中央大学法学部はなぜ偏差値が下がったのか
カテゴリー:大学受験2026.06.28
本日は中央大学法学部について話をしていきたいと思います。話をするにあたって、かつては、「法科の中央」と呼ばれたという事実をまずは押さえておきましょう。
昭和の時代、中央大学法学部は司法試験の合格者数で東京大学と1位を争い、早稲田大学を上回る実力を誇っていました。1951年から1970年までの実に20年間、旧司法試験の出身大学別合格者数で1位を獲得し続けた記録は、今も破られていません。
偏差値の面でも、1980年代のMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)の中で偏差値70を超えていたのは中央大学法学部、ただ一校、一学部だけでした。
ところが現在は、その評価は大きく揺らいでいます。「中央法が明治法と並んだ」「中央法はMARCHでも下位になった」――そんな声がネット上にあふれるようになりました。というより、むしろ現在の受験生は中央の法がそんなに高かった時代があること自体が想像しづらいかもしれません
なぜ、あれほどの名門学部が、ここまで評価を落としたのか。今回はこのテーマを、30年というスパンで、事実をもとに掘り下げていきます。
第1章:栄光の時代――「法科の中央」とは何だったのか
まず、中央大学法学部がどれほどの存在だったかを振り返ります。
中央大学の起源は1885年、明治18年に設立された「英吉利法律学校」です。早稲田大学(東京専門学校)、明治大学(明治法律学校)、法政大学(東京法学校)、専修大学などとともに、当時「五大法律学校」と呼ばれた法律専門学校の一つでした。
中央大学法学部が際立っていたのは、なんといっても司法試験です。旧司法試験の時代、1951年から1970年までの20年間、出身大学別合格者数で1位を守り続けました。「法科の中央」というブランドは、伊達ではなかったのです。
この実績を背景に、1980年代の偏差値ランキングでも、中央大学法学部はMARCHの中で頭一つ抜けた存在でした。当時、MARCHの中で偏差値70を超える学部は中央大学法学部しかなく、明治大学の看板学部である法学部でさえ、当時は60台後半だったとされています。
つまり「中央といえば法学部」「法学部といえば中央」という構図が、長く受験界の常識として定着していたわけです。
第2章:分岐点①――1978年、多摩キャンパスへの移転
この栄光に最初の影を落とした出来事が、1978年の多摩キャンパスへの移転です。
中央大学はもともと、東京・神田駿河台という都心の一等地にキャンパスを構えていました。しかし1960年代後半、「神田カルチェ・ラタン闘争」と呼ばれる学生運動が激化し、当時の中央大学はその中心的な存在の一つでした。学生が校舎を占拠し、授業や試験の実施さえ困難になる事態が頻発したのです。
加えて、高度経済成長期の入学者増加で校舎が手狭になっていたこと、そして都心部の大学を郊外へ移転させる政策的な誘導(いわゆる工場等制限法など)があったことも背景にあります。
1973年12月、評議員会は法学部・経済学部・商学部・文学部の昼間部を多摩キャンパスへ移転する方針を決議。当初はオイルショックによる建設資材の高騰や、都心の土地売却額が見込みを下回るといった財政的な誤算にも見舞われながら、最終的に1978年4月、文系4学部すべてが東京・八王子の多摩キャンパスで授業を開始しました。
この移転は、学生運動から大学を切り離すという意味では一定の効果があったとされています。しかし、受験生からの評判は決して芳しいものではありませんでした。都心の利便性を失ったことが、入学希望者の減少や、長期的な偏差値の伸び悩みにつながったという指摘が、関係者の間で繰り返しなされています。
第3章:分岐点②――他大学の「追い上げ」と国際化の波
中央大学法学部自体が大きく失速したというより、むしろ「周りが伸びた」という側面も見逃せません。
1990年代以降、MARCH各大学は軒並み偏差値を上げていきます。週刊東洋経済の分析によれば、明治大学の看板学部である法学部は、1980年代まで偏差値60台後半だったのが、1990年代には70を突破。明治大学商学部も1982年の偏差値63から、2019年には71まで上昇しました。MARCHはどの学部も、1980年代から10ほど偏差値が上がっているのです。
さらに大きな変化が、国際系学部の新設ラッシュです。法政大学の国際文化学部(1999年)、明治大学の国際日本学部(2008年)、立教大学の異文化コミュニケーション学部(2008年)、青山学院大学の地球社会共生学部(2015年)など、各大学が次々と国際系・グローバル系の新学部を設置していきました。
そしてこれらの学部は、軒並み高い偏差値を記録するようになります。2008年に開設された立教大学の異文化コミュニケーション学部は、2012年に中央大学法学部の偏差値と並び、2017年にはついに逆転しました。法政大学でも、グローバル教養学部が偏差値73で全15学部中トップ、国際文化学部も71と、伝統ある法学部や文学部を上回る人気を集めています。
かつてMARCHの中で1980年代に偏差値70を超える学部は中央大学法学部しかなかったのに対し、2019年時点ではMARCH全54学部のうち半分以上の28学部が偏差値70以上になっていました。つまり、「中央法だけが頂点」という時代が終わり、複数の学部が乱立する「多極化」が進んだということです。
英語での議論やリポート作成、必須の留学制度などを通じて、グローバル社会で働く力を身につけられる――という打ち出し方は、資格試験という単一の出口に頼らない中央大学法学部とは異なる魅力として、受験生に強く訴求しました。
第4章:分岐点③――司法制度改革と「弁護士余り」
中央大学法学部のブランドの核は、なんといっても法曹(裁判官・検察官・弁護士)養成にありました。そのコア部分が、2000年代の司法制度改革で大きく揺らぎます。
2004年に法科大学院(ロースクール)制度が導入され、2006年には現行の新司法試験がスタート。これにより、司法試験合格者数を年間3000人規模まで増やす方針が打ち出されました。
その結果起きたのが、いわゆる「弁護士余り」です。司法制度改革によって弁護士の数が大きく増え、以前のように「資格を取れば食べていける」職業ではなくなったとされています。これにより、学力上位層が法曹を目指すルートから離れていく現象が起きました。
中央大学法学部にとって、これは痛手でした。2006年に現行の司法試験制度が導入されてからしばらくは、変わらぬ名門ぶりを発揮し、2015年には法科大学院別の合格者数で全国トップになっています。しかしそれ以降は低迷が続き、2022年には合格者数50人で、ついにトップ5からも転落し、8位という結果になりました。
令和4年度の司法試験合格者ランキングでは、1位の京都大学が119人、東京大学が117人、慶應義塾大学と早稲田大学がいずれも104人で続く中、中央大学は50人で全体8位、私立大学の中では3位という結果でした。かつて東京大学と1位を争った大学とは思えない順位です。
背景には、東京大学や早稲田大学が司法試験の指導に本格的に力を入れ始めたこと、バブル崩壊後には京都大学や慶應義塾大学も参入してきたことがあるとされています。「司法試験といえば中央」という独占的な地位が、competitiveな市場へと変わっていったのです。
法学部出身の弁護士も、こうした状況を率直に語っています。「今の司法試験になって弁護士が大幅に増えた。弁護士になっただけでは差別化ができないので、ネームバリューのある大学に行かないと、と考える受験生が増えた」という指摘もあります。つまり、「資格が取れるなら大学のブランドは二の次」という発想から、「同じ資格を取るなら、より知名度の高い大学で」という発想へのシフトが起きたわけです。
第5章:受験生の選択肢が増えた30年
ここまでの要因を整理すると、中央大学法学部の偏差値が「下がった」というより、こう表現するほうが正確かもしれません。
「中央大学法学部の価値は大きくは変わっていないが、周囲の選択肢が大きく増え、相対的な位置づけが変化した」
1980年代、大学に進学する目的、特に文系で「手に職」を求める受験生にとって、司法試験という出口を持つ法学部の魅力は絶大でした。しかし90年代以降、
– グローバル化を背景にした国際系学部の人気上昇
– 司法制度改革による「弁護士という資格の絶対的価値」の低下
– 他大学(明治・立教・法政など)の看板学部の偏差値上昇
といった複数の要因が重なり、「法学部一強」だった構図が崩れていきました。さらに、1978年の多摩移転による都心からのアクセス低下が、長年にわたるボディブローのように影響したと指摘する声も少なくありません。
実際、2018年の週刊ダイヤモンドの特集では、中央大学法学部を卒業した男性が、近年の偏差値が明治大学法学部と並んだことについて「プライドが許さない」と憤る様子が紹介されています。かつてMARCHで断然トップだった法学部が、格下と見られていた明治大学と肩を並べる状況に、OBたちが複雑な思いを抱いていたことがうかがえます。
第6章:反転攻勢――2023年、45年ぶりの都心回帰
しかし、ここで物語は終わりません。中央大学はこの状況に手をこまねいていたわけではないのです。
2018年12月、中央大学は看板学部である法学部を、2023年に都心キャンパスへ移転すると発表しました。そして2023年4月、ついに法学部は東京都文京区に新設された「茗荷谷キャンパス」に移転します。1978年に多摩へ移転して以来、実に45年ぶりの都心回帰でした。
移転の狙いについて、中央大学の佐藤信行副学長(当時)は、「実学教育において社会と連携しやすくなる」ことを挙げています。都心に立地することで、自治体や法律事務所で働く実務家による教育を受けやすくなり、都心にある法科大学院の教員による授業も開設しやすくなるとしています。さらに法学部を3年で早期卒業して法科大学院に進学する「5年一貫」の法曹養成課程を充実させる狙いもあるとされています。
この移転の効果は、データにはっきりと表れています。ある進学情報サイトの分析によれば、移転前に60.0だった法学部の偏差値が、移転後には62.5まで上昇したとされ、2025年度の志願者数は前年比112%増と、MARCHの中で最大の伸び率を記録したとも報じられています。志願者数の推移を見ても、2023年の約1万2000人台から、2026年には1万5000人を超える水準まで増加が続いているというデータもあります。
もちろん、これらは個別の進学情報サイトが集計した数値であり、予備校の公式発表とは異なる場合がある点には注意が必要ですが、「都心回帰によって受験生からの人気が回復しつつある」という方向性については、複数の情報源で一致しています。
まとめ:偏差値の変動が教えてくれること
中央大学法学部の30年は、一つの大学・一つの学部の浮き沈みであると同時に、日本の大学受験そのものの構造変化を映す鏡のような存在でもあります。
– 学生運動を背景にした1978年の多摩移転で、都心からのアクセスという「立地のアドバンテージ」を失ったこと
– 1990年代以降、グローバル化を背景に国際系学部が次々と新設され、受験生の選択肢が多様化したこと
– 2000年代の司法制度改革によって、「資格を取れば食べていける」という法曹志望の動機そのものが揺らいだこと
– そして2023年、45年ぶりの都心回帰によって、再び評価が上向きつつあること
偏差値というのは、大学の実力そのものというより、「その時代の受験生が何を求めているか」を映す鏡でもあります。中央大学法学部の30年の軌跡は、まさにそのことを物語っていると言えるのではないでしょうか。
今後、都心回帰を果たした中央大学法学部が、かつての「法科の中央」と呼ばれた地位をどこまで取り戻していくのか。引き続き注目していきたいテーマです。
「英検利用?保護者が知らない今の大学受験」
カテゴリー:大学受験2026.06.07
今日は高校生の保護者の方に向けて、「英語の検定試験は受験に有利なのか?」というテーマでお話しします。おそらく保護者の方の多くは、「大学受験=一般入試、筆記試験で勝負」というイメージをお持ちだと思います。あるいは「最近は総合型選抜入試が増えているらしい」というイメージもお持ちかもしれません。
どのような受験方法をとるにせよ、英語に関しては、大学の入試だけでなく、英検などの外部試験が強く影響する時代になっています。
今日は、
・なぜ英検が重視されるのか
・実際どれくらい有利なのか
・取るべきかどうか
この3点を分かりやすくお話ししていきます。
【現状の変化】
まず大前提として、大学入試における英語の位置づけが変わりました。
以前は、
・長文読解
・文法問題
・英作文
といった「試験の点数」がすべてでした。しかし現在は、より実用性を高めることが求められた結果、「英語4技能(読む・書く・聞く・話す)」が重視されるようになりました。この流れの中で注目されているのが、実用英語技能検定、いわゆる英検です。上記のような四技能を測るためには、これまでのどおりの筆記試験だけでは本当の力が測れないという問題があったからです。そのため、
