ、勝ち筋は見えてきません。ということは、戦略そのものは、当然人によって異なってきます。
たとえば、あなたが戦国武将だったとしましょう。他の武将に比べ、鉄砲を多く持っているわけでもなく、騎馬戦が強いわけでもありませんが、剣術に強い兵士が多いのが強みです。そして、戦う相手は騎馬戦を得意としています。
その場合、戦う場所を平地にしてしまうと勝つ可能性が低いと言えるでしょう。相手の強みが活かせず、かつ自分の強みを活かすのであれば、足場の悪いところで近距離で戦うことになります。ですから、山などの場所に相手をどうやっておびき寄せるかがポイントになります。これが戦略です。
これに対して戦術は、山などの足場の悪いところでの戦い方、もしくは奇襲のかけ方になります。あくまでも、戦略が決まったうえで決まるものです。
さて、これを受験に当てはめてみましょう。受験における戦略とは、以下の一点です。
・どういう試験形式でどこの学校(大学)を受験するのか
受験というのは、合格しなければなりません。その合格をどこで、そしてどういう形で勝ち取るかということです。
たとえば、慶應に志望していてその他の大学に行く気がないのであれば、それこそが戦略です。そして、そこから導き出せる戦術は、慶應のみに合格する勉強法です。ですから、最初の質問に答えると国語の勉強は不要ということになります。
しかし、浪人はしたくない、というのであれば話は変わってきます。浪人にならないことと、慶應の合格を天秤にかけ、浪人になりたくないことを優先するのであれば、そこからおのずとやらなければならないことが見えてきます。その場合は、滑り止めはどこまでの学校にするのかというのを考えていかなければなりません。つまり、戦略を練るということは優先順位を明確にするということでもあります。
そして、どの学校を受験していくかを決める際には、やはり偏差値が重要になってきます。偏差値を通して、相手を知り、自分を知ることができます。特に高3生であればなおさらです。
その意味で最初の質問に答えると、模試は受けたほうが良いでしょう。テスト形式の差があるとはいえ、そもそも慶應に合格する学力があるのであれば、マーク模試もある程度はとれるはずです。慶應に受かるために模試を受けるというよりは、自分の現時点での測るために受験するべきでしょう。そうでなければ、戦略が練れませんから。
そして、戦略が決まることで、初めて戦術を考えることができます。受験する学校(大学)に必要な科目。そしてその優先順位。やるべきテキストなど・・・。
話は少し反れますが、上記のような意味では学校の各科目の勉強は戦略なき戦術と言って良いでしょう。
戦争で例えると、学校の勉強は刀を研いだり、局地戦での戦いを想定した練習をしたりすることです。しかし、それが本番であまり重要でないのであれば、力を入れる必要はありません。要領の悪い人は、こうした戦略なき戦術を真面目にしているのですが、肝心の戦略がないために、受験という大一番でうまくいかなくなることが多いのです。
さて、こうしたことをすべて踏まえたうえで、塾というのは、本来戦略と戦術両方を一緒に考えていくところです。受験に必要な科目すべてを一つの塾で学んでない場合は、戦略は自分で考えなければなりません。塾はあくまでも戦術を考えてもらうところになるでしょう。
どうすれば地方の高校生が都会の大学に総合型選抜入試で合格できるのか?
