Kip学伸のブログ



わが子が夢に向かって動き出すために

カテゴリー:ブログ2022.07.29

大きな夢に向かって、みずから調べ、みずから行動できるようになれば、こんな素晴らしいことはないでしょう。しかし、実際はなかなか最初の一歩を踏み出すことすらしない、我が子を見て、地団太を踏んでいるお父さん、お母さんも多いと思います。

夢に向かって行動を起こすにあたって、その原動力となり、さらにご両親の協力が必要となる「自己肯定」について今から、お話していきます。自己肯定感というのは、自分の存在や価値を積極的に評価できる感情を意味する言葉です。

 

日本ではあまり重視されてこなかったのですが、おそらくプロスポーツを通して、その重要性に少しずつ注目がいくようになってきました。こうした感情を持てる人が日本では他国に比べて少ないそうです。実際、若者を対象にした意識調査を複数国で実施したところ、日本の若者は「自己肯定感が低い」という特徴があるそうです。内閣府のデータによりますと、たとえば「自分自身に満足している」という項目で、アメリカ86%、イギリス83%、韓国72%なのに対して日本は46%しかありませんでした。あるいは、自分には「長所がある」という項目においても、ドイツ92%、フランス91%に対して日本は69%でこれも最下位です。その他項目においても、自己を肯定するような項目は軒並み低いというのが特徴です。

 

もちろん、自己肯定感というのは感情ですから、先天的なものではなく、環境によって育ってきたものです。言葉を換えると、自分を肯定する感情を育てていく環境が日本ではあまりないということでもあります。人間にあってAIにないものは感情です。自分で自分のことを信じることができるからこそ、想定を超えたことを人は成し遂げることができるのです。自分で自分のことを評価するというのは、もちろん傲慢になるということではありません。心の底で、「自分であればできるだろう」と自分自身のことを信じる気持ちのことです。こうした感情を持てるからこそ、自分の未来を思い描き、その実現に向けて一歩が踏み出せるようになるのです。

 

この自己肯定感を育んでいくためには、二つのことが重要だと思います。まずは、自分の感情に向き合うことです。そのためにはご両親の協力が欠かせません。

学校から帰ってきたお子さんに「今日は何があったの?」と質問することは日常的にあると思います。それに対して、「数学の小テストがあった」という返答があったとします。それに対し、「どうだったの?」と聞くと、「だめだった」あるいは、「良かった」といった答えが返ってくると思います。もっと頻繁にありそうな会話としては、「宿題やったの?」や「終わってないなら早くしなさい」というようなやりとり、していませんか?

こうした会話の中には相手の感情に踏み込んだようなことは一切出てきていません。そこに事実を問う質問と次にやるべき指示だけがあります。こういうような会話が続きますとお子さんが感情豊かに自分の気持ちを肯定することも難しいでしょうし、自分の気持ちを醸成するような時間がないわけです。常に時間に追われるように、「あれやったの」「これやったの」「どうだったの?」「ああだったの?」と絶え間なく続きますと、「自分はこう思った」とか「こういう気持ちになったけど、良いのだろうか」とじっくりと考える時間が作れません。

ですから、じっくりと自分の感情に向き合う時間を意識的に作るために、ご両親がふだんどのような言葉をかければ良いのかを考えていただきたい。難しければ、詰問するのを止めて、自分でじっくりと考える時間をあたえてあげるだけでも良いと思います。自分の心と向き合ってどのような感情が育っていくのかを見つめられる人になれば、自己肯定感はおのずと育っていきます。

もう一つ重要なことは、たとえばある目標ができたときにふつうは「できる」「できない」の二つで考えていまいますが、「できない」を考えずに「できる」ためには何をしたら良いのかと考える訓練です。人間というのはできないための言い訳をする天才です。ですから、「できる」「できない」で考えてしまうと、ついつい「できない」ほうに引きずられてしまいます。そうならないために、最初から「できる」という考えた方を持つのです。

突然話が変わりますが、メンタリストDaiGoという人をご存じでしょうか?最近はYouTubeや動画配信をずっとしていて、時に炎上をして話題になっている人です。彼は、もともと大学生の頃にメンタリストという当時あまり馴染みのない職業というのでしょうか、そういうものを前面的に押し出して、フォークを曲げたり、相手の選んだカードを当てたりして有名になっていきました。今ですと、おそらくYouTubeで検索をかければ彼のそうしたパフォーマンスだけではなく、タネまですべてを解説している動画もあるでしょう。

彼がとある本で対談しているのですが、そのなかにフォーク曲げに関する話をしていました。タネに関して話をしているのかなと思いながら読んでいますと、フォークを曲げるのにいちばん重要なのはフォークが曲がるというイメージを強く持つことだと言っていました。それが非常に印象的でした。なぜなら、フォークは超能力で曲がっているわけではなく、あくまでも物理的な現象で曲がっているにもかかわらず、その技術的なことよりもフォークが曲がるというイメージを重視しているからです。一見すると、タネを特定されないためにごまかした表現をしているのかとも思いましたが、おそらくそうではないのです。

