Kip学伸のブログ



現在の大学受験制度・・・4

カテゴリー:大学受験2016.09.21

「ゆとり教育」による学力低下が叫ばれて久しいですが、トップ高校の学力は下がっていませんし、そもそも「ゆとり教育」は公立の話ですから、カリキュラムも変わっていません。大学入試だけに注目すると、むしろこれまで述べてきたような理由から難しくなっているといえるでしょう。

参考書一つをとってみても、インターネット普及に伴って大幅に進歩しました。現在では、無料アプリをはじめとしたツールも無数に存在します。情報が増えるにしたがって、当然対策も向上しますから、その結果として入試も難しくなるのです。


一つ例を挙げておきますと、東大の英語入試で出題される英単語の挙げてみます。2001年ではおよそ3000程度の単語だったのが、2011年では6800にまで増えています。

2000年から約十年で倍になりました。

つまり、成績上位者に学力低下などおこっていないのです。



ただ、成績上位者がいく大学が若干変わり、多様化が進んだように思います。


いくつかの例を挙げてみましょう。

一つは、数年前まで日本一受験者数の多かった早稲田の合格者における関東出身者の割合です。十年前は6割ほどだったのが、昨今では7割5分
にまでなっています。これは早稲田に限らず、東大でも慶応でも同じ傾向にあります。関西の京大・阪大・関関同立も同様です。

おそらく、不景気の影響があるのだと思いますが、全国的に「地元志向」が強まっているようです。

代ゼミ20校以上が閉鎖されたのはご記憶に新しいかと思いますが、代ゼミは「浪人して私立文系に行こう」という層に支えられていました。現在では、そういう層が圧倒的に少なくなったのです。

要するに、以前であれば、都会の私立文系に行ったような成績上位者が、地元の国立大学に行こうという流れになったのです。

そしてもう一つの例は医学部を筆頭にした理系志向です。地方を含めた国立大学の医学部の偏差値は大幅に上昇し、現在では地方国立大の医学部の偏差値は東大の理科一類と変わらなくなりました。

また、女子に人気の看護学部は、1991年には全国に11校だったのが、2014年には226校に増えています。

 つまり、成績の良い子は、私立文系よりも国立理系・あるいは国家資格に直結した学部に進学する傾向が強まっているといえるのだと思います。

ぼくは、この現象はノーベル賞の授賞者にも表れているような気がします。2000年までの日本人の授賞者はすべて京大と東大を卒業した人でしたが、2000年以降、東工大、名古屋大、神奈川大、徳島大、山梨大、埼玉大と特にここ数年は地方国立卒の人の受賞が急増しました。

優秀さというものが一つの物差しで簡単には計れず、多様化したのだと思います。


現在の大学受験制度・・・3

カテゴリー:大学受験2016.09.17

大雑把にいうと、200万人のうち25%である50万人が大学へ行った時代と、100万人の半分の50万人が大学へ行く時代はともに進学数の違いはありません。

ただし、そこで平均をとると大きな違いがでるのは当然です。四人に一人しかいけなかった時代と二人に一人が行く時代では、学力平均をとれば前者の方が高くなるとは当然です。

ですから、当時との大学生と現在の大学生の平均をとれば昔の方が高いでしょう。
つまり、当時と現在の平均をとって、昔に比べ学力が落ちたというのはおかしいということです。

しかし、母数が減るのだからトップのレベルも下がっているのではないか?という疑問が当然でてくると思います。これに対する答えはスポーツの記録を考えていただくと分かりやすいと思います。

子どもの数は一貫して減っていますが、スポーツの記録は伸びています。それは、研究が進められているからです。

日本の100メートル走の記録をみても、1987年の100メートル走の日本記録は不破くんという人の10秒33ですが、2015年は、桐生くんが9秒87を出しています。つまり、母数が減っても、対策が講じられていれば、記録は伸びるのです。

受験も同様で、傾向と対策は確実に進んでいるため、研究されやすい難関大学は、その分問題が難しくなっています。

 

 

現在の大学受験制度・・・2

カテゴリー:大学受験2016.09.17

突然ですが、日本で飼われている犬と猫の総数をご存知ですか。

どちらも1000万匹前後で、合わせて2000万匹です。

一方15歳未満の子どもの数は1600万人です。つまり、現在の日本では子どもの数よりもペットの数の方が多いのです。

そしてこの子どもの数の違いこそが、三十年前と最も際立った違いだと思います。

当時は、一学年およそ200万人でしたが、現在は一学年120万人と約半分になっています。

それに反比例するかのように、大学の数は増えています。1990年はおよそ全国に大学がおよそ500ありましたが、現在では800ちかくもあります。まさに全入時代に突入しました。

その結果、大学進学率が大きく変わりました。90年は25%だった進学率が現在では50%を越えるようになりました。これは全国平均でして、東京では現在、大学進学率が70%を越えています。

では、その分大学に入るのは簡単になったのでしょうか。

「ゆとり教育」による学力低下も叫ばれて久しいので簡単になったように思えます。

実際私立大学は生徒が集まらなければ、経営が成り立ちませんから、何が何でも生徒を獲得しなければなりません。その結果、入試が形だけで誰でも入れるような大学が多く存在しますから、入りやすくなったというのは事実です。

ただし、いわゆる難関大学への入学は簡単になっていないと思います。

 

 

現在の大学受験制度 1

カテゴリー:大学受験2016.07.27

ご存知のように、現在は大学入試変革期の真っただ中にあります。

現在の中学二年生からセンター試験がなくなることばかりが注目されますが、実際はこの三十年で大きく変わりました。現在のお父さんが就活されているとき、昨今話題のシャープやパナソニックやソニーはどうだったのでしょうか。そうです。世の中が動いているように、受験状況も大きく動くのです。

しかし、実際に受験がどうなっているのかを知っている方は多くないのではないでしょうか。日々の生徒との面談でも、受験制度が分かっていないことが大半です。

昔は、受験といえば大半が一般受験で、推薦は僅かなものでした。しかし、現在では随分と変わり、センター利用、指定校推薦、自己推薦、スポーツ推薦、公募推薦、AOと多種多様にあり、私立に至っては、半分以上の入学者がこれらの特別入試で合格しています。どうすれば良いのか分からなくなるのも至極当然といえます。

全国の私立大学で最も偏差値の高い学部の一つである早稲田大学政経学部の一般合格者数の推移を見ると、

1990⇒1060名
2015⇒450名

と四割程度に減っています。ちなみに政経学部では、91年に指定校推薦が始まり、07年にセンター利用が始まります。

学部の全体の募集数は大きくは変わっていませんので、変わったのは合格者数の入試方法です。これだけ一般合格者が減ったということは、それ以外での入学者が増えたということですから、受験勉強の仕方も変化させなければならないはずです。

わが子が大学受験で成功するために今できることは?

カテゴリー:大学受験2016.07.04

7月2日(土)に開催しました教育セミナーが無事に終わりました。
お越しくださったみなさま、ありがとうございました。