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【2027年度】首都圏の中学受験はこうなる!― 受験生は減らない。でも「受験の形」は変わる ―

カテゴリー:中学受験2026.10.11

こんにちは、今回は、「2027年度、首都圏の中学受験はどうなるのか?」という予想テーマでお話ししたいと思います。

現在10月ですので、2月の入試まで、あと四か月となりました。もちろん、まだ出願者数も倍率も出ていませんから、これからお話しするのはあくまで「予想」です。ただ、2026年度までのデータ、そして2027年度の入試変更を見ていくと、「2027年はこうなるのではないか」という大きな方向性は、かなり見えてきています。

 

今日は、2027年度の中学受験について、5つの予想をしてみたいと思います。

1.受験生は「減らない」――むしろ高止まりする

まず気になるのが、「2027年は中学受験生が減るのか?」という問題です。少子化が進んでいますから、「子どもの数が減っているんだから、中学受験もそのうち楽になるんじゃないですか?」と思う方も多いかもしれません。そもそも、受験生の増減は、倍率にもかかわってくる重要な要素の一つですから気になって当たり前です。ただ、残念ながら2027年度については、私は「それほど減ることにはならない」と予想しています。

四谷大塚の調べでは、2026年度の首都圏(1都3県)中学入試の受験者数は推定約5万5,000人、受験率は19.1%でした。2020年度の17.3%から、着実に上昇を続けています。

 

※もう一つの集計元であるONETES(旧・首都圏模試センター)では、2026年度の実受験生数は5万2,050人、受験率18.06%となっています。調査対象や集計方法の違いで数字に差はありますが、「4年連続で高水準をキープしている」という方向性はどちらの数字も一致しています。

 

つまり、「子どもの数が減っているから受験者も減る」という単純な状況ではなく、むしろ、子どもの数が減る以上のスピードで、中学受験をする割合が上がっているということです。しかも、2027年度に受験する現在の小学6年生の人数は、2026年度の学年と比べて大きく減るわけではありません(一部の予測では、2027年度は該当学年の児童数が一時的に増加し、その後また減少局面に入るとされています)。したがって、2027年度の首都圏中学受験は、受験者数としては「5万5,000人前後の高止まり」になる可能性が高いと見ています。もちろん、これは現時点での予想です。ただ、「少子化だから2027年は受験が楽になる」という期待は、あまり持たないほうがいいと思います。

2.ただし、「中学受験全体が難しくなる」わけではない

当たり前の話ですが、受験生が5万5,000人前後いるからといって、すべての学校が難しくなるわけではありません。それよりはむしろ、2027年度は「学校による差」がさらに大きくなると予想しています。つまり、受験数増加=中学受験難化 とはならず「人気校は難しい。でも、学校によっては受験生を集めるために様々な工夫をする」という二極化が進むのではないかと考えています。

学校側も少子化を当然意識しています。実際、2027年度入試を見ると、共学化、校名変更、大学との系列化、新しい入試方式の導入、午後入試、算数1科入試、特色型入試など、学校側がかなり積極的に動いています。たとえば2027年度から、藤村女子は共学化して、

「吉祥寺湧水中学校・高等学校」になります。そして東京家政学院は、法政大学との連携強化により、「法政大学千代田三番町中学校・高等学校」となります。

つまり、学校も「選ばれるための競争」を始めているわけです。そうしますと、2027年度は、「受験生対学校」という構図だけではなく、「学校同士の生徒獲得競争」も、さらに激しくなると私は考えています。

3.「2月4日・5日まで粘る受験」が少しずつ減っていく

そして、2027年度で私がかなり注目しているのが、入試日程の変化です。これまでの首都圏中学受験では、2月1日、2日で第一志望・第二志望を受け、2月3日、4日、5日と、

「まだどこかに合格を取りに行く」という受験もありました。ところが最近、2月1日・2日に入試を集中させる学校が増えています。2027年度も、この流れが続きそうです。象徴的なのが城北です。

2027年度から、2月1日午後に「算数選抜」を新設する一方、2月4日の入試回を廃止します。つまり、「2月4日まで待ってください」ではなく、「2月1日・2日の早い段階で受験生を取りにいく」方向です。これ、実はかなり大きな変化だと思います。なぜ学校がこういうことをするのか。もちろん学校ごとに事情は違います。ただ、一つの理由として、受験生が早い段階で進学先を決める傾向があります。これは大学受験においても同じ傾向が見られますから、日本の受験全体として言えることかもしれません。学校側も、「2月1日・2日に魅力的な入試を作って、早い段階で受験してもらう」方向により舵を傾け、結果として「2月1日・2日がますます重要になる」と見ています。

4.「算数1科・特色入試」がさらに増える

そして、もう一つ注目したいのが、入試科目の多様化です。昔の中学受験といえば、国語・算数・理科・社会。あるいは国語・算数の2科。これが基本でした。もちろん今でも基本はそうです。しかし、最近は、算数1科、英語利用、思考力型、表現型、探究型、総合型など、

入試方式がどんどん多様化しています。四谷大塚 入試情報センターが公表している「2027年入試変更点」には、7月時点で計23校が掲載されており、算数選抜などの新設が相次いでいます。先ほど紹介した城北も算数選抜を新設します。埼玉の大宮開成でも、2027年入試から1月12日午後に「算数選抜入試」が新設される予定です。これは受験生にとって、

「4科目を全部同じように勉強する」以外のルートが増えるということです。ただし、ここで勘違いしてはいけません。「算数1科だから簡単」ということではありません。むしろ、

得意科目に特化した受験生を集める入試になれば、その科目の競争は非常に厳しくなる可能性があります。ですから、「入試科目が減った=簡単になった」ではありません。2027年度以降は、「自分の得意をどう受験戦略に組み込むか」ということが、ますます重要になってくると思います。

5.「大学付属人気」は終わるのか?

