【東大附属中等教育学校】「実技」試験は何を測っているのか?
カテゴリー:東大附属2026.10.04
こんにちは。今日は、東京大学教育学部附属中等教育学校、通称「東大附属」の入試について、少し踏み込んだ話をしたいと思います。東大附属の適性検査には、国語・社会中心の「適性検査Ⅰ」、算数・理科中心の「適性検査Ⅱ」に加えて、もう一つ、独特な検査があります。それが「実技」です。
はさみやのり、コンパスを使って模型を作ったり、展開図を組み立てたり。この「実技」について、受験を考えたことがあるご家庭なら、一度はこう思ったことがあるんじゃないでしょうか。
「これ、一体何のための試験なの?」
正直、これは多くの保護者の方が感じる率直な疑問だと思います。国語や算数のように、勉強すればするほど点数が伸びる、という実感が持ちにくい。しかも困ったことに、この実技についてきちんと分析している塾や情報サイトが、インターネット上にはほとんど見当たりません。だから「対策のしようがない」「工作が得意な子が有利なだけでは」と感じて、なんとなく苦手意識だけを抱えたまま本番を迎えてしまう。そういうご家庭も少なくないはずです。
「運任せ」と思われがちな実技ですが、はっきりとした意図があると私は考えています。そしてその意図さえ掴んでしまえば、対策の方向性はちゃんと見えてきます。
本日は、直近数年間の実技の実際の問題を具体的に見ながら、「この検査は結局、何を測ろうとしているのか」を、過去問そのものから読み解いていきたいと思います。あくまで過去問の分析から見えてくる私なりの見方ではありますが、受験を検討されているご家庭には、対策の方向性を考える大きなヒントになると思います。
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まず「実技」とはどんな検査か
簡単に確認しておきますと、実技は適性検査Ⅰ・Ⅱとは別の時間に行われる検査で、はさみ、のり、コンパス、三角定規などを使って、その場で何かを作ったり、作図したりする検査です。
大きな特徴は二つあります。
1つ目は、材料の追加配布がないということ。問題用紙にはたいてい「材料を使い切ってしまっても、追加の配付はしません」という一文があります。つまり、一度失敗すると取り返しがつきません。
2つ目は、指示がとても長く、細かいということ。単に「箱を作りなさい」ではなく、寸法、折り方、貼り付ける位置、書いてはいけない場所まで、事細かに条件が指定されています。
この二つの特徴を頭に置きながら、実際の問題を見ていきましょう。
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実際の実技問題を見てみる
2024年度:表彰台の模型づくり
2024年度は、部活動対抗のレクリエーション大会を題材にした会話文から始まります。まずトーナメント表を自分で設計させたあとに、「表彰台の模型を作りなさい」という課題が出ます。
条件はこうです。
– 1位を真ん中、2位を向かって左、3位を向かって右に配置する
– 台座の高さは1位から2センチずつ低くなっていく。3位の高さは4センチ
– 台の上面はどの順位も、前の辺が6センチ、横の辺が4センチの長方形
– 台座の底面はつけない。底から見たら内側が見えるようにする
– 模型の内側に受検番号を書く
これだけの条件を、会話文の中から必要な情報を拾いながら、頭の中で一つの完成形として組み立てて、初めて手を動かせる。しかも「底面はつけない」というような、ふつうなら見落としがちな細かい指示も含まれています。
2023年度:四色問題からの立体制作
2023年度は、隣り合う領域を異なる柄の紙で塗り分ける「四色問題」がテーマでした。ルールは単純です。「隣り合う領域には違う柄を使う」「点だけで接している領域は同じ柄でもよい」。
前半はこのルールに従って円を塗り分ける問題ですが、後半では、正四面体・正八面体・立方体という3つの立体を、実際に柄付きの紙で組み立てさせます。しかも「辺でつながっている面は異なる柄にする」「同じ絵柄を継ぎ足して作ってはいけない」「絵柄が印刷された面を表にする」といった条件が細かく付いています。
つまり、平面上の抽象的なルールを理解したうえで、それを3次元の立体に矛盾なく適用しなければいけません。読解力・論理力・空間認識・手先の作業が、一つの課題の中で全部つながっています。
2022年度:展開図から箱を作る/指示通りに紐を結ぶ
2022年度は、六角形の箱を展開図から作る問題と、紐を指定された手順通りに結ぶ問題でした。
