中学受験をするかどうかで迷っている人
カテゴリー:中学受験2022.06.10
Kip学伸は東京都世田谷区にある塾です。塾近辺の公立小学生は、年や学区によっても多少の差は見られるものの、およそ半分~7割くらいが中学受験をします。
そういうエリアですから、たとえご両親が中学受験を考えられていなかったとしても、お子さんがお友達の影響から「受験をしたい」と言いだし、どうすればよいのかで迷われるケースが多く存在します。
ご両親が中学受験経験者の場合、多くはお子さんにも中学受験を考えられていると思います。あるいはご夫婦の方針として受験をしようと決められている人も迷うことなく中学受験を選択されるでしょう。そうした人たちは早くから情報収集をしているでしょうし、近年の受験事情にも詳しいでしょうから、受験をするべきかどうかでは悩みません。
東京は全国から人が集まってできた都市ですから、東京出身ではないお父さんお母さんも数多くいらっしゃいます。また、そうした場合多くのお父さん、お母さんが中学受験を経験していません。
一部の都市部を除くと、多くの日本の地域では、公立中学から公立高校へという進学が普通です。高校も選択肢は多くなく、その中で選び進学するのです。
大学受験になって初めて、地元の国立に行くか東京をはじめとした大都市の大学に行くかを選択しなければなくなります。そうした状況と、中学受験をするかどうか、しかもその選択肢が多数にあるといった状況では大きな違いがあるのは当然です。加えて時代も異なるとなると、我が子の置かれている状況をどのように方向づけをしていけば良いのか、非常に悩まれるでしょう。
そうした場合、どうやって判断をすれば良いのでしょうか。
最初のポイントはご両親の覚悟です。中学受験は「親の受験」と言われるほどご両親への負担が大きく、特にお母さんには心身ともに相当の負荷がかかります。
高校受験、大学受験とお子さんの年齢が上がるにつれて、ご両親の負担は経済的なもののみになっていきますが、中学受験の場合は経済的負担だけでなく、肉体的、精神的にも大きな負荷がかかります。最近は、昔に比べてお父さんが協力してくれるケースも増えてきています。塾選び、日々の学習のチェック、学校選び、学校見学、塾の面談・・・・するべきことが山ほどありますから、ご夫婦で協力されるほうがスムーズにいくことが多いでしょう。
中学受験をするかどうかで最初の関門となるのがご両親の覚悟だという話をしましたが、覚悟のなかでも最初にくるのは、ご家庭の経済状況です。
公立の中学ですと学費はかかりませんが、私立中学にいけば年間で授業料のみで50万ほどかかります。それに加えて入学金や交通費などその他諸々の費用がかかります。学費以外でもかかる費用もありますから、公立中学へ行くことを考えると負担は大きいと言えるでしょう。
また、私立中学に入学したからといって、塾に行かなくて良いというわけではありません。成績を向上させたり、トップを目指したりするのであれば、やはり塾に行く必要がある可能性は高いでしょう。
そもそも受験をする場合は当然、塾の費用もかかり、平均的に小4~小6の三年間塾に通うと200万~300万前後になります。
こうしたことを踏まえますと、ある程度の経済的な余裕があることがポイントとなります。いったん受験勉強に入ったものの、経済的な理由から撤退しなければならないとなるのは望まれないでしょうから、最初にある程度調べておくことが重要です。
このようなことばかりを聞いてしまうと、受験に対して消極的になるかもしれませんが、当然メリットも数多く存在します。多くの人が受験をするのは、そのメリットがデメリットを上回ると考えているからに他なりません。
中学受験、その最大の魅力は「良い大学」に進学できる可能性が高まるということです。カッコをつけたのは、いわゆる偏差値が高く、有名な大学という意味からです。
たとえば、東大の合格者数ランキングというのは毎年発表されていますが、その上位校はすべて中高一貫校です。京大は年によってトップ合格者数校に若干の差があり、大阪の公立高校が最上位に来ることがあるものの10位までを見るとほとんどが中学からの一貫校が占めています。これが最難関の医学部になるともっと顕著になり、都立府立のトップ校ですら、合格する人はほとんどいません。つまり、最難関大学に合格している人の多くは、小学生で脳が固まる前に、徹底的に脳を鍛えているという現実があります。
もちろん、東大や京大といった超難関大学のみで、受験のすべてを語ることはできませんが、私立の学校は大学進学実績が、次の年の受験者数に直結する場合が多いので、少しでも「良い大学」への合格者数を増やすために懸命に努力をしています。
それは、授業のカリキュラムにも表れています。詳細は後ほど書きますが、高校受験がないメリットを最大限に生かすために、最初から大学受験に焦点を絞って学習カリキュラムを組むのです。また、高校で生徒を受け入れないようにしたり、推薦に力を入れたりと様々な面でもその努力は見られます。
時に「偏差値が低い学校であれば、受験する意味がない」と言って、中学時での偏差値で受験をするかどうかを判断される人もいます。
これについて考えてみましょう。偏差値50というのは、中央値ですから受験したテストにおいてちょうど真ん中にいることを示しています。当然、50よりも低ければ真ん中よりも後ろにいるということを意味します。ただし、偏差値はあくまでもその受験したテストに対して出る数値ですから、絶対的な数字ではありません。受験している母集団によって同じ偏差値50でも意味が変わってきます。
そのことを踏まえますと、たとえばお父さんやお母さんが高校受験で記憶している偏差値と、お子さんが中学受験用の模試ででてくる偏差値(しかも、中学受験の場合有名模試がいくつもあり、その模試によって数字が大きく異なります)では、大きく異なるため、そこで出てくる数字で判断するのは早計です。実際、高校でも募集をする私立の多くの学校は、偏差値だけで見ると中学受験のときよりも高い傾向があります。
参考にするべき点として、大学進学実績が一つ挙げられます。たとえ、中学受験時に偏差値が低かったとしても、大学進学実績が良ければ、それだけ学校が伸ばしてくれるわけですからお得といえばお得です。
ところで、受験をするべきかどうかで悩まれる方の大半は受験をする場合のことのみを考えています。
重要なことは、中学受験をしないのであれば、高校受験をするということですから、そこにどういう選択肢があるのかということを調べたうえで、両者を比較することです。
通える範囲での都立高校はどこがあるのか?