そして、もう一つ非常に気になるのが、大学付属校です。ここについては、最近、「大学付属人気が終わった」という話も出ています。実際、2026年度の中学入試については、MARCH系列を中心に「付属校離れ」が話題になり当チャンネルでも取り上げました。明治大学付属世田谷など一部の人気校を除き、MARCH系の多くの学校で出願者数が減少傾向となった一方、日大系列など「少し易しめの大学付属校」が持ち直すという動きも見られました。

では、「2027年度は大学付属校が一気に人気を失うのか?」というと、私はそうは思いません。むしろ、「大学付属なら何でも人気」という時代が終わりつつあると考えています。つまり、大学付属だから人気が出るというわけではなく、「どこの大学に、どんな条件で進めるのか」「その学校で何を学べるのか」あるいは、「大学受験をしないメリットが本当にあるのか」というところまで、保護者が見るようになっている。これは非常に大きな変化です。そして学校側も、単に「大学付属ですよ」だけではなく、大学との連携、探究活動、国際教育、理系教育、大学進学制度など、「その学校に6年間通う意味」を、より強く打ち出す必要が出てきています。ですから、大学付属人気がなくなるのではなく、大学付属校の中でも「選別」が進む。私はこう予想しています。

 

6.2027年度は「学校選び」が難しくなる

ここまで、

①受験生は高止まりする

②学校による二極化が進む

③2月1日・2日に入試が集中する

④入試方式が多様化する

⑤大学付属校も選別される

という五つをお話ししましたが、2027年度の中学受験でもっとも難しくなるのは、じつは学校選びかもしれません。

 

たとえば、「偏差値60だから、この学校」だけでは決められなくなってきています。同じくらいの偏差値でも、大学付属なのか、進学校なのか。共学なのか、男子校・女子校なのか。

午後入試があるのか。算数1科があるのか。英語入試があるのか。大学合格実績はどうなのか。学校の教育内容はどうなのか。そして何より、6年間、その学校に通いたいと思えるのか。

 

面倒なことに、ここまで考えて学校を選ばなければならない時代になっています。そして、こうした学校選びの多様性こそが2027年度入試の最大の特徴になるのではないかと考えております。

【参考・出典】(動画概要欄への記載用)

  • 四谷大塚「2026年度中学入試 受験者数・受験率」(推定約5万5,000人、受験率19.1%)
  • ONETES(旧・首都圏模試センター)「2026年度 首都圏中学入試 受験者数・受験率」(実受験生数5万2,050人、受験率18.06%)
  • 四谷大塚 入試情報センター「2027年入試変更点」(2026年7月15日更新時点で掲載23校)
  • 城北中学校 2027年度入試変更点(2/1午後「算数選抜」新設、2/4入試回廃止)
  • 大宮開成中学校 2027年度入試変更点(1/12午後「算数選抜入試」新設)
  • 藤村女子→吉祥寺湧水中学校・高等学校(共学化・校名変更)
  • 東京家政学院→法政大学千代田三番町中学校・高等学校(法政大学との連携強化)
  • 2026年度中学入試「MARCH付属校離れ」に関する各種報道・分析記事

 

【東大附属中等教育学校】「実技」試験は何を測っているのか?

カテゴリー:東大附属2026.10.04

こんにちは。今日は、東京大学教育学部附属中等教育学校、通称「東大附属」の入試について、少し踏み込んだ話をしたいと思います。東大附属の適性検査には、国語・社会中心の「適性検査Ⅰ」、算数・理科中心の「適性検査Ⅱ」に加えて、もう一つ、独特な検査があります。それが「実技」です。

 

はさみやのり、コンパスを使って模型を作ったり、展開図を組み立てたり。この「実技」について、受験を考えたことがあるご家庭なら、一度はこう思ったことがあるんじゃないでしょうか。

 

「これ、一体何のための試験なの?」

 

正直、これは多くの保護者の方が感じる率直な疑問だと思います。国語や算数のように、勉強すればするほど点数が伸びる、という実感が持ちにくい。しかも困ったことに、この実技についてきちんと分析している塾や情報サイトが、インターネット上にはほとんど見当たりません。だから「対策のしようがない」「工作が得意な子が有利なだけでは」と感じて、なんとなく苦手意識だけを抱えたまま本番を迎えてしまう。そういうご家庭も少なくないはずです。

 

「運任せ」と思われがちな実技ですが、はっきりとした意図があると私は考えています。そしてその意図さえ掴んでしまえば、対策の方向性はちゃんと見えてきます。

 

本日は、直近数年間の実技の実際の問題を具体的に見ながら、「この検査は結局、何を測ろうとしているのか」を、過去問そのものから読み解いていきたいと思います。あくまで過去問の分析から見えてくる私なりの見方ではありますが、受験を検討されているご家庭には、対策の方向性を考える大きなヒントになると思います。

 

  1. まず「実技」とはどんな検査か

 