・英検
・TOEFL
・IELTS
といった外部試験のスコアを活用する大学が一気に増えました。
【どれくらい有利なのか】
ここがもっとも気になるところだと思います。結論から言うと、かなり有利になるケースが多いと言えるでしょう。具体的には3パターンあります。
①出願条件になるケース
たとえば、
「英検準2級以上で出願可」
「2級以上で評価対象」
といったように、そもそも持っていないとスタートラインに立てない場合があります。
② 得点換算されるケース
英検2級や準1級を持っていると、英語の試験が
・満点扱い
・高得点換算
になる大学もあります。つまり、英語の試験を受けなくても有利になることがあるのです。
③ 加点されるケース
一般入試でも、
・プラス10点
・評価加点
など、点数として上乗せされる場合があります。
要するに、英検は単なる資格ではなく、受験そのものに直結するツールになったということです。
【実際に英検が使える主な大学】
■ 早慶(早稲田・慶應)
- 早稲田大学:文学部・文化構想学部で「英語4技能利用方式」あり。英検等のスコアが基準を満たせば英語試験が免除され、国語・歴史の2科目で受験可能。国際教養学部では準1級以上で加点あり。
- 慶應義塾大学:一部学部で準1級以上を持つと有利になる加点・換算方式あり(学部により基準が異なる)。
■ MARCH(明治・青山・立教・中央・法政)
- 明治大学:学部別入試・全学部統一入試どちらでも英検利用可。準1級以上が評価対象。
- 青山学院大学:文化政策学部など一部学部で、CSEスコアを出願資格として利用。
- 立教大学:全学部で英検利用可。入試での独自英語試験がなく、英検スコアまたは共通テストの英語の高い方を採用する方式を導入(※換算の詳細は非公表)。
- 中央大学:経済・理工・文学など一部学部で英検スコアを得点換算。経済学部では外部試験のスコアが配点の大きな割合を占める。
- 法政大学:一部学部・方式で外部試験スコアを加点・換算に利用。
■ 関関同立(関西・関西学院・同志社・立命館)
- 関西大学:法学部・文学部・経済学部など複数学部の全学部日程「英語外部試験利用方式(2教科型)」で利用可。CSEスコア1950点(CEFR B1)以上が出願条件。
- 関西学院大学:共通テスト利用入試にて、準1級以上(またはCSEスコア2300点以上)で共通テストの英語が免除になる。全学部対象。
- 同志社大学:一般入試での利用はなし。推薦・AO入試での出願資格として利用可(法学部・グローバルコミュニケーション学部など)。
- 立命館大学:国際関係学部の「IR方式」で英検2級以上が出願条件(2級→80点換算、準1級・1級→100点満点換算)。共通テスト利用入試では準1級以上で英語が満点換算。
補足コメント
ここに挙げたのはあくまで一例です。大学・学部・入試方式によって条件は毎年変わりますので、必ず各大学の最新の入試要項をご確認ください。
【保護者世代とのズレ】
ここが非常に重要なポイントです。保護者の方の感覚としては、
「英検はあくまで資格」
「受験は別物」
という認識が強いと思います。しかし現在は、英検=受験の一部 です。この認識の違いがあると、
・英検を後回しにする
・受験直前に焦る
というケースが非常に多いです。実際、受験直前になってから「英検を取っておけばよかった」と後悔するご家庭はかなりあります。
【じゃあ必ず取るべきか?】
ここも冷静に考える必要があります。結論は、「志望校による」です。
たとえば、
・英検を評価しない大学
・共通テスト重視の大学
であれば、無理に取る必要はありません。反対に、
・推薦入試を考えている
・英語重視の学部
・私立大学志望
であれば、かなり重要になります。
【現実的な戦略】
では、どう考えればいいのか。おすすめはシンプルです。「高校2年生までに英検2級」これが一つの目安になります。これを知らないご家庭が本当に多いのですが、これを知っているだけでだいぶ受験が有利になります。
理由は、
・多くの大学で評価対象になる
・受験直前に焦らなくて済む
・高3のときに他科目に集中できる
からです。
さらに余裕があれば準1級まで目指すと一気に選択肢が広がります。
【まとめ】
最後にまとめます。
・今の受験では英検は非常に重要
・持っていると有利になるケースが多い
・ただし志望校によって戦略は変わる
そしてもっとも大事なのは、「昔の受験の感覚で判断しないこと」です。ここをアップデートするだけで、お子さんの選択肢は大きく広がります。特に「高2のうちに英検をとる」という戦略を立てていれば、受験戦略自体が立てやすくなると思います。ぜひ、挑戦してみてください。
「医学部は昔よりも難しくなったのか?データで徹底検証」
カテゴリー:ブログ2026.05.24
日本の大学では、医学部が最難関学部であると言われていますが、昔から今ほど難しかったのでしょうか。なんとなく「難しくなっている」という感覚はあっても、 実際にどれだけ変わったのか、 データで把握している方は意外と少ないと思います。
今日は、その疑問に正面から答えます。30〜40年前と現在の医学部入試を、 具体的な数字を使って比較しながら、 何が、なぜ、どのくらい変わったのかをわかりやすく解説していきます。受験の専門知識がなくても十分に理解できる内容にしていますので、 ぜひ最後までお付き合いください。
【第1章:偏差値という指標について】
最初に、今日の話の土台となる「偏差値」について、 簡単に確認しておきたいと思います。偏差値というのは、「テストを受けた集団の中で、 自分がどの位置にいるか」を数字で示した指標です。偏差値50がちょうど真ん中。 偏差値60だと、上位約16%に入るレベル。 偏差値65だと、上位約7%。 偏差値70になると、上位約2%です。
ひとつ覚えていただきたいのは、 偏差値は数字の差が小さくても、実際のハードルの差は大きいということです。たとえば偏差値65と70の違いは「5」ですが、 「上位7%の壁」から「上位2%の壁」への変化ですから、 数字の印象よりずっと大きな差があります。これを頭に置いたうえで、データを見ていきましょう。
※偏差値は目安であり、予備校や年度によって変動します
【第2章:1985年の医学部、今では考えられない数字】
では、今から約40年前、1985年頃の私立医学部の偏差値を いくつか見てみましょう。
愛知医科大学の当時の偏差値は 37.5。 藤田医科大学(当時は藤田保健衛生大学)、40.0。 東海大学・北里大学・埼玉医科大学は、いずれも 45.0 前後。これを聞いて、どう感じましたか。
今の感覚で言えば、偏差値37〜45というのは、 入試にあまり特別な準備を必要としない、ごく一般的な大学のレベルです。 医学部であっても大学によってはそれくらいの偏差値であった時代が、確かにあったのです。これには、はっきりとした歴史的な背景があります。
1960年代後半、日本では深刻な医師不足が社会問題になっていました。 特に地方や農村部での不足が顕著で、 政府は解消策として1970年代に医学部の新設・増設を一気に進めました。
その結果、1969年には全国47大学・入学定員4,040人だったものが、 わずか10年後の1979年には79大学・8,260人と、 大学数も定員もほぼ2倍に膨れ上がりました。供給が急増すれば、入学のハードルが下がるのは当然のことです。 「昔の医学部はそこまで難しくなかった」というのは、 決して記憶の錯覚ではなく、データが示す事実です。
【第3章:2025年現在の医学部入試】
では、現在はどうなっているか。2025年の私立医学部の偏差値を見ると、 もっとも入りやすい大学でも偏差値62.5 となっています。偏差値62.5というのは、受験生全体の上位約10〜11%に相当します。 30人のクラスで言えば、上から3〜4番目。 これが「どの医学部でもよい」という場合の最低ラインです。
上位の私立医学部になると偏差値は65〜70を超え、 国公立医学部はさらに厳しく、62〜76という幅の中で、 難関大学の医学部は東京大学の理系学部と肩を並べるか、 それ以上の難易度になっています。1985年に偏差値40台だった大学が、 今では65〜68程度になっているケースもあります。同じ大学なのに、40年間で偏差値が20ポイント以上上がった。 これはもはや「難しくなった」という言葉では追いつかない変化です。
【第4章:25年間の推移データが示すもの】
より長い期間のデータも見てみましょう。大手予備校の駿台全国模試のデータによると、 1990年度から2015年度の25年間で、 国公立大学医学部の平均偏差値は +4.9ポイント 、 私立大学医学部は +10.0ポイント 上昇しています。「4.9や10くらいなら大した変化じゃないのでは」 と思われるかもしれません。
しかし、先ほどの話を思い出してください。 偏差値は、数字の差が小さくても、 実際の競争の激しさの変化は非常に大きいのです。平均が10ポイント上がるということは、 入試に挑む学生全体のレベルが、底上げされた、ということです。 定員が大きく変わっていない中でこれが起きているということは、 それだけ優秀な学生が医学部を目指すようになった、 その集積の結果がこの数字に表れています。
そして重要なのは、このデータが2015年で止まっているということです。 その後も医学部の難易度は高い水準を維持し続けていますから、 1985年から現在の40年間全体で見れば、 変化の大きさはさらに際立ちます。
【第5章:なぜここまで難しくなったのか】
ではなぜ、ここまで変化が起きたのでしょうか。 大きく3つの要因があります。
要因①:「手に職・国家資格」への評価の高まり
1990年代のバブル崩壊以降、日本社会は長い停滞期に入りました。 大企業への就職が「安泰」ではなくなり、 終身雇用や年功序列という従来の安心感が揺らいでいった時代です。
そうした中で、「どんな時代でも必要とされ、 安定した収入を得られる職業」として 医師という選択肢の魅力が大きく上がっていきました。
「どうせ努力するなら、一生使える国家資格を」という、 ある意味で非常に合理的な判断をする優秀な学生が 医学部を選ぶようになっていったのです。
要因②:少子化が進んでいるのに、難易度が上がるという逆説
ここが特に重要な点です。日本の18歳人口は、ピークだった1992年に約205万人いましたが、 現在は約110万人。約40年でほぼ半減しています。受験生全体の数が減っているのに、医学部は難しくなっている。 これは一見矛盾しているように聞こえます。
これが意味するのは、 受験生の母数が小さくなっても、 「優秀な層が医学部に集まる割合が増えている」 ということです。競争人口全体が減っていても、 トップ層の医学部志向が強まっているため、 難易度が下がらない。 むしろ上がっていく。この構造変化こそが、今の医学部入試の本質です。
要因③:定員はほぼ変わっていない
1970年代に急増した医学部の定員ですが、 その後「今度は医師が過剰になる」という懸念から むしろ絞られた時期もありました。需要が増え続けているのに、 供給(定員)がほぼ一定のまま。これは経済の需給バランスとまったく同じ構造です。 欲しがる人が増えて、数が変わらなければ、 「価格」に相当する偏差値が上がっていくのは、 ある意味、自然な流れとも言えます。
【第6章:倍率という観点からも見てみると】
偏差値だけでなく、倍率のデータも少し触れておきましょう。2025年度の実績では、 私立医学部の人気校では実質倍率が10倍を超えています。 たとえば日本医科大学で約10.7倍、 順天堂大学で約12.1倍という数字が出ています。10倍を超えるということは、 10人が受験して、9人以上が不合格になるということです。
比較のために言うと、東京大学の理系学部の倍率は おおよそ3〜4倍程度ですから、 難関国立大学の入試と比べても、 医学部がいかに狭き門であるかがわかります。「偏差値が十分あっても落ちる」という世界が、 今の医学部入試の現実です。
【第7章:まとめ】
今日の話を整理しておきましょう。医学部は昔よりも難しくなったのか、という問いに対する答えは、 データが明確に示しています。1985年には偏差値37〜45で入れる私立医学部が複数存在していました。 現在は、もっとも入りやすい医学部でも偏差値62.5、 上位約10%以上の学力が最低ラインです。
1990年から2015年の25年間で、 私立医学部の平均偏差値は10ポイント上昇しました。
そして少子化で受験生の総数が半減している中でも、 難化が続いているという事実が、 優秀な層の医学部集中という構造変化を物語っています。もし「自分が受験した頃はそこまでじゃなかった」という感覚をお持ちであれば、 それはまったく正しい感覚です。 時代が変わり、医学部をとりまく状況は 根本的に変わってしまっています。
お子さんの受験を考えるうえで、 今日の話が少しでも参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
早慶ダブル合格ならどっちに行く?