紐の結び方の問題が象徴的です。7枚の図が①から⑦まで示されていて、「この通りの順番で結びなさい」というだけの問題です。難しい発想は一切いりません。ただ、図を一つひとつ正確に読み取り、その通りに手を動かせるかどうか。それだけが問われています。
3. 「感性」を問う問題はなぜ消えたのか
ここで少し面白いポイントをお話しします。実は2017年度と2019年度の実技には、今とはまったく毛色の違う問題がありました。「曲を聴かせて、その曲の印象を選ばせる」という問題です。2019年度の例で言うと、5つの異なる曲を1曲ずつ流して、それぞれについて「合唱・ピアノ・合奏・和楽器」のどれに当てはまるか、そして「おそい・やさしい・はげしい・たのしい・おそろしい」のどれに近いかを答えさせる、という問題でした。
これは、正解が一つに決まる知識問題ではなく、音楽から何を感じ取るかという、感受性そのものを問う問題です。
ところが、この手の「感性」タイプの問題は、2020年度以降は姿を消しています。代わりに定着したのが、これまで見てきたような「複雑な条件・手順を正確に実行する」タイプの問題です。
これが何を意味するのか、断定はできませんが、私は次のように考えます。実技という限られた検査時間の中で、学校が優先して測りたいものが、「感性の豊かさ」よりも「指示を正確に理解し、実行する力」に、より重心を置くようになった、ということです。
東大附属は、比較的自由な校風の学校として知られています。先生が手取り足取り管理するタイプの学校ではありません。実際、それが理由で志望するという人もたくさんいます。だからこそ、「先生の指示や、資料に書かれている情報を、自分の力で正確に読み取り、実行できるか」という力が、入学後にとても重要になってくる。実技という検査は、その力があるかどうかを、教科の枠を超えて確かめるための場になっているのではないか、と考えられます。
4. 共通して見えてくるもの
ここまで見てきた問題に共通する要素を、改めて整理してみます。
1つ目。長く複雑な指示を、最後まで読み切る、聞き切る力。途中で「もう分かった」と思って手を動かし始めると、必ずどこかの条件を見落とします。
2つ目。「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を同時に処理する力。切ってよい部分、切ってはいけない部分、のり付けしてよい部分、してはいけない部分。こうした禁止と許可が入り混じった条件を、頭の中で整理しながら作業する必要があります。
3つ目。やり直しがきかない緊張感の中で、最後まで丁寧にやり切る力。材料の追加配布がないという設計そのものが、「一度きりの本番で、集中力を切らさずに完成させる」という姿勢を試しています。
これはまさに、単なる「工作の上手さ」や「手先の器用さ」の問題ではなく、指示を正確に理解し、実行する力を測る検査だと言えると思います。
5. 保護者の方へのヒント
最後に、これから受験を考えるご家庭に向けて、少し具体的な話をします。まず大切なのは、特別な図工の才能を伸ばすことではありません。むしろ日常の中で、次のような練習が効果的だと考えられます。
– レゴブロックなど、説明書通りに組み立てるタイプの教材に取り組む。自由に作らせるのではなく、あえて手順書通りに作らせることがポイントです。
– 折り紙で、山折り・谷折りといった基本用語を理解しながら、指定された形を正確に折る練習をする。
– 家電のマニュアルや、料理のレシピなど、日常にある「手順書」を、お子さん自身に読ませて、その通りに動いてもらう。
– 何か作業をお願いするときに、口頭で複数の条件を一度に伝えて、最後まで聞いてから動けるかを見てあげる。家のお手伝いがお勧めです。一度で指示を理解するにはそれなりに訓練が必要となります。
そして何より大事なのが、最後までやり抜く心です。過去問の中には、一見複雑そうに見えても、実は手順通りに一つずつ進めれば必ずできる問題がほとんどです。途中で「難しそう」と諦めてしまわないメンタルを育てることも、実は立派な対策の一つです。
最後に一点だけ注意してください。本日お話した内容は、あくまで過去問の傾向から見えてくる一つの見方であり、学校が公式に発表している出題意図ではないという点は、念のため申し添えておきます。
東大附属を目指す保護者へ 「自由な校風」の誤解
カテゴリー:中学受験2026.07.26