簡単に確認しておきますと、実技は適性検査Ⅰ・Ⅱとは別の時間に行われる検査で、はさみ、のり、コンパス、三角定規などを使って、その場で何かを作ったり、作図したりする検査です。

 

大きな特徴は二つあります。

 

1つ目は、材料の追加配布がないということ。問題用紙にはたいてい「材料を使い切ってしまっても、追加の配付はしません」という一文があります。つまり、一度失敗すると取り返しがつきません。

 

2つ目は、指示がとても長く、細かいということ。単に「箱を作りなさい」ではなく、寸法、折り方、貼り付ける位置、書いてはいけない場所まで、事細かに条件が指定されています。

 

この二つの特徴を頭に置きながら、実際の問題を見ていきましょう。

 

  1. 実際の実技問題を見てみる

 

2024年度:表彰台の模型づくり

 

2024年度は、部活動対抗のレクリエーション大会を題材にした会話文から始まります。まずトーナメント表を自分で設計させたあとに、「表彰台の模型を作りなさい」という課題が出ます。

 

条件はこうです。

 

– 1位を真ん中、2位を向かって左、3位を向かって右に配置する

– 台座の高さは1位から2センチずつ低くなっていく。3位の高さは4センチ

– 台の上面はどの順位も、前の辺が6センチ、横の辺が4センチの長方形

– 台座の底面はつけない。底から見たら内側が見えるようにする

– 模型の内側に受検番号を書く

 

これだけの条件を、会話文の中から必要な情報を拾いながら、頭の中で一つの完成形として組み立てて、初めて手を動かせる。しかも「底面はつけない」というような、ふつうなら見落としがちな細かい指示も含まれています。

 

2023年度:四色問題からの立体制作

 

2023年度は、隣り合う領域を異なる柄の紙で塗り分ける「四色問題」がテーマでした。ルールは単純です。「隣り合う領域には違う柄を使う」「点だけで接している領域は同じ柄でもよい」。

 

前半はこのルールに従って円を塗り分ける問題ですが、後半では、正四面体・正八面体・立方体という3つの立体を、実際に柄付きの紙で組み立てさせます。しかも「辺でつながっている面は異なる柄にする」「同じ絵柄を継ぎ足して作ってはいけない」「絵柄が印刷された面を表にする」といった条件が細かく付いています。

 

つまり、平面上の抽象的なルールを理解したうえで、それを3次元の立体に矛盾なく適用しなければいけません。読解力・論理力・空間認識・手先の作業が、一つの課題の中で全部つながっています。

 

2022年度:展開図から箱を作る/指示通りに紐を結ぶ

 

2022年度は、六角形の箱を展開図から作る問題と、紐を指定された手順通りに結ぶ問題でした。

紐の結び方の問題が象徴的です。7枚の図が①から⑦まで示されていて、「この通りの順番で結びなさい」というだけの問題です。難しい発想は一切いりません。ただ、図を一つひとつ正確に読み取り、その通りに手を動かせるかどうか。それだけが問われています。

 

3. 「感性」を問う問題はなぜ消えたのか

 

ここで少し面白いポイントをお話しします。実は2017年度と2019年度の実技には、今とはまったく毛色の違う問題がありました。「曲を聴かせて、その曲の印象を選ばせる」という問題です。2019年度の例で言うと、5つの異なる曲を1曲ずつ流して、それぞれについて「合唱・ピアノ・合奏・和楽器」のどれに当てはまるか、そして「おそい・やさしい・はげしい・たのしい・おそろしい」のどれに近いかを答えさせる、という問題でした。

 

これは、正解が一つに決まる知識問題ではなく、音楽から何を感じ取るかという、感受性そのものを問う問題です。

 

ところが、この手の「感性」タイプの問題は、2020年度以降は姿を消しています。代わりに定着したのが、これまで見てきたような「複雑な条件・手順を正確に実行する」タイプの問題です。

 

これが何を意味するのか、断定はできませんが、私は次のように考えます。実技という限られた検査時間の中で、学校が優先して測りたいものが、「感性の豊かさ」よりも「指示を正確に理解し、実行する力」に、より重心を置くようになった、ということです。

 

東大附属は、比較的自由な校風の学校として知られています。先生が手取り足取り管理するタイプの学校ではありません。実際、それが理由で志望するという人もたくさんいます。だからこそ、「先生の指示や、資料に書かれている情報を、自分の力で正確に読み取り、実行できるか」という力が、入学後にとても重要になってくる。実技という検査は、その力があるかどうかを、教科の枠を超えて確かめるための場になっているのではないか、と考えられます。

 

4. 共通して見えてくるもの

ここまで見てきた問題に共通する要素を、改めて整理してみます。

 

1つ目。長く複雑な指示を、最後まで読み切る、聞き切る力。途中で「もう分かった」と思って手を動かし始めると、必ずどこかの条件を見落とします。

 

2つ目。「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を同時に処理する力。切ってよい部分、切ってはいけない部分、のり付けしてよい部分、してはいけない部分。こうした禁止と許可が入り混じった条件を、頭の中で整理しながら作業する必要があります。

 

3つ目。やり直しがきかない緊張感の中で、最後まで丁寧にやり切る力。材料の追加配布がないという設計そのものが、「一度きりの本番で、集中力を切らさずに完成させる」という姿勢を試しています。

 