カテゴリー:大学受験2026.04.26
こんにちは。本日お話ししていくのは、「早稲田と慶應、両方に合格したらどちらに進学しますか?」ということについてです。少し前であれば、この問いに対する答えはかなりはっきりしていました。
多くの受験生が、迷わず「慶應」と答えていたのです。早慶の関係は、30年間ほとんど変わっていませんでした。ずっと慶應が優勢であったといえるでしょう。ただし、その構図が初めて崩れ始め変化が起きています。
結論から言えば、早慶ダブル合格において、早稲田を選ぶ割合が大きく伸び、ついには逆転する年も出てきました。今日は、この変化が一時的なものなのか、それとも構造的な変化なのか。データとともに整理していきたいと思います。
【第1章】かつては「慶應一強」だった
まずは事実から確認しておきましょう。2010年代後半、早稲田と慶應のダブル合格者がどちらを選ぶかというデータを見ると、おおむね7割前後が慶應を選択していました。つまり当時は、「早稲田と慶應なら慶應」という空気が、受験生の中でほぼ共通認識として存在していたわけです。
この背景にはいくつか理由があります。まず一つは、就職実績です。特に金融や商社など、いわゆる人気業界において、慶應の強さは際立っていました。
もう一つはブランドイメージです。「慶應=エリート」というイメージが非常に強く、同じ私立トップでも、早稲田より一段上と見られる傾向がありました。
したがって、ダブル合格をした場合に慶應を選ぶというのは、ある意味で自然な選択だったと言えるでしょう。
【第2章】しかし現在、状況は大きく変わっている
ところが、この構図がここ数年で大きく変化しています。直近のデータでは、
慶應と早稲田の選択割合はほぼ五分五分にまで接近し、年によっては早稲田が上回るケースも確認されています。
つまり、
・昔:慶應が圧倒的に優勢
・現在:ほぼ拮抗
・一部では早稲田が逆転
という状態にまで変化しているのです。ここで重要なのは、これは単なる人気の揺れではなく、もう少し構造的な変化として捉える必要がある、という点です。
【第3章】「見かけの慶應優勢」という構造
このテーマを考える上で、一つ押さえておきたい視点があります。それは、これまでの「慶應優勢」という結果は、必ずしも同じ条件での比較ではなかった、ということです。
たとえば、早稲田には学部の幅が非常に広く、比較的入りやすい学部も存在しています。そのため、「早稲田の一部学部と慶應」という組み合わせでは、慶應が選ばれやすい傾向がありました。結果として、大学全体の数字を見ると、慶應が大きく勝っているように見えていた、という側面があります。しかし近年は、
・看板学部同士の比較
・同程度の難易度同士の比較
において、早稲田を選ぶ割合が明らかに増えてきています。つまり、「条件が近いときの選択」になったときに、早稲田の評価が上がってきている、ということです。
【第4章】なぜ早稲田が選ばれるようになったのか
では、この変化はなぜ起きたのでしょうか。大きく三つの要因に分けて考えることができます。
① 政経学部の改革
もっとも象徴的なのが、早稲田大学の政治経済学部の改革です。共通テストの導入、そして数学必須化。これは私立文系としてはかなり異例の改革でした。
この結果、何が起きたか。
・受験のハードルが上がる
・学力上位層が集まりやすくなる
という変化が生まれました。つまり、政経学部そのものの「質のイメージ」が大きく上がったわけです。これは大学全体のブランドにも確実に影響を与えています。
② 学問志向の変化
二つ目は、受験生の価値観の変化です。かつては、
・どの大学が有利か
・どこに行けば就職が強いか
という視点で大学を選ぶ傾向が強くありました。しかし現在は、
・何を学びたいか
・どの環境が自分に合うか
といった基準で選ぶ受験生が増えています。この点において、早稲田は
・学問領域の広さ
・自由度の高さ
という特徴を持っており、それが評価されやすくなっていると考えられます。もちろん、この背景には就職時における「売り手有利」の状況が影響していると考えられます。
③ 就職差の縮小
三つ目は、就職における差の縮小です。以前は、特に民間企業において、「慶應がやや有利」という状況がありました。しかし現在は、早稲田も同様に高い実績を持っており、両者の差はかなり小さくなっています。その結果、「慶應でなければならない理由」が弱まり、純粋に学びや環境で選ぶ余地が広がったと見ることができます。
【第5章】これはどちらが上か、という話ではない
ここで一度立ち止まって考えてみたいと思います。この変化は、「早稲田が上がった」「慶應が下がった」という単純な話なのでしょうか。私はそうではないと思います。むしろ起きているのは、「大学選びの基準そのものが変わった」
ということです。かつては、
・ブランド
・就職
といった外的な指標が強く働いていました。しかし今は、
・学びたい内容
・大学での経験
といった内的な基準が重視されるようになってきています。
【第6章】結論:価値観の変化が数字に表れている
早慶ダブル合格の選択が変わってきた理由。それは単なる人気の変動ではありません。
・入試改革
・学問志向
・就職環境
こうした複数の要因が重なり、結果として「選び方そのもの」が変わってきているのです。かつては「とりあえず慶應」という時代でした。しかし今は、「自分にとってどちらが合っているか」で選ぶ時代になりつつあります。
今日の話はいかがだったでしょうか。もしみなさんが早慶にダブル合格したとしたら、どちらを選びますか。ぜひコメント欄で教えてください。
早慶を狙う高1生へ ~ 英語でやるべき3つのこと ~
カテゴリー:大学受験2026.04.12
本日は早慶を目指している高1生に向けた英語の話しをしていこうと思います。まずは、早慶の英語レベルはとても高く、学校の勉強を学校の進度とともに進めても、なかなか届かないことがほとんどであるということを確認しておきましょう。塾や予備校に通っている人も、そこでのカリキュラムに頼りきりにならずに、ある程度自分でも何をいつまでにするべきなのかを意識しておいたほうが良いでしょう。そうやって、3年かけてどうやって合格するかを考えていく必要のある長期戦だと思ってください。
本日は、「文法」「単語」「長文」の三つの項目について高1生がイメージできるように何をするべきかを話していきます。
まず、高2が終わる頃には「高校の英語はすべて終了している」という状況を作って、高3からは過去問の対策に入れるようにしましょう。高3で「今から文法を一から復習する」という人は、残念ながら間に合わせることは難しいでしょう。
【① 文法】いつまでに終わらせるべきか
■結論
遅くとも高1中に一周完成
■理由
・早慶は「文法を問う試験」ではなく「読解の中で文法が使えるか」を問う
・高2以降は長文・解釈に時間を使う必要がある
■理想スケジュール
簡単なテキストで良いので、春の間(高校の入学式前)に高校で学ぶ文法を一周させ、そこから少し難しいもので二周目に入る。
ちなみにKip学伸では、高校の文法が網羅されたテキストを、簡単なものか始めて、終われば少しそれよりは難しいもの、それが終わればさらにそれより難しいもの・・・というスパイラル方式で進めています。文法の演習問題を充分にこなせていないと、過去問の段階で、時間が間に合わないケースが多いので、やはり早めのスタートが重要です。
「文法は知識ではなく前提条件」
【② 長文】いつからやるか
■結論
高1の冬から本格的にスタート
■ただし重要な補足
・高1の間も「短い長文」は触れるべき
→(英語を読む体力づくり)
■段階
① 高1:短文・簡単長文(300〜500語) 簡単な文を正確に読む訓練
② 高2:中〜長文(600〜800語) 難しいものを正確に読む訓練
③ 高3:過去問レベル(1000語以上) 難しい物を正確にかつ速く読む訓練
■よくある失敗
・単語・文法ができていないのに長文をやる
→「なんとなく読む」癖がつく
→下線部などの重要箇所を「感覚」ではなく「構造」で読めることが重要!
読書をしない人よりも読書をしている人のほうが読書のスピードが速いのと同じ原理で、英語も長文を読み慣れている人のほうが、読んでこなかった人よりも速くなる傾向があります。まずは簡単なものからで良いので、正確に読む(文の構造を読み解く)訓練を積んでいきましょう。
長文は文の構造を正確に読み解くことと同時にスピードを上げていくことが重要
【③ 単語】どれくらい必要か
■結論
最終的に7000語。ただし段階を踏む
■内訳イメージ
| 時期 | 目標語数 | 使う単語帳の例 |
| 高1終わりまで | 2000語 | 中学〜高校基礎レベル |
| 高2終わりまで | 4000〜5000語 | システム英単語・ターゲット1900等 |
| 高3夏まで | 6000〜7000語 | 早慶レベルの難単語まで |
■ポイント
・早慶、特に慶應は文脈から意味を推測させる単語が頻出
・単語帳だけでは足りない → 長文の中で覚える習慣が重要
・単語帳は一冊では不十分
例:『ターゲット1900』→『鉄壁』 or 『リンガメタリカ』
■具体的なやり方
・一週間に100語程度覚える(完璧主義NG)
・時間を空けて二周目、三周目に入っていく
「ターゲット1900を完璧にしても早慶には足りない。しかし、1900すら終わってない高3は論外」
東大志願者数 約30年で激減 ~日本の秀才たちはどこへ消えたのか~
カテゴリー:大学受験2026.03.22
みなさん、突然ですが質問です。「東大を受けたい」と思う高校生は、30年前と比べて、今は増えているでしょうか? それとも、減っているでしょうか?