彼はフォーク曲げに関して超能力であるとは一切言っておりませんが、手品ですとも言っておりません。メンタリズムであると言っています。手品であると言ってしまえば、だれも注目してくれないので、これは人に注目してもらうためのフックです。多くの人はメンタリズムと言われても何のことか分からない。ただ、フォークが曲がる現象自体が超能力のように見えるので、このような現象がありえるか否かで考えてしまいます。実際、東北大学のアルミだかステンレスだかの権威の先生たちに囲まれた状況でもフォーク曲げをしたそうです。しかし、この時点で大学の先生たちは負けています。なぜなら物理的にそのようなことはありえないと思考を自分たちのフィールに限定して考えてしまっているからです。現実にフォークはグニャグニャに曲がっているのですからフォークはグニャグニャに曲がるのです。

重要なことは、フォークはグニャグニャに曲がると考え、どんな風に曲がるのかをイメージして、そのイメージを実現するためには何をすればよいのかということを考えるのです。極端な話をすると、フォーク自体が実は曲がっていないとしても、お客さんには曲がっているように見えれば良いわけです。ですから、錯覚も利用するし物理学も化学もあらゆることを利用して、フォークがグニャグニャになれば良いのです。

このことを踏まえて話を戻しますと、お子さんが夢や目標をもったときに、まずは全面的に肯定してあげることが重要だということが分かると思います。

 

ただ、夢や目標をもち語ったときに、何が問題となるか分かりますか?実は、大きな目標や夢を語ると、身近にいる人ほど、ついつい「そんなの無理だよ」と言ってしまいます。さきほどの大学の先生のように。もちろん、お子様にとっていちばん身近な存在はご両親でしょう。だからこそ、ご両親にはそれを肯定していただきたい。「できる」と思い、信じることで、どうすればそれが実現するかを考えることができるようになります。自分で自分のことが信じられなければ、そもそも夢も描けませんし一歩踏み出すこともしなくなるでしょう。重要なことはできるかできないかではなく、「できる」と信じて実現のために一歩踏み出して、自分で工夫をして考えて進むことです。

 

中学受験をしない人は・・・

カテゴリー:高校受験2022.07.27

われわれの塾がある東京都世田谷区は、中学受験の熱心な地域で中学受験率は半分を超えています。たとえご両親が望んでいなかったとしても、学校の友達の影響を受けて受験をしていみたいとお子さんが言いだして、受験をすることになる方も大勢いらっしゃいます。

当然一方で中学受験を最初からしないと決めている人もいますし、するつもりだったけど途中で止めることにしたという人もいます。

中学受験をしないということは、中受をしないということだけではなく、高校受験を選択したということでもあります。

ですから、勉強をしなくて良いというわけではありません。あるいは、数年後には本人もやる気になってくれるだろうと期待だけすれば良いというわけではありません。

ご本人のやる気に期待をするということにして、今後の勉強について考えなくなるというのは、あらゆる判断を先送りしただけで、結局のところ数年後に今と同じ状況になることでしょう。

たとえば、現在小学5年生であれば5年後に高校受験があるわけですから、5年かけてしっかりと学力がつくように考えなければなりません。

ご両親というのは、「やる気」や「急激な成績の上昇」に期待しがちですが、そうしたことよりも、正しい勉強法で日々コツコツと学習を続けるという習慣をつけたほうが、確実に成績は上がります。年齢とともに習慣を変えていくのは難しくなりますから小学生のうちにこそ、しっかりと学習習慣をつけたほうが良いのです。

算数は小6の夏前後には終わらせ数学に入れるように計画を立てる。
英語は中1の入学時には中1の範囲が終わるように計画を立てる。
勉強の量にムラが出ないように一週間単位で勉強スケジュールを立てる。
高校にはどういう選択肢があるのかを小学生のうちから調べる。

1年や2年で成績を上げることは難しくても長い年月をかければ、焦ることなく学習習慣をつけられますから、そうすればおのずと成績がついてきます。中学受験をしないということは、そうして長い年月をかけて計画を立てられるという大きなメリットがあります。

夏期講習の勉強の仕方

カテゴリー:夏期講習2022.07.20

先週金曜日より夏期講習が始まり、明日からいよいよ朝からの授業となります。

受験生にとって大事な時期であることは間違いありませんから、こういうときこそ事前に計画を立てましょう。

目の前の学習だけに追われると、結果的に効率が悪い学習になりますから、まずは夏休み期間にするべきことを科目別に細かくリストアップ。たとえば、英語も単に英語とせずに、文法、長文、単語、英作、リスニングといった具合にテキストごとに分けて考えましょう。