本日は東大附属を目指す人に向けてお話をしていきたいと思います。私の塾では「東大附属コース」というのがありまして、東大附属を希望される人用のコースがあります。当然、東大附属を目指すうえでの相談をたくさんいただくのですが、数多くの話を伺っているうちに、学校の校風について誤解をされているな、と思うことが多くありますので、そのことについて話をしたいきます。
【本題1:自由な校風の誤解】
まず、多くの人が東大附属を志望する理由として、「自由な校風」というのを挙げます。「自由」と聞くと、多くの方はこう考えます。
- 校則がゆるい
- 好きなことができる
- 型にはめられない
たしかに「自由の定義」としては間違ってはいません。しかし、実際に合格した生徒を見ていると、彼らは 「自由だから何をしてもいい」というタイプの生徒ではありませんでしたある程度、言われたことがきちんとできて、その土台があったうえで、個性がある。
こういう人が合格してきました。おそらく、求められる「自由」というのは、 「何もしなくていい自由」ではなく 「土台がある上での、伸びしろとしての自由」だと言えるのではないでしょうか。
そしてここで、もう一つ、非常に多くの保護者の方が誤解されているポイントがあります。それは、
「協調性がなくても、自由な学校だから個性として認めてもらえるはず」
という考え方です。これはおそらく東大附属を誤解されています。協調性がないことを、個性だとは学校側は考えていないでしょう。
- 集団行動が苦手
- みんなと同じ動きができない
- 周りに合わせようとしない
こうした特徴を、「自由な校風なら個性として尊重してもらえる」と捉えてしまう方が一定数いらっしゃいます。しかし学校側が見ているのは、「協調性がないなかで光る個性」ではなく、「協調性があったうえで、さらに自分の考えや持ち味を発揮できるかどうか」です。
つまり、協調性のなさは土台の欠如であって、伸びしろとしての自由の中身ではないのです。自由な校風の学校ほど、実は集団としての規律や信頼関係を、生徒同士の自主性に委ねている部分が大きくなります。だからこそ、協調性がない子はかえって浮いてしまい、「自由だからこそ求められる人材」からは遠ざかってしまう、ということを知っておいていただきたいと思います。
【本題2:向かないタイプの特徴】
では具体的に、どういうお子さんがあまり向いていないのか。 3つのポイントでお話しします。
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学校の欠席が多い
自由な校風=毎日行かなくていい、ではありません。東大附属は国立の学校ですから、まずは出欠状況を見ると思ったほうが良いでしょう。また、日々の積み重ねや周囲との関わりを 大事にする、といったことも学校の理念に書かれています。学校を休みがちなお子さんは、 土台となる基本的な生活リズムや集団適応の部分で 苦労してしまうケースが多いです。
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学校の成績(通信簿)がとれない
「自由な学校だから成績は関係ない」 と思われがちですが、これも誤解です。通信簿は、テストの点数だけでなく
- 授業態度
- 提出物
- 主体性
といった、日々の積み重ねが反映されます。ここが著しく弱いお子さんは、 「言われたことを継続してやる力」がまだ育っていない というサインかもしれません。
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言われた指示が一回で聞けない
これが実はもっとも大事なポイントです。自由な校風の学校ほど、 先生が手取り足取り教えてくれるわけではありません。一度の指示、一度の説明で 「何を求められているか」を理解して動く力が必要です。これができないと、 自由な環境の中でかえって迷子になってしまいます。
東大附属 親の推薦書の書き方 書く内容とポイント教えます!
カテゴリー:志望理由書の書き方2025.10.05
本日は、東大附属中学の推薦入試で必要な「親の推薦書」について、書き方のコツをお話しします。推薦書は、お子さんの魅力を学校に伝える大切な書類です。どう書けばいいのか迷う方も多いので、ポイントを分かりやすくまとめました。
1. 推薦入試制度と親推薦書の役割
東大附属中学には、一般入試とは別に推薦入試があります。この入試では、保護者が子どもの推薦書を書くことが必須となっています。学校は、子どもの個性や家庭での様子、将来性などを、保護者の目線から知りたいと考えています。ですから、単なる「いい子です」ではなく、具体的で説得力のある内容が求められます。
2. 書くための材料集め!3つのポイント!