答えは、大幅に「減っている」です。
2025年、東大の志願者総数は8,421人で、これは1995年以降で過去最低の数字です。
ピーク時には1万人を超えていた志願者が、いまや8,000人台。定員はほとんど変わっていないのに、です。
ここで、「あれ? じゃあ京大に流れたんじゃないか?」と思った方は鋭いですね。実は2025年の京大の志願者数は直近10年で最多水準となっており、関東からの志願者が大幅に増加しています。東大を敬遠した受験生の一部が京大に流れた、という側面は確かにありそうです。
しかし、本日見ていきたいのは、そういった「東大から京大へ」という短期的な動きではなく、もっと長い目で見たときの構造的な変化です。かつて「東大を目指していたはずの秀才たち」は、この30年でいったいどこへ向かうようになったのか。今日は、この問いをデータで追っていきます。
【第1章】30年で何が変わったのか
大きく3つの「時代」に分けられる
① 1990年代〜2000年代前半:東大の「黄金時代」
バブル崩壊後も、東大は「日本最高峰」として揺るぎない地位を誇っていました。
東大法学部→官僚・大企業エリートという王道ルートが機能しており、「とりあえず東大を目指す」という価値観が社会全体を覆っていた時代です。東大理科三類(医学部)については、灘高の卒業生がのちにこう振り返っています。「成績優秀者はとりあえず理Ⅲを目指す、という雰囲気があった」——理Ⅲが、最優秀層の『腕試し』として機能していたわけです。
② 2003年〜2015年:医学部への「大移動」
大きな転換点は2000年代に入ってから起きます。医学部の志願者数が急増し始め、国公立・私立を合わせた医学部の志願者数は2005年ごろから10万人を超えるようになりました。この時期、国公立医学部の志願倍率が7〜8倍台に達する超難関時代が到来します。
何がそれほど受験生を医学部へ引き寄せたのか。背景にあるのは就職氷河期や長引く不況です。「どんな時代でも安定して稼げる職業」として医師の価値が急上昇し、偏差値上位層の親も子も「手に職をつける」という発想で医学部を目指すようになっていったのです。
ただし、ここで一つ重要な視点を加えておきたいと思います。
実は、医学部志向には長年にわたる「地域差」がありました。灘(兵庫)・東海高校(愛知)ラ・サール(鹿児島)・久留米大附設(福岡)といった東京以外の最難関校では、昔から医学部志向が非常に強い文化がありました。親が、官僚や大企業幹部である確率が低いため、「優秀なら医者になる」という価値観が根強く、地元の国立医学部が現実的な第一志望として機能していたのです。
一方、首都圏の最難関校——開成・筑駒・麻布といった学校では、長らく医学部志向は相対的に低く抑えられていました。理由は構造的なものです。都内の国立医学部は東大理Ⅲと東京医科歯科大の実質2校しかなく、理Ⅲは「医者になりたい」という動機だけで目指せるような場所ではありませんでした。私立医学部は学費が年間数百万円と高額で、「医者になるために6年間で数千万円払う」という選択は現実的でない家庭も多かった。だから首都圏の優秀層は自然と、東大や早慶の理工系・法学部へと向かっていたのです。
その構図が、2000年代以降の長引く不況で変わります。就職氷河期が長期化し、大企業に入っても安泰ではないという空気が広がる中で、首都圏の親世代にも「手に職をつけさせたい」という意識が急速に広まりました。私立医学部の学費も以前よりは現実的な水準に整理されてきたこと、医師という職業への社会的評価がさらに高まったことも重なり、それまで「医学部はあまり考えなかった」首都圏トップ校の生徒たちにも、医学部という選択肢が本格的に浮上してきたのです。
2000年代以降は首都圏にも医学部志向が波及した——これが「医学部大移動」の実態をより正確に説明する構図です。
③ 2015年以降:医学部も飽和し、「第三の分岐点」へ
しかし2015年以降になると、さらに状況が変化します。医学部人気が一段落する一方で、台頭してきたのが「情報系」への流れです。GAFAや国内IT企業の台頭、AIブームを背景に、東大の理科一類(工学・情報系)が再評価され始めます。「医師免許より、エンジニアとして稼ぐ方が面白い」という価値観が、優秀層のあいだで広がっていきました。
さらにごく一部の最上位層には、日本の大学を飛び越えてMITやハーバードといった海外トップ大学を目指す動きも生まれてきます。
【第2章】「東大が減って京大が増えた」の正体
ここで少し立ち止まって、冒頭の疑問に向き合いましょう。東大の志願者数が減る一方で、なぜ京大は増えているのでしょうか。
2025年の京大の志願者数は8,077人。2021年の7,045人を底にV字回復しており、4年連続の増加で直近10年間では最多水準です。志願倍率も3.0倍と、10年ぶりに3倍台に達しました。この増加の要因として、受験指導の専門家は2点を挙げています。
一つ目は「東大の足切りライン引き上げ」の影響です。2025年度、東大は第一段階選抜(いわゆる足切り)の予告倍率を縮小しました。足切りリスクを避けた受験生の一部が、京大に志望を切り替えた、というわけです。二つ目は、関東からの志願者増加です。2025年の京大志願者に占める関東地区の割合は過去最高水準で、東京からの志願者が大幅に増えています。「東大か京大か」という二択の意識が、首都圏の受験生の間でも根付いてきた証拠とも言えます。
ただし重要なのは、これが「東大→京大」という単純な流れではないということです。同じ時期に大阪大や九州大といった他の旧帝大では志願者が減少しています。学力上位層の受験生が「より高い目標へチャレンジする」傾向が強まった結果、東大と京大だけが突出して選ばれているという構図です。
【第3章】秀才たちが向かった「3つの行き先」
では、東大から流れ出た優秀層は、具体的にどこへ向かったのか。大きく3つに整理できます。
行き先① 医学部(最大の受け皿)
最大の受け皿となったのは、やはり医学部です。象徴的なのが、私立医学部の偏差値変化です。1975年時点で偏差値47.5程度だった私立医学部が、2010年代には偏差値65を超えるまでに難化しています。つまりこの30〜40年で、医学部は「東大・京大と肩を並べる難関」へと変貌したのです。
- 偏差値は生成AI調べ
関西の進学校・洛南高校の事例も示唆的です。かつては京大合格者数を年間100名以上出していた時期がありましたが、医学部志向の高まりとともに、優秀な生徒が京大ではなく医学部を選ぶようになり、その数は減少していきました。
行き先② 情報系・理工系(急成長する新勢力)
2010年代後半から急速に存在感を増したのが、情報系・理工系への志向です。AI・ITの隆盛とともに、「医師免許より、エンジニアとしてのキャリアを選ぶ」という価値観が最優秀層にも広がり始めました。東大理科一類の再評価はその象徴です。また近年は「医学部離れ」が灘や筑駒でも指摘されており、「情報系が面白い」という理由から医学部志望を変更する生徒も出てきています。ただし、これも生成AIの登場で変わる可能性が高いかもしれません。
行き先③ 海外大学(少数精鋭だが確実に増加)
絶対数はまだ少ないものの、無視できない動きが海外大学への進学です。灘・開成・筑駒といった最難関校から、毎年数名〜十数名がMITやハーバード、オックスフォードなどへ直接進学するようになっています。かつては「東大に受かる実力があるのに、なぜ海外へ?」という視線もありましたが、今は「東大合格を蹴って海外へ」という選択が、進学校の文化として定着しつつあります。
【第4章】これは「東大の凋落」なのか?
ここで、一度立ち止まって考えてみたいことがあります。志願者が減ったというのは「東大の凋落」を意味するのでしょうか?私はそう思いません。
東大の研究水準や教育の質が下がったわけではありません。むしろ起きているのは、「東大しか選択肢がなかった時代の終わり」です。
30年前、日本の最優秀層には事実上「東大か、京大か」という二択しかありませんでした。医学部は難しくなく、海外大学は現実的な選択肢ではなく、情報系に高い給与や社会的評価はありませんでした。しかし今は違います。は東大に匹敵する難関になり、GAFAに入れるエンジニアになれば年収で医師を上回ることもあり、海外トップ大学は優秀な日本人高校生に門戸を開いています。
「秀才が東大を選ばなくなった」のではなく、「秀才の地図が広がった」——これがこの30年の本質だと思います。これは日本の教育にとって良い変化だと私は思います。画一的な序列の頂点を目指すのではなく、自分の興味と才能に合った場所を選ぶ。そういう時代に、ようやくなってきたということかもしれません。
日比谷が灘を抜いた?【東大合格者数2025】―10年で激変した「新・学歴地図」の正体―
カテゴリー:大学受験2026.03.20
東大合格者数の比較
2025年度 2015年度
| 順位 | 高校名 | 合格者数(現役) | 順位 | 高校名 | 合格者数(現役) |
| 1 | 開成 | 150(107) | 1 | 開成 | 185(120) |
| 2 | 筑波大附属駒場 | 117(92) | 2 | 筑波大附属駒場 | 112(81) |
| 3 | 聖光学院 | 95(85) | 3 | 灘 | 94(72) |
| 4 | 麻布 | 82(52) | 4 | 麻布 | 88(50) |
| 5 | 都立日比谷 | 81(65) | 5 | 駒場東邦 | 82(60) |
| 6 | 灘 | 77(59) | 6 | 桜蔭 | 76(62) |
| 7 | 渋谷教育学園幕張 | 75(62) | 7 | 聖光学院 | 74(62) |
| 8 | 県立横浜翠嵐 | 74(67) | 8(同数) | 海城 | 56(43) |
| 9 | 栄光学園 | 55(43) | 8(同数) | 渋谷教育学園幕張 | 56(36) |
| 10 | 桜蔭 | 52(42) | 10 | 東京学芸大附属 | 54(22) |
出典:インターエデュ「2025年 東京大学 合格者 高校別ランキング 合格数順」
【1】東大合格者数が増えた「3つの勝ち組」
2015年から2025年の10年。日本の教育界では、これまでの常識を覆す地殻変動が起きていました。ランキングの顔ぶれが激変した背景には、明確に「躍進した3つのタイプ」が存在します。
(1)公立の逆襲(日比谷・横浜翠嵐)
10年前は、東大合格者数のトップ10に公立校は日比谷1校(37人・10位)のみでした。まさに「私立中高一貫校の一強時代」でした。しかし、2025年は日比谷が80人を叩き出し、あの灘を抜いて4位に。さらに神奈川の横浜翠嵐も猛追し、トップ10の常連となりました。
これは、東京都の「進学指導重点校」指定による入試改革や、学校を挙げた「現役東大合格プロジェクト」の成果です。「塾に行かなければ受からない公立」から、「学校が東大受験を完全プロデュースする公立」への進化。これが私立の牙城を崩した最大の要因です。
(2)「管理型・面倒見」の勝利(聖光学院)
かつて東大合格といえば、麻布や灘に代表される「自由な校風」の学校が代名詞でした。しかし、2025年のデータで圧倒的な存在感を放つのは、神奈川の聖光学院(95人・3位)です。
聖光学院は、塾いらずとも言われる手厚い学習指導や講習、徹底した進路指導を行う「管理型・面倒見の良さ」で知られます。先行き不透明な時代、受験の過熱化に伴い、保護者が「自由」よりも「確実に合格まで導いてくれる環境」を求めた結果、志望者が激増し、この10年で順位を不動のものにしました。
(3)「共学・グローバル」という新潮流(渋幕・渋渋)
「東大を目指すなら男子校・女子校」という古い固定観念も、この10年で過去のものとなりました。渋谷教育学園グループの渋幕・渋渋の2校が、揃ってトップ10圏内に定着しています。特に渋渋(渋谷教育学園渋谷)が初の50人超えを果たしたことは象徴的です。海外大学への進学実績も高く、「東大はあくまで通過点。その先のグローバル社会で通用する力を」という、今のエリート層が求める教育理念が、合格者数という形で見事に結実しています。
【2】東大のブランド力:なぜ公立は「数」にこだわるのか?
ここで一つ疑問が浮かびます。「なぜ今、公立高校はここまで東大合格者数にこだわるのか?」という点です。その理由は、公立にとって東大合格者数が「学校ブランドを再建するための最強かつ唯一の指標」だからです。
10年前、公立トップ校は私立への優秀層流出に苦しんでいました。その流れを食い止めるには、教育内容を説くよりも、「東大に〇〇人合格」という圧倒的な数字を示すのが最も効果的だったのです。いわば、公立は「ブランドを作る」ために東大合格者数を戦略的に伸ばしています。日比谷などの実績は、地域最強の公立としての威信をかけ、国公立医学部への分散を抑えてでも「東大という看板」にリソースを集中させた、執念の結果とも言えるでしょう。
【3】灘の合格者数が減っている理由:数字の裏にある「質」
対照的に、「西の王者」灘(77人)の合格者数が10年前の94人から減少しています。これは、灘のレベルが低下したのでしょうか?灘の場合は、注目すべき点として、東大の中でも別格の最難関、「理科三類(医学部)」の合格者数です。過去10年の累計を見ても、灘は理三合格者数において不動の日本一。2025年もトップクラスを維持しています。灘の生徒にとって、東大は「数」を競う場所ではありません。彼らにとっての優先順位は「理科三類 > 国公立医学部 > その他の東大」。
理三以外なら、京都大学医学部や大阪大学医学部といった、東大理一よりも合格難易度が高い「地元の名門医学部」を迷わず選ぶ傾向があります。この「究極の医学部シフト」が、表面上の「東大合格者数」を減らしている正体なのです。公立がブランドを「作る」段階なら、灘はすでにブランドを「選ぶ」段階にいると言えます。
【4】今後の展望:東大ブランドは維持できるのか?