これはまさに、単なる「工作の上手さ」や「手先の器用さ」の問題ではなく、指示を正確に理解し、実行する力を測る検査だと言えると思います。

 

 5. 保護者の方へのヒント

 

最後に、これから受験を考えるご家庭に向けて、少し具体的な話をします。まず大切なのは、特別な図工の才能を伸ばすことではありません。むしろ日常の中で、次のような練習が効果的だと考えられます。

 

– レゴブロックなど、説明書通りに組み立てるタイプの教材に取り組む。自由に作らせるのではなく、あえて手順書通りに作らせることがポイントです。

 

– 折り紙で、山折り・谷折りといった基本用語を理解しながら、指定された形を正確に折る練習をする。

 

– 家電のマニュアルや、料理のレシピなど、日常にある「手順書」を、お子さん自身に読ませて、その通りに動いてもらう。

 

– 何か作業をお願いするときに、口頭で複数の条件を一度に伝えて、最後まで聞いてから動けるかを見てあげる。家のお手伝いがお勧めです。一度で指示を理解するにはそれなりに訓練が必要となります。

 

そして何より大事なのが、最後までやり抜く心です。過去問の中には、一見複雑そうに見えても、実は手順通りに一つずつ進めれば必ずできる問題がほとんどです。途中で「難しそう」と諦めてしまわないメンタルを育てることも、実は立派な対策の一つです。

最後に一点だけ注意してください。本日お話した内容は、あくまで過去問の傾向から見えてくる一つの見方であり、学校が公式に発表している出題意図ではないという点は、念のため申し添えておきます。

 

秋田県が全国学力テストで1位の理由! 数字の裏側

カテゴリー:ブログ2026.09.27

こんにちは。全国の公立小中学校で毎年全国学力・学習状況調査テストが実施されているのをご存じの方も多いでしょう。そして、その全国学力テストで「秋田県が全国一位」だということをご存じの方も多いとおも思います。「秋田すごい!」と思う反面、「なぜ秋田県が?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかも、一年だけ「全国一位」というのであれば、偶然もありうるかもしれませんが、長年トップクラスの成績を収め続けています。当然、偶然でそういうことは起こりません。「秋田に学べ」と、全国の教育関係者が視察に訪れるほどの話題になっていますが、その実態を掘り下げていくと、単純な「秋田の教育は素晴らしい」という話では終わらない、もう少し複雑な構図が見えてきます。

まず数字の確認――秋田県、13年連続トップという「表の顔」

秋田県は、2007年に始まった全国学力・学習状況調査で、初回から今日に至るまで13年連続でトップクラスの成績を維持しています。小学校・中学校ともに、国語・算数(数学)でほぼ上位3位以内に入り続けているというのは、他に類を見ない記録です(出典:ダイヤモンド編集部「秋田県の子どもの学力が『13年間連続トップクラス』なワケ」)。2019年度の調査でも、小学校の国語で1位、中学校の国語でも1位という結果でした(出典:東洋経済オンライン「秋田県『全国学力テスト』成績上位常連のなぜ」)。

秋田県教育委員会は「秋田わか杉っ子 学びの十か条」を掲げ、その第一条に「早寝早起き朝ごはんに家庭学習」を据えています。県内のほぼ全校で実施されている「家庭学習ノート」では、自主学習の内容を毎日2ページ以上記録して提出することが義務付けられており、提出しない場合は放課後に居残りをして完成させなければなりません(出典:家庭教師のノーバス、学習塾カレッジ塾長エッセイブログ)。こうした徹底した習慣づけが、平均点を押し上げる土台になっているとされています。

 大学進学率・共通テスト平均点は下位クラスという「裏の顔」

ところが、この「表の顔」だけを見ていると、見落としてしまう事実があります。秋田県の大学進学率は39.4%で、全国でも下から4番目という低い水準にあります(出典:マナビバ「地方の大学進学率が低い理由とは?」)。また、模試事業者が集計した都道府県別の平均点データによると、大学入学共通テスト(旧センター試験)の秋田県の平均点も35位前後にとどまり、大学進学率の順位とほぼ一致しているという指摘があります(出典:「学力テスト1位の秋田 大学進学率は低迷について考える」)。

ある学習塾主宰者は、「中学時代の学力テストで1〜2位に君臨していた秋田県が、4年後の大学等進学率では34位になり、日本一の転落幅を記録している」と指摘しています(出典:学習塾カレッジ塾長エッセイブログ「なぜ秋田は転落し福井は生き残るのか」)。小中学校では全国トップクラスだったはずの子どもたちが、高校・大学進学の段階になると、その優位性を失ってしまう。教育社会学ではこうした現象を「ふきこぼれ」と呼ぶことがあります。学力テストで測られる力と、大学受験で問われる力の間に、何かしらのズレがあるのではないか、という疑問が浮かんできます。

核心――7割超の教員が認めた「事前対策」の実態

ここで、今回の話の核心とも言える事実に触れます。2022年、石川県で全国学力テストの「事前対策」が行われていたことがNHKニュースで報じられました。この報道をきっかけに県教職員組合が行った調査では、石川県と並んで全国トップクラスの成績を誇る秋田県でも、7割を超える教員が「事前対策」をしていたと回答したことが明らかになっています。しかもその内容は、過去問を解かせるだけにとどまらず、教員が自らオリジナルの類似問題を作成してまで対策を行っていたケースもあったとされています(出典:学力再生工房AQURAS「全国学力テストで7割超える教員が事前対策をしていたと回答…」、元はNHKニュース2022年10月14日配信)。