およそ7週間ありますから、それらを大きく二つに分けて前半にするべきことと後半にするべきことに分ける。

次に、するべきことが明確になったら、それを週単位に分けて、各日曜日(何曜日でも構わない)にチェックできるようにする。

週単位でするべきことが決まったら次にそれを一日単位に分けていく。

次に、するべきことが決まったら、今度はそれがきちんとできたかどうかをチェックするようにする。もしできていないことがあれば、フォローできる体制にしておく。

たとえば、英単語を毎日100覚えてテストをする、と決めていたのに他の科目で時間がかかりできないことがあれば、次の日に200覚えるか、できなかったことをする曜日や日程をあらかじめ決めておきそこで行う、という体制をつくっておきます。

机に向かう時間が長くなるのは間違いがないので、ついつい勉強をした気になりますが、その場の気分で進めていたら進捗具合も分からないので、必ず事前計画を立て、その計画が達成されているかどうかもチェックしましょう。

また、学習範囲が終了した科目は、毎週テスト(共通テストやセンターの過去問)をおこない、学力がついているかどうかをチェックできるようにしておくと安心です。社会などの暗記科目はまだ通史が終わっていないという人もいるでしょうから、そういう場合は先に通史を終わらせることを優先しましょう。英語や現代文、数学などは終わっているはずですから、こうした科目は毎週テストをして点数をつけていきましょう。

さあ、勝負の夏です。この夏こそが学力を上げるチャンスのときです。

志望理由書を書くコツ

カテゴリー:志望理由書の書き方2022.07.14

孫氏の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という故事があります。

敵に勝つには、相手のことと自分のことを知ることだという意味です。

志望理由書を書くのも基本はこれと同じです。この基本を守るだけでずいぶんと良い志望理由書に生まれ変わります。

この場合、相手というのは、大学のことになりますから、まず大学を徹底的に調べることです。当然、大学のパンフレットやHPは隅から隅まで読むべきです。大学の理念は何なのか?どういう授業があるのか?大学が力入れていることは何なのか?どういう先生がいるのか?調べられることは無限にあります。

ただし、パンフレットやHPに記載されている言葉をコピペをしてはいけません。

大学のパンフレットは不特定宅数に向けて作っているため、間口を広げるために、具体的には書かれていません。受験生はこれとは逆の立場ですから、できるだけ具体的に書いて、その具体的な例が大学の求めていることと合致すると言えば良いのです。ですから、「様々な視点から」「幅広い知識を」などパンフレットやHPによくある言葉は受験生としては使わないほうが良いでしょう。

コツとしては、カリキュラムや留学制度、大学の先生など固有名を入れることです。

また、大学を調べると同時に大学の立場になって考えてみることも重要です。大学の立場になったときにどういう学生を欲しているのか。また、志望理由書で判断するとはどういうことなのかということについて考えてみるのです。

つまり読み手の立場を考えるのです。

ついつい書きたいことをすべて書こうとなりがちな志望理由書ですが、そうしたことよりも、どうしたら興味をもってもらえるかということを常に意識して書くほうが、はるかに相手の立場になっています。

そうすると、形式的に「無難に書く」という発想ではなく、読み手にどうやったら興味を持ってもらえるのかという発想になってきます。志望理由書に限りませんが、文章であれ映像であれ最初と最後がもっとも肝心です。だからこそ推敲を練って、読み手に伝わる表現を考える必要があります。そのために重要なのは、どこまで具体的に考えているかということです。ついつい使ってしまいがちな、「グローバルに活躍する」「多様な社会」「持続可能な環境」といった言葉には具体性がなく、何も考えていないことがすぐに分かります。コツは一つのことに絞って深堀して書くことです。「多様な社会」と書くのであれば、今どういった人が不利益を被っていて、その不利益をどうやって払拭できるのか、ということを書くのです。一方で、内容を詰め込みすぎると、しばしば一文が長くなります。読み手のことを思うのであれば、全体的に一文は短めで書いて読みやすくなるよう工夫をするほうが良いでしょう。

次に、己のことを知らなければなりません。

己のことを考えるには次のように考えると良いでしょう。

①将来はどういうことがしたいのか?
②そのきっかけは何なのか?また、どういう活動をしてきたのか。
③そのために大学で何を学ぶ必要があるのか。

上記のことを書く際に、自分の長所やこれまでの活動といったことも当然重要ですが、同時に「社会的意義」も意識しましょう。たとえば、建築学科へ行きたい場合、だれのためにどういった建築を作りたいという視点から離れずに書くのです。自分のことだからといって、内省ばかりしていると、社会的な視点がなくなってしまいます。そうした意味では己を知る場合も、情報収集が重要になりますから、書籍やインターネットを活用しましょう。たとえば、外交官になりたいのであれば、まずは元外交官の本を読んで自分なりに具体的なイメージをもてるようにするのです。

さて、最後に付け加えるとすると、書いた志望理由書は誰かに添削をしてもらうほうが良いでしょう。客観的な意見が聞けるからです。多くの人に意見を求めると、船頭多くして船山に上ることになるので、信頼できる人、一人か二人で良いでしょう。