最後に、これからの展望です。東大が日本最強のブランドであり続けることに変化はありませんが、その立ち位置は「変質」し始めています。
-
「海外大学」という最強のライバル
開成や灘、渋幕といった超進学校のトップ層にとって、東大はもはや「絶対のゴール」ではなくなりました。2025年には、国内高校からの海外大学合格者数が激増。アイビーリーグなどの海外トップ校を第一志望とし、東大を「併願先(滑り止め)」にする生徒が現実に出始めています。
-
東大自身の危機感と改革
この「優秀層の海外流出」に対し、東大側も危機感を抱いています。2025〜2026年にかけて、約70年ぶりの新学部「カレッジ・オブ・デザイン」の設置構想を打ち出したのも、従来の枠組みでは世界に勝てないという自覚の表れです。
結論:
これからの10年、学校の評価は「東大に何人入れたか」だけでは決まらなくなるでしょう。東大、医学部、そして海外大学といった進路先にどれだけ合格者数を出せるのか、そのあたりが最難関校の基準になってくるでしょう。
合格したのに「入学できなかった」理由
カテゴリー:大学受験2026.02.15
本日は、大学受験に関するお話です。毎年、「合格したのに、入学できなかった人」が必ず一定数いることをご存じでしょうか。ふつうに考えれば、合格したら入学できるはずです。学力が足りなかったわけでも、面接で失敗したわけでもありません。それなのに、大学に通うことができなかった。実際に、そういう人が毎年出ています。
では、なぜそんなことが起きるのか。理由はとてもシンプルです。入学金の振り込みを忘れてしまったからです。
《合格=入学ではない》
まず、ここを強調しておきたいのですが、合格しただけでは、大学には入学できません。合格後に、
- 入学金を振り込む
- 所定の手続きを期限内に済ませる
こうした手続きを経て、はじめて「入学が確定」します。私の知り合いに、私立大学の事務局で働いている人がいます。その人から聞いた話ですが、推薦入試でも一般入試でも、「振り込みが確認できない受験生」は、毎年思っている以上に多いそうです。しかも、この数は年々減るどころか、増えているとのことでした。そうした場合、大学側はどうするかというと、多くの大学では、期限前に一度、受験生や保護者に電話をかけてくれるそうです。ただし、これは大学側の善意です。義務ではありません。おそらくですが、webで手続きができるようになり、書類が簡素化されたことが、かえって「うっかり忘れる」原因になっているのだと思います。紙の書類が分厚かった時代は、「まだ何か残っている感じ」が目に見えていました。ところが今は、スマホやパソコンで完結します。その結果、手続きの重さが見えにくくなっています。
《一般入試ほど起こりやすい》
「そんなこと、さすがにあり得ないでしょう」と思う方もいるかもしれません。ただ、特に一般入試では、複数の大学を同時に受験するケースがほとんどです。そうしますと、
- 合格発表の日程が違う
- 振り込み期限が大学ごとに違う
- 滑り止め校のほうが期限が早い
こうした状況が重なると、ついうっかり忘れてしまうということは、十分に起こり得ます。
今これをご覧になっている方は、大丈夫でしょうか。もちろん大学側も、先ほどお話ししたように、電話をかけてくれることがあります。ただし、まったく連絡がつかない人も一定数いるそうです。そもそも知らない番号からかかってきた場合に、電話に出るという習慣がなくなってきました。当然、大学側も、すべての受験生に何度も何度も連絡できるわけではありません。公平性の問題もありますし、期限を過ぎてしまえば、原則としてアウトです。
当たり前ですが、《最終責任は受験生側》だということです。ですから、「電話が来るから大丈夫」と思わないことです。大学からの電話は、あくまで善意ですから、最終的な責任は、受験生側、そして保護者側にあります。特に注意が必要なのは、次のようなケースです。
- 親は「もう全部終わった」と思っている
- 本人は「親がやってくれている」と思っている
このすれ違いが、もっとも危険です。成績が良いかどうか、真面目かどうかは、ほとんど関係ありません。では、こうした事故を防ぐにはどうすればよいか。
最低限、次の3つを徹底してください。
【ステップ①】親子で「役割」を決める
最初にやるべきことは、
入試に関する事務手続きの役割分担をはっきりさせることです。
- 誰が合格発表を見るのか
- 誰が入学手続きを確認するのか
- 誰が振り込みを行うのか
ここを曖昧にしないでください。「たぶんお母さんがやってくれているだろう」といった思い込みがもっとも危険です。
【ステップ②】合格発表を見た「その場」でやること
合格を確認したら、その場で、入学手続きの書類をすべて開いてください。確認するのは、最低でも次の3点です。
- 入学金・学費の振り込み期限
- 振り込み方法(銀行・ネット・窓口)
- 期限必着かどうか
大事なのは、「あとで読む」をしないことです。あとで、は事故のもとです。
【ステップ③】期限を「見える化」する
最後にやるのが、期限の見える化です。
- 紙に大きく書いて貼る(冷蔵庫、机など)
- スマホのカレンダーに入力する
- 前日ではなく、2〜3日前にアラームを設定する
特に、複数校合格している場合は注意してください。
- 滑り止め校の期限が一番早いことが多い
- 辞退する大学でも、「何もしない=辞退」ではない
- 手続き放棄は、後々トラブルの元になります
すべてリスト化することをおすすめします。こういった話は、大学入試に限った話ではありません。奨学金、入学後の手続き、社会に出てからの契約ごとなど、「能力ではなく、手続き」で結果が変わる場面は意外と多くあります。せっかく勝ち取った合格を、たった一つの振り込み忘れで失わないために、ぜひ、今日お話ししたことを確認してみてください。
推薦系入試は本当にズルいのか?
カテゴリー:大学受験2026.02.08
本日は、総合型選抜入試を含めた一般以外の受験がズルいのか、ということについて話をしていきます。
最近でこそ少し減ったような気もしますが、以前はよく、「一般で最後まで頑張っている受験生はエラいが、総合型や指定校推薦生は早くに終わるうえに勉強していなくてズルい」というような声を聞きました。AO入試の時代も、「AO入試は一芸入試で勉強ができない」といった声をよく聞きました。また、指定校推薦入試は、学校の成績が良いだけで勉強があまりできないのに、難関大学にいくのがおかしいというような声もよく聞きます。一所懸命に勉強をしている人が受からない大学に、書類と面接と小論だけで受かるのはおかしいというのです。
こうしたことに答える前にまず大前提として、総合型選抜入試が「学力以外の能力を測る入試」であることを改めて確認しておきましょう。その背景には能力=学力といった神話が崩れたという社会背景があると思います。
さて、先に述べた批判ですが、二つの意味でおかしな批判であると思います。一つは、学校の成績が良いだけで難関大学に受かるのであれば、批判する人も高校時代に成績をとれば良いのでは?という疑問です。成績をとるチャンスは平等に与えられています。そもそも、良い成績をとり続けることは大変であり、その大変なことを努力し続けた人を、受験生になった段階で頑張りだした、要領よく学習できる人が批判するのは首を傾けざるを得ません。
最初に書きましたように、総合型選抜入試は「学力以外の能力を測る入試」です。それは、たとえば、社会に出たときに、要領の良い人よりも愚直に努力をできる人が評価されることがあるように、大学がそうした人を評価するとしても何もおかしなことはないということです。そもそも学力のみによって、人の能力が測れるという考えが、必ずしも正しいわけではありません。
考えてみてください。能力というもの自体が社会的なものです。たとえば、百メートル走を世界一速く走れる人間は、その能力を称えられますが、その競技自体が社会的な存在です。というのも、もし百メートルを競争するのであれば、必ずしも平地でなく、垂直に百メートル登る競技であったとしても構わないはずです。しかし、残念ながら建物を100メートル登るスピードが速かったとしても、評価されることはないでしょう。それは、その人の能力の不足が原因ではなく、そうした競技が社会で認められていないということに起因します。あるいは、仮に現在の百メートル走の世界記録を上回る人がいたとしても、社会に認められなければ(社会のルールに則ってタイムを測らなければ)、その記録は、存在していないに等しいでしょう。要するに、能力を測るのが社会なのですから、社会が変われば求められる「能力」も変わるということです。
また、書類と面接だけで受かると思っているのであれば、それは書類を作成する難しさと手間を分かっていないといえます。高校生の段階でいったん、自分の夢を描き、その夢を実現するのに必要なこと、勉強しなければならないことを考え、調べる。そのうえで、自分にその適正があるかどうかも、自問していきながら少しずつ、ネタを集めることは、想像以上に時間と手間がかかることです。もちろん、ネタが集まったとしても、実際に書類を書き始めると何十回との書き直しがあり、その過程は不安との闘いです。周りの友達が確実に覚えるべき英単語を増やしていく中、自分は正解のない書類を作り上げていかなければならないのですから、その不安やプレッシャーは一般受験に劣るわけではりません。
私自身は、いくつもの理由があるにせよ、その一つには実社会の要請に従って、これまでの入試方式ではなく総合型選抜入試の類が生まれたと考えています。ペーパーテストがいくらできたとしても、海外の人たちと仕事を取り合う過程で勝てるとは限りません。日本の経済力が世界でも地位が高ければ、日本の価値観だけで生きていったとしても困ることはありませんが、経済力が低下するにつれて、世界標準に合わせていかなければならないのは当然の理であるといえるでしょう。
そのように考えますと、総合型選抜入試はズルい入試方法どころから、今後の時代もっともっと国をあげてレベルアップを図らねばならない入試方式だと思います。
指定校か総合型かで悩んでいる人へ
カテゴリー:大学受験2026.02.06
今日は、現在高2生で、「指定校推薦にするか、総合型選抜にするかで悩んでいる人」に向けて話をしてみたいと思います。多くの高2生が、2年生の成績が見えてきたことで下記のような悩みをもっていると思います。
- 学校や親から進路の話が増えて
- 「そろそろ決めないといけないのかな」と思っていて
- でも、どちらが正解なのか分からない
こんな悩みを持っている人、たくさんいると思うのですが、今日は、無理にどちらかを選ぶ必要はなく、現実的に「両方を残す」考え方が良いのでは、という話をします。
①結論
最初に結論から言いますと、高2のこの時期にやるべきことは、指定校か総合型かを「決める」ことではありません。するべきなのは、指定校を狙いながら、総合型の可能性も同時に育てることです。これがもっとも、リスクが低く、選択肢が減らない方法です。これは、一般受験を加えても一緒です。指定校推薦一択というのは現実的ではないので、指定校推薦を第一にする場合でも、総合型も同時に考えるのが良いでしょう。
② この時期にすべきこと
ここからが、今日もっとも伝えたいポイントです。高2のこの時期にすべきことは、実はとてもシンプルです。
まず一つ目。
学校の成績がしっかり取れる学習体制を整えること。
そして二つ目。
同時に、総合型選抜入試に向けた準備も始めること。
この二つは、どちらかを犠牲にしないと成り立たないものではありません。むしろ、正しくやれば、互いにプラスになります。
③ 成績を取りながら、総合型の準備も「同時に」進める
そして、もう一つ。この学習体制を整えたうえで、総合型選抜入試に向けた準備も、同時に始めます。もっとも手っ取り早いのは、対策をしてくれる塾に通うことです。これまで学校の成績をとることに注力してきましたが、それに加えて総合型に向けた学習も始めるのです。ただ、ここで一つ誤解してほしくないことがあります。「総合型の準備」と言っても、今すぐ志望理由書を完璧に書けとか、活動実績を無理に作れという話ではありません。
④ 総合型の準備とは「今は何をするか」
高2のこの時期にやる総合型の準備で、もっとも大切なのは
「自分が何に興味を持っているのかを、言葉にできるようにしておくこと」
ということです。多くの人は、
・将来やりたいことが決まってから準備する
・テーマが決まってから動く
と思っています。しかし、実際は反対で、考え始めた人から、しだいに言葉が形になっていくというケースがほとんどです。たとえば
・最近気になったニュース
・授業で面白いと感じたテーマ
・「これ、なんかモヤっとするな」と思ったこと
こうした小さな引っかかりを、
「なぜ気になったのか」
「自分はどう考えているのか」
と整理する練習を始める。これが、高2でやるべき総合型の準備です。
⑤ 指定校を狙う人ほど、総合型を捨てない方がいい理由
ここは、少し現実的な話をします。
指定校推薦は、
・評定平均
・校内順位
・枠の有無
こうした自分ではコントロールできない要素が必ず入ります。どれだけ頑張っても、
・枠が来ない
・校内で競争に負ける
・学部が変わる
ということは、普通に起こります。だからこそ、指定校一本に絞るのは、実はリスクが高い。
一方で、総合型は
・評定
・書類
・面接
・小論文
複数の要素で評価されます。つまり、「成績がある人ほど、総合型でも戦える」という構造になっています。指定校を狙える成績がある人は、総合型を“保険”として持っておくことで、