都立高校を受験するのであれば、学校の成績が3割を占める。専科は成績がとれるかどうか。
ご両親が中学受験はマストと考えられていないのであれば、成績が良い場合よりも悪い場合のほうが中学受験をした方が良いように感じています。
「家の子はまだ子どもで、みずから勉強しないから」
では、中学生になったら自ら進んで勉強するようになるのでしょうか?
勉強しない子であれば、むしろ親がお尻を叩いて勉強させられる中学受験のほうが良い可能性が充分にあります。また、これまでも言いましたが中高で学力をつけるよう力を入れてくれる私立中学はたくさんあります。
反対に成績が良く、勉強が好きなのであれば、地元の中学に行っても勉強するでしょう。また、高校は都立高校の上位校を目指すことになるでしょう。
さて、最後になりますが、中学受験を経験されていないご両親のほうが、いざ中学受験をするとなった際に志望校が超難関校になる傾向があります。
中学受験を経験するということは、人生の入り口に立つ大事な人格形成時に、一所懸命頑張った結果を受け止めなくてはならないということです。受験の数年よりも、その後のほうが長く大切な期間となりますので、そのことを熟慮したうえで、どうするかを決断ください。
やる気の盲点
カテゴリー:中学受験2022.06.01
小学生のわが子の学力がどこまで伸びるのか。低学年であればあるほどみなさん期待が大きいのではないでしょうか。
ましてや初めの塾探しをしようかなと考えられる方にとって、我が子の学習に向かう姿勢が劇的に変わり、勉強量も増え、結果として成績が上昇していけば、こんな嬉しいことはありません。そんな淡い期待を胸にみなさん塾に入ろうと思われるのではないでしょうか。
たしかに、何かがきっかけで劇的に変わる人はいます。子どもに限らず大人でも短期間で急激に変化する人はいます。そのきっかけは誰かの一言かもしれませんし、何かを読んだり見たりしたことかもしれませんし、ひょっとすると塾に入ったことがきっかけかもしれません。
やる気になったとたんに、親が何も言わなくとも机に向かって勉強をするようになった。隙間時間があれば、ゲームをしたりタブレットを見たりするのではなく、勉強をするようになった。やる気にさえなれば、親が何かを言わなくても進んで勉強をする。実際にこうしたお子さんは一定数います。こんなことになれば、ご両親にとっては天国でしょう。おそらく周りの知り合いのお子さんに一人はこういうタイプの人がいるはずです。
こんな魔法のような「やる気」、一つだけ問題があります。
それは、確実にやる気になるという方法がないことです。これは方法論としては、失敗でしょう。
もちろん、塾ではやる気が起きるよう、モチベーショントークをしたり、咤激励をしたりします。受験生であればなおさらです。しかし、そうした話がきっかけでやる気になることもあれば、残念ながらその場で終わってしまうこともあります。ましてや、小学生中学年くらいですとなおさらです。
本来の目的がわが子の学力を上げることであるのであれば、そうした偶然に委ねるよりも確実な方法を考えたほうが良いとは思いませんか。
もう一度念を押しますと、何かがきっかけで劇的に人は変わります。大人も子どもも変わります。ところが、何がきっかけでそうなるのかは誰にも分かりません。あるいは、そのようなきっかけと出会えないかもしれません。であるならば、「やる気」という偶然に期待するより確実に学力がつく方法のほうが効果的です。
では、確実に学力を伸ばす方法とは何でしょうか?
残念ながら楽をして確実に学力を伸ばす方法はありません。特に小学生の場合は、ご両親が何もせずに学力が自然と伸びていくということに期待をしないほうが良いでしょう。学力に限らず、何事も力をつけようとおもったら地味な作業を続けることが最短で確実な方法です。また、そうした方法を小学生のうちに学ぶことにも意味があります。
まずは、何のための勉強なのかをしっかりと家族で共有する。
目標も家族で共有する。
一週間の学習スケジュールをつくる。
決して「宿題は終わったの?」の一言で終わらせない。
さぼらずに勉強を続ける仕組みをつくること。
ズルができないようにする・・・・・
挙げればきりがありません。「大変だなあ」という感想はごもっともです。しかし、楽をしてわが子の学力を伸ばす方法はありません。こうした地味な作業を一つひとつ進めていくことで、正しい勉強法で勉強することが当たり前になり、そこから成績が上がるようになります。もちろん、塾に入るということはこうした作業をご家族と共同でおこなっていくということでもあります。
何より、確実に力をつけるには「楽をする」という発想から入らない、ということが重要な教育ではないでしょうか。