こうした構造は、今に始まったことではないようです。2008年の報道でも、成績の悪かった学校の校長が教育委員会に呼び出され、教員が始末書を書かされたという事例や、テスト対策として直前に類似問題を繰り返しやらせた学校・教育委員会があったことが指摘されています(出典:しんぶん赤旗「全国学力テスト実施/“序列化、競争激化”批判も」)。  文部科学省は、全国学力テストの目的をあくまで「実態を把握し、指導改善につなげること」だとしていますが、現場では結果そのものが目的化し、学校や教育委員会が成果を競う構図が、テストの開始当初から続いてきたとみられます。

つまり、秋田県の「学力テスト1位」という結果には、家庭学習の習慣づけや探究型授業といった教育的な取り組みだけでなく、テストという特定の形式・出題傾向に照準を合わせた対策という側面も、一定程度含まれている可能性が高いと言えそうです。

それでも残る疑問

  ――経済的要因・県民性という、対策だけでは説明できない部分

ただし、これですべてが説明できるわけでもありません。大学進学率の低さについては、経済的な要因も指摘されています。子を持つ45〜54歳の親の年収の中央値は、東京都が約700万円であるのに対し、秋田県は約450万円というデータがあります(出典:マナビバ)。親世代に大卒者が少なく、地元の求人が大卒者にこだわらない土地柄であるため、子ども自身が大学進学の意義を見出しにくいという指摘もあります(出典:PRESIDENT Online「なぜ、秋田は学力テスト1位なのに、進学率が低いのか?」)。さらに、「競争より横並びが大事」という県民性が、小中学校段階での成績の底上げには効果的に働く一方、大学受験のような個人単位の競争の場面では不利に働くのではないか、という見方もあります(同上)。

つまり、秋田県の「学力テスト1位」という現象は、単一の理由では説明できません。事前対策という制度的な側面、家庭学習の習慣づけという教育的な側面、そして経済状況や県民性という社会的な側面が絡み合った結果として、「小中では全国トップ、しかし大学進学では下位」という、一見矛盾した状況が生まれていると考えるのが実態に近そうです。全国から「秋田に学べ」と視察が相次ぐ一方で、当の秋田県内の教育関係者自身が「秋田を見習って大丈夫なのか」と疑問を呈しているという指摘もあります(出典:「学力テスト1位の秋田 大学進学率は低迷について考える」)。この温度差自体が、この問題の複雑さを物語っていると言えるでしょう。

 

中学受験率が全国2位の高知県! なぜ?

カテゴリー:ブログ2026.09.20

これまで、東京や大阪・兵庫といった大都市圏の中学受験事情を中心に見てきました。今回はその中で、多くの人が意外に思うであろう県を取り上げます。高知県です。「地方」「田舎」というイメージが強い高知県ですが、実は中学受験率で見ると、都道府県別で、全国で東京都に次ぐ2位という、驚くべき位置にあります。今日はその理由を掘り下げていきます。

 

まず数字の確認――高知県、全国2位という事実

文部科学省の学校基本調査を基にした集計によると、国立・私立中学に通う生徒の割合(中学生100人あたり)は、全国平均が8.64人です。1位の東京都は26.65人と突出していますが、2位につけているのが高知県で20.89人。3位の奈良県(14.42人)や4位の京都府(14.39人)を大きく引き離しています(出典:とどラン「都道府県別国立・私立中学生徒数」、文部科学省学校基本調査)。別の年度・別の算出方法による調査でも、高知県の私立中学通学率は17.87%で全国2位という結果が出ており、複数のデータで同じ傾向が確認できます(出典:SBIアルヒ「高知県民はなぜ『私立中学』を選ぶ?」)。

人口約71万人という、決して大きくはない県が、神奈川県や大阪府、京都府といった大都市圏を上回る中学受験率を記録しているというのは、かなり異例なことです。

 

なぜ高知だけ違うのか

――トップ校が「公立」ではなく「私立」という構造

この現象を理解する鍵は、「その地域のトップ校がどこか」という点にあります。多くの地方都市では、進学実績で最上位に立つのは公立高校です。地元の公立トップ校を目指すのであれば、中学受験をする必要性は薄くなります。

ところが高知県では、この前提が当てはまりません。高知県の大学進学実績トップは、土佐高校・高知学芸高校・土佐塾高校という私立3校が占めており、公立の伝統校である高知追手前高校も、大学合格実績でこれらの私立校には及ばないとされています(出典:朝森教育データバンク「高知県の進学校Map」)。しかも、これらの私立トップ校は高校からの募集人数が少なく、実質的に中学入試が「ハイレベルな高校へ進むための主戦場」になっています。優秀な子どもを上位の高校で学ばせたいと考える家庭ほど、中学受験という選択肢を取らざるを得ない構造になっているのです。

では、なぜ高知県だけ、公立高校がトップの座を私立に譲ることになったのでしょうか。ここには、戦後にまでさかのぼる歴史的な経緯があります。

1950年、高知県は「高校全入制」という制度を導入しました。これは、希望する生徒全員が、事実上無試験で地元の公立高校に入学できるという仕組みです。当時、高知県の高校進学率はおよそ40%にとどまっており、これを引き上げたいという県教育委員会の強い意向が背景にありました(出典:粟津竜智「高校全入制の意義」、伊豆真人「高知における学力問題に関する研究」)。ただし、普通科の場合は地元の高校しか選べず、高知市中央部の生徒は、抽選で3校のいずれかに振り分けられるという仕組みでした。