進路の選択肢が一気に広がります。
総合型選抜入試で合格するのはこんな人
カテゴリー:大学受験2026.01.04
今年の総合型選抜入試の時期は終わりました。結果発表もすべて終わったのではないでしょうか。Kip学伸の総合型選抜入試もすべて終わり、まだ記憶が残っているせっかくの機会ですので、合格するために何が重要なのかを改めて考えてみました。
そもそも、総合型選抜入試が以前よりも普及することで、専門の塾が増え、また塾が増えたことで塾に通う人も増えて、結果として入試のレベルが上がっているように感じます。そのような状況でも、どうすればより合格率が高まるのかを話してみたいと思います。
とはいえ、「要領のいい人」や「評点平均が高い人」、あるいは「活動実績が著しい人」が受かりやすいでは、当たり前すぎるので、まったく別の角度から話をしたいと思います。また、少し前の動画で、「最近は準備を早める人が増えた」という話をして、早めの準備の大切さを説いたので、「早めに準備をする人」と思う人もいるかもしれませんが、それも違います。もちろん、準備が早いほうが良いという結論に変わりはないのですが、自塾で見ていても書類提出が近づいてくると、猛烈な勢いで内容が良くなっていくのに、春の段階では緩慢にしか変化が見られず、単純に時間が長ければ内容が良くなるわけではない、ということに改めて気づかされたからです。そこには、春の段階が、入試が自分のこととして自覚できていない時期であるのに対し、秋の段階が書類の提出期限が迫って合否がここで決まるというあせり時期の違いから、向き合い方がまったく異なるという理由もあげられるでしょう。
こうしたことを考えた経緯から、もっと大切にしなければならないことが何なのかを言語化しなければならないと思うに至りました。書類提出前に、何をしているのか、夏休みの間に何をしているのかを、じっくりと振り返ってみました。そこで分かったことは以下のことです。
もっとも合格に近づくのは、
- 考え続けた人
- テーマを深めた人
- 途中で軌道修正できた人
だということです。三つ挙げていますが、要は常に「自分が学びたいテーマは何なのか」を考えて続けることが重要で場合によっては軌道修正も必要だということです。そして、考え続けることで、たとえばニュースを読んだとき、何かヒントになることがあるかもしれません。あるいは、授業で聞いた内容がヒントになるかもしれません。あらゆるところにヒントが隠れているので、それに気づくためには、常日頃からずっと意識し続けなければいけないということです。そして、そうしたヒントを得ることで、テーマがより深くなっていきます。たとえば、今年度國學院大學の人間開発学部に合格した生徒は、「運動を楽しむ」というのが最初からの一貫したテーマでした。日本で、多くの人が運動を楽しむために、何ができるかというテーマですが、そのために下記のようにテーマ周辺のことを調べていきました。
・スポーツと運動の違いは?
・体育の歴史
・運動を楽しむ国は?
・競技以外での運動の楽しみ方
・今後伸びそうな運動イベントとは?
このようにして最初のテーマを広げていきました。そのためには、何度も「問い」を立てて、その答えを探るという作業が必要です。もちろん、情報収集も欠かせません。そうした過程を経て、テーマに広がりが出るのです。声を大にして伝えたいのは、総合型選抜は「問いの質 × 更新回数」で決まる入試であるということです。ですから、言われたことだけを淡々としているだけではダメです。
では、「考え続ける」「問い続ける」ためには、何ができるのでしょうか。以下のことを意識してみてください。まずは、大前提として考えたり、問いを立てつづけたりするにはインプットが重要だということです。
- ニュースを読む/見る
- ネットでニュースを読む習慣をつける
- あるいはキーワードを使って検索をしてみる
- 時事問題に興味をもつ
- 興味を“1つに絞らない”
- 今は広くてOK
- むしろ複数持っている方が後で強い
- 本を読む/動画を見る
- 関連しそうな本を読む
- 関連しそうな動画を見る
- 月1回「なぜ〇〇大学を目指すのか」を書く/考える
- 志望理由は完成させない
- 更新するもの
- 他人と比べない
- 総合型は横並びのレースではない
- 比較は無意味
- ただし、自分の考えがどこまで深くなっているのかはチェックをする
静かな大変化 入塾が早まっている大学受験
カテゴリー:大学受験2025.12.19
こんにちは。今回は大学受験、特に総合型選抜入試を考えている人に向けた話となります。Kip学伸は、わりと早くから総合型選抜入試に取り組んできたため、総合型選抜入試に対する一般の受験生や保護者の視線がだいぶ変わってきたのを肌で感じています。特に今年から大きな変化を感じています。それは、一言でいうと、総合型選抜入試が周知されるようになって、早い段階からの対策をしておこうという人が増えているということです。
たとえば、数年前まで高3の春先に連絡してくるのは当たり前で、遅い人ですと夏休み過ぎてからの問い合わせになっていました。それがだいぶ変わり、自塾に関して言いますと、来年度の高3生は今年の9月の段階で締め切りました。要は高2の夏期講習の時点で、総合型選抜に向けた準備を始めようとして問い合わせをしてくるのです。これを「当たり前」と思うのか「早い」と思うのかは人によるかもしれませんが、確実に早い段階からの対策を求めている人が増えているのを感じます。
入塾早期化が進む3つの背景
- 大学入試が総合型選抜中心の時代に変わった
- 推薦・総合型で合格する割合は全体の半分。学校の授業が必ずしも役立たない入試のため、専門の塾を探す。
- 小論文・面接・探究活動の準備は時間がかかるため、高3からのスタートでは間に合わない。
- 保護者の「早く始めないと不利になる」という意識が急上昇。
- 総合型選抜を指導する塾が増えた。
→ この結果、高1・高2から問い合わせが増加。
- 総合型選抜入試に合っているカリキュラムをもつ高校が増えた
- 探求型の授業が増えた
- 学校の意識が高まったために、それが生徒にも普及し、結果として早めの対策開始に繋がっている
- 留学に力を入れている学校も増え、そうした活動を活かせる総合型選抜に人が流れるようになった
- 中間レベルの学校が、「総合型選抜入試」を活用すれば進学校を超える進学実績が出せることに気づいた
- SNSの普及
- 「総合型選抜入試=よく分からない」だったのが、SNSの普及で必要な情報が急速に出回るようになった
- YouTubeで入試の詳細がプロによって解説されるようになった。
- 総合型選抜入試対策をする塾がSNSでの宣伝に力を入れている
今後の見通し
上記に加えて、今年度のいちばんの変化は生成AIの普及だと思います。書類の提出が必須な総合型選抜入試の場合、ChatGPTに相談して文章を作成する人が今年度より爆増したと思います。今後も減ることはないでしょう。当然、大学もそうしたことを踏まえたうえで、どうやって入試を作っていくかを考えるはずです。以下、私の予想です。
・提出書類に限って言えば、文章の体裁での差は生じなくなる。
・重要なのはChatGPTでは作れない「セルフストーリ」。自分をいかに深掘れるかが今後のポイント
・小論文の重要性が増える。なぜなら、提出書類での差がつきにくくなるから。提出書類と当日の小論文であまりの乖離が見られる場合は、提出書類が生成AIによって作られたと思われる。
・大学で何を学びたいのかを徹底的に調べること。特にChatGPTでは出てこないようなことをネタとしてどれだけ持てるかがポイント!
私立の中高一貫校に通っている人であれば、中3で現在の受験方式を知って、何が自分に有利なのかを考えることが重要です。公立中学⇒公立高校の人の場合は、学校で話させる情報だけを鵜呑みにしないほうが良いでしょう。受験に対する考え方が古いことが多いですから。どこに住んでいても、現在はSNSを使えば同じように情報が無料で手に入りますので、まずは早い段階での情報収集をお薦めいたします。
8月からの逆転合格!総合型選抜で合格のための3つの条件
カテゴリー:大学受験2025.08.19
いよいよ8月に突入しました。推薦や総合型の入試を考えている人にとっては、9月~10月の書類提出や面接が視野に入り、焦りが募ってくる時期と言えるでしょう。そもそもまだ何も準備ができていない人もいて、すでに諦めモードに入っている人もいるかもしれません。しかし、諦めるにはまだ早いです。まだチャンスはあります。過去に指導してきた人の中には、8月に入ってから本格的なスタートをきった人も少なからずいました。しかもちゃんと結果を出しています。ということは、ここからスタートしても逆転できるということです。ただし、もちろん無条件で大丈夫です、とはなりません。いくつかの条件があります。
今から、その条件について三つ話をしていきたいと思います。
- 信頼できる指導者がいるかどうか
8月からの逆転合格でもっとも重要なことは、良き指導者に出会えるかどうかでしょう。それは学校の先生かもしれませんし、現在通っている塾の先生かもしれません。ひょっとすると、今から入塾する新しい塾の先生かもしれません。良い指導者といえる大前提として「あなたが信頼できるかどうか」というのがあります。
たとえば、志望理由書を書きあげたとしましょう。先生からもOKを貰って、これで提出となった段階で、学校の先生からダメ出しが出たとします。あなたなら、どうしますか?
こうしたことはよくあることです。私の経験上言えることは、学校の先生が指導する志望理由書は硬く、形式的です。無難なものでありますが、面白みはありません。ですから、私は最初に「学校の先生に万が一、何か言われても、気にするな。私のほうが経験値があるから」とはっきりと伝えます。これが成立するためには、信頼関係がなければなりません。
こうした信頼関係があるうえで、下記の三つが良き指導者かどうかの判断基準となります。
・ あなたの志望理由をじっくり聞いてくれるかどうか
- 「これでOK」と責任をもって判断してくれるかどうか
・ 実際に推薦・総合型での合格実績があるかどうか
まず、総合型選抜入試の書類に正解はありませんので、自分自身が何をしたいのか、ということをじっくり考える必要があります。そのためには、人に話を聞いてもらうのがいちばんですので、やはり話をじっくりと聞いてくれる人が必要になります。答えをいうのではなく、あくまでも話を聞いたうえでアドバイスくれる人が理想でしょう。
また、完成したものを見てもらって「これで提出しても良いでしょうか?」と質問したにもかかわらず、明言してくれない場合です。「これで大丈夫」としっかり言ってくれれば安心できますが、お茶を濁された返事では不安は募るばかりです。もちろん、事前に合否が完全に分かることはありませんが、合格のレベルに達している書類かどうかを明言してくれる先生でないと、適切な指導ができるとは言えないでしょう。そういう意味では、実績と関連するのかもしれません。
三つすべてを事前に確認することは難しいかもしれませんが、少なくとも判断する材料の一つにはなるのではないでしょうか。
- 本人の資質
次に重要なのは受験生ご本人の資質です。時期が時期なだけに、突進力が必要になることは言うまでもありません。特に指定校推薦の話が決まる9月直前はプレッシャーも大きくなりますから、性格的なものが表れやすくなります。そうした短い時間で、書類を仕上げられる人と、仕上げられない人の特徴を挙げてみましょう。
間に合う人の特徴:
- 判断が早く、すぐ動ける(学校・塾・親への相談がスムーズ)
- 諦めない
- 文を書くことに抵抗がない
間に合わない人の特徴:
- 情報収集ばかりして何もしない
- 自分の考えがない
- 自分の考えを言語化できない。
資質といっていますが、もっとも重要なことは、「頑張れるかどうか」だと思います。その思いと、ある程度の文章力があれば、最後劇的な伸びを発揮するでしょう。また、たとえ間に合わない人の特徴にあてはまったとしても、あきらめる必要はありません。大切なのは、今から何に優先順位をつけるかです。「自分の過去をどう活かせるか」「どう書類に落とし込めるか」を、プロと一緒に考えていけば、まだまだ間に合います。
- 大学(学部)選びの的確さ
8月スタートで結果を出すには、「どこを受けるか」の見極めが極めて重要です。推薦・総合型選抜は、入試の難易度だけでなく、大学ごとの「相性」や「評価ポイントの違い」が結果に大きく影響します。
たとえば、
・活動実績が重視される大学
・学部の志望理由を深掘りされる大学
・プレゼンやディスカッションを課す大学
など、それぞれ求められる人物像や準備内容が大きく異なります。8月から準備を始めるなら、「自分が書きやすい・語りやすいこと」と大学の求める人物像が一致する大学を見極めることが、合格への近道です。反対に、自分の得意でない形の試験に無理して挑んでしまうと、せっかくの努力が報われにくくなります。つまり、「行きたい大学」よりも、「通過できる可能性の高い大学」から入試戦略を立てることが、8月スタート組の合格戦略としては理にかなっています。もちろん行きたい気持ちをもっていることが最低条件ではありますが。
さて、今日は8月からの逆転合格ということで話を進めてきました。合格のポイントとして、
・信頼できる先生を見つけること
・本人の資質
・的確な大学選び
の三点を挙げました。これを参考にぜひ、頑張ってください。
【2025年 大学受験総括】高校生が知っておくべき3つの変化!