カテゴリー:志望理由書の書き方2023.06.08
有名私大というのは、そのほとんどが東京、関西、名古屋といった三大都市圏に存在しています。それ以外の地域に住んでいる人にとっては、ただでさえ距離を感じるのに、総合型選抜入試で受験となると、その距離はもっと遠く感じることでしょう。
とはいえ、不利な点だけではなく地方に住んでいることが有利に働くこともありますので、そのあたりについて話をしていきます。
まず、不利な点として挙げられるのは相談相手がいないということでしょう。
・学校の先生
・地元の塾
・同級生
に相談しても求めているような答えは返ってこないでしょう。特に、学校の先生は地元国立志向が強いために、大学の情報自体が間違っていたり、偏見にとらわれていたりすることが多く見られます。
また、総合型選抜入試の制度そのものがわからないというのも弱みかもしれません。これまでに学校で多くの合格者数がいれば、何となくでも制度が分かりますが、周りにいないとなると、
・何をすれば良いのかが分からない
・合格のポイントが分からない
ということに悩んでしまいます。こうした悩みを解消するには、相談できる人を探すのが手っ取り早いのですが、そのほとんどは都会の塾に頼ることになるでしょう。そうすると、いったい何を基準に塾を選べば良いのかも分かりづらいはずですので、そのポイントを押さえましょう。
まず、 総合型選抜の場合は、一般受験と違って学部・学科によってやるべきことが異なるので、試験自体の説明だけに終わっているところは要注意です。というのも、小論や志望理由書の書き方や面接の問答などは全員に共通するものであり、学部学科に関係なく学ばなければならないこともありますが、内容そのものに踏み込めば、学部・学科によって知っておくべきことやおさえておくべき知識が異なりますので、その内容を相談できるかどうかがポイントとなります。
たとえば
・文学部哲学科に行きたい
・商学部に行きたい
・法学部に行きたい
といった三人では、読むべき本も、知っておくべき知識も、その専門知と社会との接点もまったく異なるので、自分の志望する志望学部・学科の押さえるべき点を適切に指導してもらえるかどうかを聞いた方が良いでしょう。単なる「小論文の書き方」だけでは、合格するための小論文にはなりません。あくまでも志望する学部・学科に合わせた小論を書けたほうが良いでしょう。
一方で地方から都会に出ることの強みもあります。たとえば、早稲田大学や慶応大学は、多様性を求め、多くの地域から生徒が来ることを望んではいますが、その思いとは裏腹に、関東圏の合格率が高まっています。これを解消するために、「地域ブロック枠」というのを採用していますが、ほとんどの人は知りません。調べるとすぐに出てきますので、興味のある人は調べてみてください。
こうした制度を利用すれば、合格率は高まります。
また、地元に貢献するという視点がもてれば、武器が一つ増えます。
たとえば、地元の観光産業をもっと盛んにするために○○大学◇◇学部で学びたいとすれば、漠然と観光産業に携わりたいと思うよりも、具体的に考えられます。
上記のような強みをいかしながら、弱みを消していけば、合格率は圧倒的に高まるでしょう。これからますます高まる総合型選抜入試に、みなさんがチャレンジしてくれるのを楽しみにしています。
相談があればいつでも相談してください。
勉強を始めるまでに時間がかかる人はどうすれば良いの?
カテゴリー:勉強方法2023.06.06
「宿題する時間でしょ」
そんな自分のセリフを何度も言った後に、ようやく机には座ったものの、まったく勉強を始める様子がないわが子・・・。そういう姿を見て、イライラされている保護者の方も多いでしょう。
こういうときはどうすれば良いのでしょうか?
そもそも、取り組むまでに時間がかかる人は、気持ちが次の状況に追いついていないので、その気持ちを換えるきっかけをつくってあげることができれば状況は少し改善されます。外出したくなくても、メイクをしたことで、外に出たという経験をお持ちのお母様もいらっしゃるでしょう。会社に行きたくないが、ネクタイを締めることで気持ちが変化するお父様もいらっしゃるでしょう。人は、決まった儀式をすることで、いつもの行動にスムーズに移ることができます。勉強を始めるときも同様です。
こうした人の習性を利用して、今から勉強をするというときに、スイッチが変わるような儀式をすることをお勧めします。その儀式は、「歌を歌う」ことでも、「踊る」ことでも「特定の音を鳴らす」ことでも、「目をつぶってゆっくりと10秒かぞえること」でも何でも良いでしょう。
ポイントは、たとえ集中が長く続かなかったとしても「良し」とすることです。とにかく、学習を始めるまでの時間を早くすることが目的だということを意識することです。