この制度は1960年代に撤廃されましたが、その間に公立高校からは選抜性が失われ、学力優秀で経済的に余裕のある家庭の子どもは私立高校を選ぶという流れが定着しました。制度そのものはなくなっても、「優秀な子は私立に行く」という認識は世代を超えて引き継がれ、現在に至るまで続いていると考えられています。実際、現在も高知県の公立高校の入試倍率は低い水準にあり(2017年度の県全体の平均倍率は0.80倍)、全入制の名残が今も見て取れます。

高知県の受験文化から見えてくるもの

ここまで見てきたように、高知県の中学受験率の高さは、東京や大阪のような「都市部だから」という理由とはまったく異なる背景から生まれています。都市部では、附属校の集中や経済的な余裕、情報インフラの充実が受験率を押し上げていました。一方、高知県では、70年以上前の制度改革が公立高校の選抜性を失わせ、その結果として私立校がトップ校の座を占めるようになったという、歴史的な経緯こそが受験率を押し上げているのです。

なお、高知県の大学進学率自体は52.52%と全国平均を下回っています(出典:SBIアルヒ「高知県民はなぜ『私立中学』を選ぶ?」)。つまり、「中学受験に熱心=大学進学至上主義」という単純な図式でもありません。高知県では、大学進学率の高さよりも、地元でのキャリア形成や、女性が子育て中も働き続ける労働文化(15〜64歳女性の労働力率は72.1%で全国平均67.3%を上回る)といった、独自の価値観が根付いているとも指摘されています。

こうして考えますと、高知県のケースは、「都会は私立、地方は公立」という単純な二分法では説明できない、もう一つの中学受験のかたちを示していると言えそうです。

 

 

上智大学はなぜ「国際系学部乱立」の中でも埋もれなかったのか

カテゴリー:ブログ2026.09.13

こんにちは。以前、中央大学法学部を取り上げて話をした際に、1990年代以降、各大学が次々と国際系学部を新設し、伝統ある学部の相対的な地位が下がっていったという話をしました。法政大学の国際文化学部、明治大学の国際日本学部、立教大学の異文化コミュニケーション学部、青山学院大学の地球社会共生学部・・・。今や「国際系学部」は、どこの大学にもある、いわば当たり前の存在になっています。

では、この「国際系学部ブーム」の中で、本家本元とも言える大学はどうなったのでしょうか。今日はその大学、上智大学について解説していきます。

第1章:上智は「国際系学部の元祖」なのか?

上智大学は1948年に新制大学として発足し、その翌年の1949年、駐留米軍の関係者などを対象とした夜間プログラム「国際部」を開設しました。これが現在の国際教養学部の前身です。なお、現在の外国語学部が独立した学部として設置されたのは1958年のことで、それまでは1955年に文学部の中に設置された外国語学科という位置づけでした。

「国際系学部」というカテゴリー自体に明確な定義があるわけではないので、上智大学を「元祖」と断定するのは難しいところがあります。ただし、大学自身が「日本の国際教育の先駆者」と位置づけているように、他大学が国際系学部を新設し始めた1990年代から2000年代にかけて、上智大学はすでに40年以上、国際教育のノウハウを蓄積していたことは事実です。

第2章:上智は「国際系学部が強い大学」ではない

「国際系の大学」と聞くと、特定の学部だけが目立っているようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、上智大学が公式に公表しているデータを見ると、それは正確ではないことが分かります。

上智大学の公式サイトによると、

  • 全科目のうち70%以上が40人以下の少人数授業
  • 全体の約18%にあたる990科目が、外国語のみで行われる授業
  • 開講されている語学科目は22言語
  • 他学部・他学科の科目を履修した経験がある学生の割合は85.9%(2023年度実績)

このように、国際色は特定の学部だけでなく、人文科学系から理工学系まで、大学全体に行き渡っています。「国際系学部が強い大学」ではなく、「国際系ではない学生も含めて、大学全体で外国語・異文化・他学部との交流にアクセスできる大学」というのが実態に近いといえます。その背景には、四谷キャンパスに9学部29学科のすべてが集まる「ワンキャンパス」という構造があります。物理的に学部同士が分かれていないからこそ、他学部の授業を取る、異なる分野の学生と交流する、といったことが自然に起きやすくなっているのです。

第3章:後発大学が真似できなかったもの

法政大学のグローバル教養学部や立教大学の異文化コミュニケーション学部など、後発の国際系学部は、いずれも単独の学部として高い人気を集めています。しかし、これらの大学と上智大学の違いは、「一つの学部を国際化したか」「大学全体を国際化したか」にあります。

上智大学の国際性は、1990年代に突然作られたものではありません。イエズス会という世界的なネットワークを持つ母体のもとで、建学の当初から国際的な教育・交流の思想があり、それが70年以上かけて、少人数教育・ワンキャンパス・22言語の語学教育といった具体的な仕組みとして大学全体に組み込まれてきました。一学部だけを国際化するのと、大学全体の設計として国際化するのとでは、後発の大学が追いつくまでにかかる時間がまったく違います。これが、上智大学が模倣されにくい理由だと考えられます。

第4章:「推薦なら入りやすい」という時代も終わった?