推薦書を書く前に、次の3つを準備しましょう。
- お子さんの強みとエピソードを整理すること
どんな性格か、どんな場面で力を発揮してきたかを思い出します。活動歴や表彰など、数字や具体的な成果がある場合はメモしておきましょう。
・具体的なエピソードで子どもの「強み」「成長の過程」「人柄や価値観」など。
・この学校でどのように伸ばしてほしいか。どんな力を身につけてほしいか。
- 東大附属中学の教育目標を理解すること
東大附属には、「自己を確立し、ことばと論理の力を育てる」という方針があります。こうした学校の理念とお子さんの特長を重ねることが大切です。また、東大附属が東大の教育学部の研究機関であることも重要な要素として考えらます。研究機関であるためか、自塾の合格者を振り返ると、わりと個性の強い受験生が合格する確率が高いように感じられます。一般的な学校であると「学力の高い受験生」が合格する確率が高くなりますが、東大附属の場合は、研究対象として魅力のある「個性のある受験生」をとりたいのではないでしょうか。これはどちらかというと、対策でどうにかなるものではなく、生まれついての性格や資質の問題だといえるでしょう。とはいえ、保護者があまり子どもを型にはめずに、その個性を伸ばすような教育方針をもつことはできるはずです。ちなみに去年自塾で合格した生徒は、メイキャップアーティストになりたい男の子で、彼は面接にメッシュの入った髪形で受験をしに行きました。 - 東大附属でどう成長してほしいのか
・将来の夢や方向性にも触れるとよい。どういう6年間を過ごしてほしいのかを考えると良い。ここでもやはり学校の特色と結び付けられると良い。
3. 推薦書の構成と書き方
推薦書は、およそ350字程度のものとなります。350字という文字数では、詳細を書くことはできませんので、できるだけ整理することが重要になってきます。次のような5つの流れに沿って書くとスムーズです。
- 導入
お子さんを推薦する立場としての思いを書きます。
例:「東大附属中学の教育理念に深く共感し、息子〇〇を推薦いたします。」 - 学校との接点や共感できる部分
学校の教育目標のどこに共感したか、たとえば「自己の確立」「探究的・協働的な深い学び」「ことばの力や論理の力を養う教育」など。そして、なぜこの学校を選んだのかを具体的に。どの点で共感したか。 - お子さんの特長や成長のエピソード
強みや人柄が伝わる具体的な出来事を書きます。
例:「学級委員としてクラスをまとめ、意見が割れたときも対話を大切にし、最終的に全員が納得できる解決に導きました。」 - 将来の展望と学校への期待
この学校でどのように成長してほしいか、将来の目標も含めて書きます。 - 締めくくり
学校への感謝と協力の姿勢を示し、簡潔にまとめます。
例:「貴校の教育のもとで、さらに成長していけると信じております。どうぞよろしくお願いいたします。」
4. 良い例・悪い例
- 悪い例:「明るく元気な子です。よろしくお願いします。」
→ 抽象的で印象に残りません。子どもの個性を「無難な言葉」でぼかしてしまうと、印象が薄れるので、具体的な言葉で書きましょう。
- 良い例:「人前で話すのが苦手だった息子ですが、地域のイベントで司会を務める経験を通じて、自分の自信をもって意見が発表できるようになりました。」
→ 具体的なエピソードがあり、成長の過程が分かります。
5. 推敲とチェックポイント
書き終えたら、次の点を見直してください。
- 誤字脱字や字数オーバーがないか。⇒ワード、もしくはChatGPTに聞く
- エピソードが具体的に書かれているか。
- 学校の教育目標とお子さんの特長がきちんと結びついているか。
- 熱意は伝わるか、しかし誇張しすぎていないか。
- 読みやすい段落構成になっているか。
- 誇張や嘘は絶対に避ける → 書類・面接で矛盾があればマイナスになる。
- 書き方が硬すぎて人間味がない → 熱意や親としての思いが伝わるように自然な言葉で。
- 同じ語尾が続いていないかどうかのチェック⇒「~と思います」「~を望みます」など。
【合格体験記】東大附属推薦合格
カテゴリー:ブログ2024.02.16
個性で勝負!
昨年度東大付属に推薦で合格したO君は、とても個性的な男の子でした。
将来は、メイクで人を幸せにしたいと言っていました。
最近、自宅にこもってふさぎこんでいるというおばあちゃんの家に行って、メイクを施してあげると、おばあちゃんの顔に笑顔が戻ったと書いた作文は印象に残りました。自分でもメイクをし、お母さんの話によると、コスメ関連はお母さんよりもずっと詳しいそうです。
そんな彼がkip学伸に入塾したのは5年生の秋とかなり遅めでした。ただ、入塾当初からマックスで塾に通い、ものすごいスピードで後れを取り戻していき、最終的には通常カリキュラムに追いついたので、短期間で相当の努力をしたのは事実です。
作文は、目の付け所の良いものが多く、切り込む視点も一風変わっているため、それが彼の個性となってより印象に残りました。
推薦入試前にはお母様が書いた推薦書の添削を数回行い、彼の個性を押さえつけることなく伸ばしてくれそうな東大付属にと志望理由を書きました。添削されるのを嫌がる保護者の方が多い中、積極的に提出していただきました。
推薦入試日も、いつもどおりに長髪の中にメッシュの入った髪形で受験をし、見事に合格をいただきました。
入試当日だからといって、彼の表現である髪形を変えることもなく、堂々と自分を出せた彼の勝利です。
おめでとうございます!
