カテゴリー:大学受験2025.06.08
こんにちは、今回は2025年の大学受験の総括というテーマでお話しします。
昨年度の入試の動きをふり返ることで、これからの受験がどう変わっていくのかを予測できるようになります。とくに高校1・2年生のみなさんにとっては、「受験の常識」が数年前とは変わってきていることを知ることが、とても大事です。というのも、学校の先生が古い受験制度のイメージをもとに指導していることがけっこうあるからです。昔ながらの「一般入試一択」のような考え方だと、たくさんあるチャンスを逃してしまうことになってしまいます。
今日は、2025年の大学受験を総括することで見えてくる三大トレンドを以下の3つのテーマでお話ししていきます。
①「推薦・総合型」が主流になりつつある
かつては「大学入試=一般入試(共通テスト+個別試験)」が当たり前でしたが、今や私立大学の約6割が推薦・総合型選抜で合格者を出している時代です。
とくにMARCH(明治・青山・立教・中央・法政)や関関同立(関西・関学・同志社・立命館)といった人気校では、学部によっては推薦での募集定員の方が多いというケースもあります。
たとえば、上智大学の公募推薦では、「与えられたテーマについて数か月かけてレポートを作成し、プレゼンや面接、小論文で審査される」というかなり高度な選抜が行われています。明治大学の情報コミュニケーション学部や、立命館大学のグローバル教養学部も、総合型選抜で個性的な学生を積極的に受け入れています。
もちろん、私立大学だけでなく国立も最近は力を入れています。たとえば、旧帝国大学の中で、東北大学は総合型選抜の比率が約3割と、他の大学に比べて高い割合を占めています。特に注目すべきは、AO入試Ⅲ期です。この入試では、共通テストの結果がメインの評価軸として設定されており、一般入試との両立がしやすい形式となっています。また、出願要件として評定平均値の制限がないため、多くの受験生にとって挑戦しやすい入試となっています。
さらに、全学部で共通テストの配点が最も高く設定されており、学部によっては共通テストの比重が8割以上となっています。これにより、特別な活動や実績がなくても、学力を重視する受験生にとってもチャンスが広がっています。
総合型選抜入試で評価されるのは、単なる成績だけではなく、
- 探究活動や課外活動の実績
- プレゼン力や表現力
- 自己分析力と志望理由の深さ
などです。高1・高2から「何をしてきたか」「何を考えているか」が問われる時代になっています。
②「共通テスト」は難化傾向。思考力勝負に
昔のセンター試験は「知識をいかに正確に覚えているか」がポイントでしたが、今の共通テストでは「知識をどう使うか」が問われるようになっています。
特に数学IAでは「データから規則を推論する問題」や、国語では「複数の資料を読み比べて要点をまとめる問題」といったそれぞれの科目と日常生活をからめたような出題傾向が目立ちます。英語リーディングも、80分で2000語以上を読むという高負荷の内容です。リスニング重視・読解重視というのはすでに定着していて、パターン暗記では太刀打ちできません。つまり、共通テスト対策は「慣れ」と「読解力」が命と言えるでしょう。では、たとえば旧帝で共通テストの比率というのはどれくらいなのでしょうか?比率の低い順に簡単にまとめてみました。
東大 約20%、 京大 約25% 東北大・九大 約33% 名大 約40%
北大 約41% 阪大 約43%
私立大学も最近は共通テストを重視するところが増えています。
早稲田大学
- 共通テスト利用方式(共通テストのみで合否を判定)を導入。
- 特に政治経済学部は、独自入試を廃止して、英語4技能試験+共通テスト+独自小論文という形式に移行。
- 一部の学部では共通テストの成績のみで合否を出す方式あり。
明治大学
- 全学部で共通テスト利用入試を実施(A方式・B方式など複数)。
- 学部によっては3教科で受験可能で、個別試験なしの方式も。
- 併願しやすく、地方の受験生にも人気。
立教大学
- 英語外部検定+共通テスト型を導入している学部あり(例:異文化コミュニケーション学部)。
- 共通テスト利用方式は試験なしで出願できるパターンもあり、実質書類審査型に近いものも。
青山学院大学
- 共通テスト利用入試(A方式、B方式など)を採用。
- 英語外部試験との併用で多様な方式を提供。
- 特に文・法・経済など主要学部で共通テスト型が人気。
同志社大学
- 共通テスト利用方式(C方式・D方式など)を学部ごとに設定。
- 関西圏の難関私大の中でも、共通テスト型での募集枠が比較的多い。
関西大学・関西学院大学
- 両校とも共通テスト利用入試の枠が広く、合格者数も多い。
- 「個別試験なし」「3教科で受験可能」といった方式が多く、受験生にとって負担が軽い。
③「学部選び」がより重要に。人気集中と分散
最近の大きな傾向として、「情報系」「国際系」「経済・経営系」への人気集中があります。
たとえば、
- 立命館大学では情報理工学部の偏差値が65前後まで上昇し、「文学部」とは10ポイント以上の差がついています。
- 東京大学でも理科一類からAI・情報分野に進む学生が増えており、「工学部計数工学科」などが人気です。
- 同志社大学のグローバル・コミュニケーション学部、明治大学の国際日本学部なども志望者が増えています。
背景には「将来の仕事を見据えて学部を選ぶ」流れがあり、
- 情報系:AIやデータサイエンスの需要拡大
- 国際系・経営系:企業での活躍、起業への関心
といった志向が強まっています。
こうした流れとは反対に、文学部や教育学部はやや志望者数が減少傾向です。
つまり、「どの大学」よりも「何を学ぶか」を重視する受験生が増えてきており、将来像から逆算して大学・学部を選ぶのが新しい常識になっています。
高校1年生へのメッセージ
高1の今こそ、「自分はどう生きたいか」「何に興味があるか」をじっくり考えてください。大学受験はその延長にあるだけです。
「受かるための勉強」だけではなく、「自分の軸」を探す時間を大事にしてくださいね。
【上智大学・公募推薦】今後必ず難化する理由!
カテゴリー:大学受験2025.05.29
上智大学には公募推薦という世間一般でいう総合型選抜入試に近い入試制度があります。この公募推薦の大きな特徴の一つとしては、課題レポートがあることが挙げられます。6月に課題が発表されるので、ほとんどの受験生は夏休みに課題の下調べをおこない、夏休み後半からまとめていき、10月に提出するという流れです。もちろん書く期間が数か月に渡るわけですから、受験生は様々な人から助言を受けながら書きすすめていくことになります。学部・学科によって課せられる内容はまったく異なりますが、今年度より、全学部・学科において間違いなく難化するであろうことが予想されます。
試験が難しくなる理由は原理的には二つです。一つは、試験そのものが難しくなること。もう一つは、倍率が高くなることで難しくなることです。今回の上智の話で当てはまるのは、どちらでもありません。珍しいケースではありますが、ライバルたち(要するに他の受験生)のレベルが上がることで、入試のレベルが上がるというものです。
その理由は、「生成AI」の登場と普及です。
生成AIのなかでも有名なのはChatGPTですが、公開されたのは2022年です。2023年に当チャンネルでも動画にしたことがありますが、当時は話題にはなっていたものの、みんなが使っているということはありませんでした。しかし、去年の秋くらいから多くの人が普通に使っているツールとなっているように感じます。
実際、塾でも使っているという生徒もいて、生徒たちに話を聞くと、学校の対応も二通りあって、積極的に使っていく学校と、一切の使用を認めない学校です。
生成AIを認めるかどうかについては議論の余地がありますが、しかし、すでに学生や教育機関にとって不可欠な存在となりつつ、今後はその普及により、レポートや課題の質が全体的に向上することが予想されます。
要するに課題レポートにAIを使用する人が爆発的に増えることによって、今後はレポートの内容が格段に飛躍することが見込まれるということです。もちろん、生成AIの使用は認められていません。上智大学に限らず、原則的にはその使用はどこの大学も禁止しているでしょう。しかし、禁止をしても使用の有無がチェックできないのであれば有名無実になってしまいます。
【生成AI使用禁止と実態の乖離】
- 多くの大学が「生成AI使用は禁止」と明記しているのは、教育の公平性や学習者の思考力の保証を守るためです。
- しかし、現実にはAIを下書き作成や構成補助、文法チェック、参考資料探しなどの形で利用する受験生が増えています。
- 特に家庭や学校からの監督が届かない「自宅課題型レポート」では、使用の有無を判定する決定的手段がありません。
多くの人が生成AIを使用するようになると、提出するべき書類の内容はより洗練されたものになるでしょう。
【結果としてのレベル上昇】
- 生成AIを活用すれば、論理構成・文章表現・引用スタイルなどが自然に整い、「最低限破綻のないレポート」が誰にでも書けるようになります。
- よって、審査する側は、従来よりも高水準の完成度を“平均レベル”として求めざるをえなくなる。
- つまり、全体の相対的なハードルが上がる一方で、「真に思考した形跡があるかどうか」の見極めがより重視されるようになるでしょう。
さて、これだけを話すのであれば、あまり有益な話になりませんので、視聴者の皆さんの知りたい「だったら今後はどうすれば良い?」ということに絞って話をしていきたいと思います。
【今後の変化予測】
- 「なぜその問いを立てたのか」「自身の経験との接点」など、AIでは補いきれない“内面の論理”を問う設問が増える可能性
- レポート内容だけでなく、後の面接や口頭試問で“本当に自分で書いたのか”を探る流れの強化
- 評価軸が「正確さ」や「構成美」よりも、「独創性」「具体性」「知的誠実さ」へとシフト
【まとめ】
・内発的動機づけをすること!
・無難なものではなく、自分にしか書けないことを書くこと!
・「書き方」や「小論文の型」などに縛られないこと!