上智大学には、一般選抜以外にも、公募制の推薦入学試験や、カトリック系高校出身者を対象とした「カトリック高等学校対象特別入学試験」といった、独自の入試ルートがあります。これらの特別入試は、以前から入試倍率が低いことで知られており、1.5倍を下回ることも珍しくないとされています。その意味では、今も一般選抜よりは狭き門ではありません。

ただし、「誰でも入りやすい」というわけではなくなってきています。カトリック高等学校対象特別入学試験については、2021年度入試から、それまであった学校指定枠が廃止され、日本カトリック学校連合会に加盟するすべての高校から出願できるようになりました。受験できる高校の対象が広がったことで受験者数が増加し、結果として合格の難易度が上がったとされています。

また、この入試は志望理由書に加えて、小論文や面接、学科によっては学科試験も課されており、「推薦だから学力試験がない」という単純な入試ではありません。

つまり、「以前は一般選抜とは違う選択肢として推薦を利用する受験生もいたが、現在は推薦も決して簡単な入試ではなくなっている」というのが実態です。

第5章:それでも上智は安泰なのか?

もっとも、上智大学が今後も安泰かというと、そうとも言い切れません。早稲田大学国際教養学部、立教大学異文化コミュニケーション学部、明治大学国際日本学部、法政大学グローバル教養学部、青山学院大学地球社会共生学部など、後発の国際系学部は、いずれも独自の強みを打ち出しながら実績を積み上げています。これらの大学が学部単位での実績を積み重ねていけば、上智大学との相対的な位置づけも、今後変わっていく可能性は否定できません。

ここまで見てきたことをまとめると、こうなります。後発の大学は、国際系学部を新設することはできます。しかし、上智大学が持っている「大学全体の国際性」は、一つの学部を作っただけでは再現できません。上智大学が国際系学部乱立の時代でも埋もれなかった最大の理由は、国際系学部を持っているからではなく、大学そのものが70年以上かけて「国際性を前提とした大学」として設計されてきたからではないでしょうか。

そしてこれは、日本大学のケースとも重なる論点です。日本大学の動画で見たように、志願者数という「量」は施策次第で比較的短期間で動かせます。しかし、上智大学の国際性のように、大学の仕組みそのものに組み込まれた「質」は、一朝一夕には作れませんし、簡単には失われません。数字だけを見ていると、大学の本当の強さは見えてこないと言えるでしょう。

 

夏期講習最終日

カテゴリー:お知らせ2026.09.09

本日9月9日(水)が講習最終日となります。

明日10日(木)からが通常授業となりますので、お間違いのないようご注意ください。

お休みのお知らせ

カテゴリー:ブログ2026.09.07

9月8日(火)は塾がお休みとなっております。お間違いのないようご注意ください。

日大は復活した?なぜ「日東駒専」の序列は戻らないのか?

カテゴリー:ブログ2026.09.06

こんにちは。本日は日本大学についての話となります。日大は日本最大規模の大学であり、知名度も抜群です。ただし、ここ10年で考えると、何度かの不祥事があり、人気に陰りが見られる、というのが一般的な見方ではないでしょうか。 一時は減少傾向にあった日本大学の一般選抜志願者数(学部・短期大学部)ですが、2026年度入試で11万2312人となり、11万人台まで回復しました。一見すると、これで日本大学は「完全復活」したように見えます。

ところが、ここで一つ不思議なことがあります。志願者数は戻ったのに、以前とまったく同じ状態に戻ったとは言い切れないのです。いったい何が起きているのでしょうか。今日はそのからくりを、公表されているデータをもとに検証していきます。

第1章:志願者数の推移

最初の転機は、2018年に起きたアメリカンフットボール部の悪質タックル問題でした。試合中の危険なプレーとその後の対応の稚拙さが大きく報じられ、大学のガバナンスに疑問符がつきました。さらに2021年には、当時の理事長が脱税容疑で逮捕される事態に発展します。もっとも、このときは志願者数への影響は限定的で、2021年度9万7948人に対し、2022年度は9万3770人と、大きくは減少しませんでした。

さらに事件は続きます。2023年夏、アメリカンフットボール部員による違法薬物事件が報道されます。同じ部活動での二度目の不祥事という事実が、受験生や保護者に与えた印象は深刻でした。この事件を受けて、志願者数は次のように推移しています(日本大学発表・大学通信オンラインのデータをもとにしています。なお短期大学部を含むかどうかなど集計範囲の違いにより、年度間の数字が完全には接続しない場合があります)。

  • 2021年度 9万7948人
  • 2022年度 9万3770人(理事長逮捕後も大きくは減少せず)
  • 2023年度 約9万9千人
  • 2024年度 7万5839人(薬物事件発覚後、前年度比2万人以上減)
  • 2025年度 9万2506人(前年度比21.5%増、2年ぶりの9万人台回復)
  • 2026年度 11万2312人(前年度比21.4%増、2020年度以来6年ぶりの11万人台)

数字だけを見ると、日本大学は2024年度をどん底に、2年連続で大きく志願者数を伸ばし、不祥事前の水準にほぼ並んだことになります。

第2章:偏差値は、志願者数ほど激しくは動いていない

ここで、志願者数とは別のデータを見てみます。大手予備校・東進ハイスクールの分析(ダイヤモンド編集部の特集記事で紹介されたもの)によると、日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)のうち二校に合格した「ダブル(W)合格者」が、実際にどちらへ進学したかを追跡したデータがあります。