「推薦?一般?」【高1から意識したい大学受験のルートとは】
カテゴリー:大学受験2025.05.07
今回は新高1年生の人、あるいはその保護者に向けて話をしていきたいと思います。新高1生といっても、高校受験が終わったばかりの人もいれば、中高一貫校に通っていてそのまま高校生になる人もいるでしょう。今回はどちらの人にも向けた動画となっております。というのも、大学受験に向けた話になるからです。
まず、新高1生にもっとも訴えたいこととしては、大学受験に向けて「高1」が非常に重要であるということです。高校受験が終わったばかりの人にとっては、「え、受験が終わったばかりなのに、もう次の受験を考えないといけないの??」と思うのも無理はないでしょう。しかし、よく考えてください。中学受験であれ高校受験であれ、基本的にはローカル戦です。大学受験は全国区での戦いとなりまるので、当然ライバルの数もけた違いに多く、また学習内容にしてもはるかに難しく、また出題範囲も広いのが現実です。
さらに言いますと、大学受験がもっとも多様な受験方法があります。だからこそ、早いうちから準備をすることが重要だと声を大にして言いたいのです。
今回は大きく四つの章に分けて以下のような話をしていきます。
第1章:大学受験の主なルートとは?
第2章:なぜ高1が重要なのか
第3章:進路をどう考える?親としてのサポート
第4章:塾選びのヒント
このような構成で話を進めてまいります。
第1章:大学受験の主なルートとは?
現在では、一般入試で大学に合格する人の割合は既に半分を以下となっています。そうしますと、当然その他の受験方法についてもある程度の知識をもっておいたほうが良いと言えるでしょう。基本的に大学受験には以下の四つの方法があります。
- 一般入試:高3で本番に向けて勝負
- 総合型選抜:活動実績+志望理由+面接+(小論)
- 学校推薦型選抜:評定平均と学校内順位が命
- その他の推薦(スポーツや宗教系など):活動実績+志望理由+面接+(小論)
合否を決める試験内容が異なるわけですから、当然どの受験方法を選択するかによって、高校時代に力を入れるべきことが変わってきます。
第2章:なぜ高1が重要なのか
1章で述べたように入試方法によって、求められるものが異なるわけですから、高校時代に頑張るべきことが、入試方法によって変わってくるのです。要するに、学校で出される課題の延長に必ずしも入試に出題されるものがあるとは限らないのです。だからこそ、ゴール(志望大学とその入試方法)を意識し、そこから逆算していくことが重要になってくるのです。
- 自分の強みをいかすには、高1の時点で受験方法を知っておくこと!
- 評定平均は高1から積み上がる!(推薦狙いなら必須)
- 部活やボランティア、資格などの活動も1年生からカウントされる
- 学習習慣がこの1年で固まる→高2・高3がラクに
- 一般入試志望でも国立と私立では何に力を入れるかが変わる。
学校の進路指導が必ずしもすべての入試方式に対応しているとは限らないので、自分で調べていくことが重要です。高校時代はやるべきことが山ほどある。だからこそ、初めに優先順位をつけておくことが大切になると言えるでしょう。
第3章:進路をどう考える?親としてのサポート
このように大学入試が多様化していきますと、戦いが情報戦になってきます。昔のように一般入試がメインであれば、能力=学力と分かりやすかったのですが、現在のように受験方式が多様化していますと、持っている武器を最大限いかせる入試方法を探すことが重要です。そのためには、早い段階からの情報収集が重要です。
- 志望校とその大学の入試方式を早くから調べておく
- 早めに「どんな大学生活を送りたいか」の対話を
- 文系・理系を意識し始めるタイミング
- 推薦を狙うなら高1で何を積み上げるか決めておく
- 将来進みたい道などを考えさせる機会をつくる
第4章:塾選びのヒント
それでは、高1で塾を探す場合、何を基準にすれば良いのでしょうか?
- とりあえずの塾選びをにせず、何に力を入れるのかを明確にしてから塾を探す
- 推薦向け:内申対策・活動サポート
- 一般向け:基礎からの先取りと習慣化
- 自分に合ったスタイル(集団?個別?オンライン?)
たとえ、最初は補講のような形での授業が必要であったとしても、それだけでは大学受験を目指せないので、合格への道筋をキチンと示してくれる塾を選ぶこと。
さて、本日お話したことをまとめると、高1は準備期ではありますが、ここをどう過ごすかで選択肢が増えると言えます。推薦入試であれ一般入試であれ、どちらを目指す場合でも、スタートの意識は同じです。まずは、“何を目指すか”を親子で話してみてください。
これで攻略!総合型選抜入試
カテゴリー:ブログ2025.04.13
総合型選抜入試を考えている人は、いったい何をどうやってスタートさせれば良いのか分からない人も多いのではないでしょうか。今日はそのような人のために、総合型選抜入試の攻略の仕方を簡単に説明したいと思います。
① 総合型選抜の全体戦略を考える
まずは、志望校を絞っていく。そして、それらの大学を受験するにあたって、何が必要なのかを調査する。学校の成績や英語の検定試験以外には一般的には下記。
・志望理由書
・面接
・小論文
その他よくある必要事項
・課題レポート
・学修計画書
・活動報告書
上記すべてをバラバラの項目として考えず、将来進みたい道⇒そのために大学で学びたいことを考え、そこからそれぞれの書類に何を書くのかを考える。将来進みたい道や職業がどうしても分からない人は、とりあえず、大学で何を学びたいのかということと、その分野を学ぶことで社会にどう貢献できるのかを考えてみましょう。
② 志望理由書・自己PRの準備
志望理由書は、提出一か月前まで、書くべきネタを集めたり、志望理由書の書き方のテキストを進めたりして、セルフストーリーを作っていく。集めたネタが多ければ多いほど、ユニークなストーリーができあがり、合格が近づく。最後のひと月で、本番の書類を仕上げる。これも推敲を練れば練るほど良い物ができあがる。大事なことは「必ず合格する!」という気持ち。気持ちが弱いと、書類も弱いものになる。
③ 小論文対策のスタート
小論文の学習をするのであれば下記の手順。
- 一般的な小論文の練習
- 新聞や本の要約、時事問題の整理などをして自分の進みたい道の知識を増やす
- 志望校の過去問あるいは類似問題の対策
小論文の上達のコツは、信頼できる先生に添削をしてもらうこと。先生との信頼関係が重要。多くの先生に見てもらうよりも、信頼できる先生だけにチェックしてもらえば良い。書きっぱなしはよくないので、必ず誰かに添削をしてもらうこと。
④ 面接対策の準備
小論文とは違って、面接の練習は多くの人にしてもらおう。というのも、慣れることが重要だからだ!それだけでなく、多くの人に面接をしてもらうことで、どういうことが質問されやすいのかがしぜんと分かってくる。さらに面白いのは、一人ひとり質問することが微妙に、あるいは大きく異なることがある。多くの質問を受けておくことで、本番に備えることができるだろう。
また、多くの高校生は無意識に、「えーと」「なんか」といった口ぐせがある。こうした口ぐせを一つひとつ直していくために、スマホで録画をして自分の話す様子を観察すると良い。
どういったことが聞かれるのかは、ネットで調べれば良い。志望理由が聞かれることもあれば、直前にあった小論文についてのみ聞かれることもある。重要なことは何が聞かれても答えられるように準備をすること。
⑤その他の対策
課題レポートが課せられるところは、数か月かけて準備をする。専門の塾に通って添削をしてもらうのがベストだが、それがかなわない場合は、学校でいちばん専門分野が近い先生に添削をしてもらえばよい。活動報告書や学修計画書は、志望理由書と同時に進めるのが良い。要は、将来進みたい道があるからこそ、そこに向かって大学で何を学ぶのか(学修計画書)や、そのためにこれまで頑張ってきたこと(活動報告書)となるからだ。
以上のようなことを準備していけば良いでしょう。直前になって慌てて書き始めないようにするためも、春からしっかりと準備を進めてください!
中3からの大学受験 一貫校の強みをいかすには?
カテゴリー:大学受験2025.03.05
今回は、高校受験のない中高一貫校に通っている人に向けた話となります。そもそも中高一貫校のメリットはたくさんありますが、今日はその中でも二つに絞って話をしたいと思います。
われわれの塾は、中学生は長いこと私立生しか募集をしておらず、公立の中学生は基本的に小学校から通ってくれている人のみで、外部生は受け付けないという体制を続けてきました。そのなかで、私立中学生に対する教育カリキュラムは簡単に言いますと、次のようになっています。
- 中1・2は学習の流れを作ってその流れにのる
- 中3から大学受験を考え始める
なぜ「中3から大学受験に向けて動く」のか?それは、高校受験のない中高一貫校に通っているみなさんにとって、その最大のメリットは早い段階から大学受験について計画を立てることができることにあるからです。
そうです。一つは、「中3から大学受験を考えはじめることができる」というのが一つ目のメリットとなります。
というのも同じ中3生であっても公立中学生は、高校受験に向けて猛勉強をしています。ですから学力も勉強体力もつくでしょう。一方受験のない一貫校生は、受験まで時間があるため、中だるみをしてしまった学力低下に陥る人が少なくありません。
もちろん受験生と同じ量の勉強をする必要はありませんが、だからと言って学力が低下しても良いわけではありません。入試がない分、大学受験に向けての情報収集をしなければ、せっかく入った一貫校のメリットを活かせません。
そもそも現在の大学受験制度はかなり複雑化しています。勉強だけをすれば良いわけではなく、自分に合った入試制度を利用することも重要な受験への備えの一環だと言えるでしょう。そう考えると、受験制度が複雑化するなか、最も重要なことは情報収集だと言えるでしょう。新試験となった共通テストに加えてコロナの影響もありましたので、大学側もこうした変化を受けて、入試の募集人員や入試方法などを変えていっています。こうした変化の激しい状況に対応していくためには、早い段階からの情報収集がいちばんです。高3になってから、「どうしよう・・・」と悩むのでは遅いですから、今からできることは今から始めていきましょう。
たとえば、総合型選抜入試の場合は、探求学習や課外活動が活きてくる場合が多くあります。受験勉強だけでなく、部活動や研究活動、課外活動に没頭できるのも強みとなります。総合型選抜や推薦入試を視野に入れるなら、自分だけの強みをつくるチャンスになります。こうした活動で成果を出せば、大学の志望理由書や面接でも強いアピールになります。
当然、こうした活動は一朝一夕で何か実績を出せるものではありませんから、早い段階で始められるほうが良いでしょう。
さて、次のメリットは、「得意科目をつくる」です。高校受験があると、どうしても高校受験に向けた戦略や戦術が必要になり、苦手科目などがあるとどうしてもその補強をしなければならなくなります。つまり、全体のバランスを考えながら学習を進めていく必要性にかられるのです。
もちろん、一貫校に通っても学校の成績がよくなければ問題になりますから苦手科目というのはないに越したことはありません。しかし、そういうレベルの話とは違って意味で、自分の好きな科目・自ら進んで学びたい科目をつくることは中高一貫ならではのメリットだと思います。しかも、それは科目よりももっと小さな単位で得意な分野をつくることでもよいと思います。
たとえば、英語であれば検定にチャレンジするのはもちろんですが、発音に強くなる、英文を書くのを得意とする、など細かなところで他の人よりも得意になるのです。あるいは、日本史であれば戦国武将や芸術家といった特定のジャンルの人に絞って詳しくなるでも良いでしょう。数学であれば、幾何に限定しても良いかもしれません。
というのも、好きなことに絞って勉強をすれば、進めていくうちに他の分野のこととも繋がっていき、しぜんに知識の量が増えていくからです。しかも、好きなことですから、吸収するスピードも速いでしょう。要は無理やりの勉強というよりは、好きな分野を極めていき、そこからその科目全体を得意としていくという作戦です。
高校受験がある人は、高校入学後は大学受験に向けて学習を始めなければならないため、学校の課題に追われ続けます。それに比べると中2までに学校の定期テスト対策をする流れができていれば、一貫校の人は自分の好きな科目に時間をかけて取り組むことができるでしょう。そうすることで、大切な十代を自分の得意なことを伸ばしながら過ごせることができるようになります。また、大学受験においても一つ、自分の得意な科目があれば自信をもって臨みやすくなるといえるでしょう。
こうしたことを意識しながら、どんな大学にどんな受験方法で受験したいのかを考えていけば良いでしょう。

