この分析によると、日本大学は、かつて日東駒専の中で『筆頭』とされてきた地位を、2019年以降じわじわと東洋大学に明け渡し、直近のダブル合格データでは東洋大学を選ぶ受験生が8〜9割を占めるまでになっている、とのことです。

ただし、この「ダブル合格者の進学先」というデータは、大学全体のブランド力そのものを直接測定したものではなく、あくまで一つの指標です。したがって、「日東駒専の序列そのものが入れ替わった」と断定するより、「少なくともダブル合格者の進学先という指標で見る限り、日本大学より東洋大学を選ぶ受験生が増えた」というくらいの表現が実態に近いといえます。

ここまで志願者数の乱高下を見てきましたが、偏差値についても同じように語れるかというと、そうではありません。日本大学は16学部を抱える大規模校であり、学部・学科ごとに難易度も志願動向も大きく異なります。

そのため「日本大学の偏差値が○○から○○になった」と大学全体を一括りに語るのは、実態を見誤らせる可能性があります。むしろ正確に言えば、日本大学は大学全体の偏差値が大きく動いたというより、学部・学科ごとの志願者数や実質倍率に大きな変化が生じた、と捉えるべきでしょう。

事実、法学部(第一部)は2026年度に前年度比4314人増の1万3765人と、学部単体で突出した志願者増を記録しており、増加分は学部によってかなり偏っています。

日本大学の学務部入学課は、志願者数が11万人台に増えた背景として、ブランドイメージの改善に向けた取り組みや積極的な広報活動、併願割引の適用拡大、外部英語資格試験の導入拡大を挙げています。つまり、この回復は自然に起きたものではなく、大学側の意図的な施策によって押し上げられた面が大きいということです。一方で、前述のダブル合格データで見る限り、日東駒専内で失ったポジションについては、いまだ取り戻せていないと指摘されています。

第3章:「量」は戻っても「質」は別問題

ここまでの流れを整理すると、次のようになります。

不祥事の発生
↓
志願者数の急減(2024年度)
↓
ダブル合格データに見る「日東駒専」内ポジションの陥落
↓
広報施策による志願者数の回復(2025〜2026年度)
↓
それでもダブル合格データ上のポジションは未回復

 

志願者数という「量」の指標は、大学側の施策次第で比較的短期間で回復させることができます。しかし、ダブル合格者の進学先という、受験生が実際に選んだ結果を映す指標には、依然としてズレが残っています。数字が戻ったからといって、大学の評価全体がすぐに元通りになるとは限らない。志願者数の回復とダブル合格データという、性質の異なる二つの指標を並べて見えてくるこのギャップこそ、本日もっともお伝えしたかったことです。

 

通常授業

カテゴリー:お知らせ2026.08.31

9月10日(木)より通常授業となります。お間違いのないようご注意ください。

志望理由書「NG構文」3選 完全解説

カテゴリー:志望理由書の書き方2026.08.30

こんにちは。今日は「志望理由書でやってはいけないNG構文3選」を、実際の添削あるある例と一緒に解説していきます。

 

おそらく、本日のこの動画で紹介する三つの構文は、多くの受験生が書きがちなものだと思います。NG構文であるにもかかわらず、本人は「ちゃんと書けている」と思っているケースがほとんどです。

 

紹介するのは以下の三つです。

 

  1. AI構文——― 文章はきれいだけど中身が空っぽ
  2. パンフレット構文——― 大学案内の言葉をそのまま輸入してしまう
  3. 使い回し構文——― 大学名を入れ替えても成立してしまう文章

 

それぞれ「NG例→なぜダメか→OK例」の順番で見ていきます。自分の下書きに当てはまっていないか、チェックしながら見てください。

 

1.AI構文

 

私は貴学の国際関係学部を志望する。まず、グローバル化が進む現代社会において、異文化理解の重要性は増している。また、貴学は語学教育に定評があり、実践的な学びが可能である。さらに、留学制度が充実しているため、実際に異文化に触れる機会が得られる。そのため、貴学こそが私の学びたいことを実現できる場所だと考える。

 

聞いていてどんな感想をもったでしょうか?ひょっとしたら、「なんかそれっぽいな」と思ったかもしれません。

 

AI構文の最大の特徴は、接続詞の使い方が異常に規則的なことです。典型的なのは、これです。

 

「まず→また→さらに→そのため」

 

このパターン、生成AIに志望理由書のたたき台を作らせると本当によく出てきます。論理の骨格だけを機械的に組み立てているので、文法的には破綻していません。破綻どころか読みやすく、さらに言葉遣いも正しいため、とても書けているような印象をもちます。ところが、読んでも書き手の顔がまったく思い浮かびません。AIは経験を積まないため、個別の経験を書くことができないからです。

もう一つの特徴は、主語がずっと「私」でも「貴学」でもなく、「現代社会」や「グローバル化」のような大きすぎる主語から始まることです。個人の経験がゼロで、社会一般の話から入ってしまう傾向が強いのです。そうしますと、添削する側から見ると、この文章を書いた高校生が

 

– 何に困っていたのか

– 何を見て心が動いたのか

– なぜ「その学部」でなければいけないのか

 

が一つも分かりません。とても上手な文ではあるが、書き手の個性が見えてこないというのが、AI構文最大の問題です。

 

たとえば、同じテーマでも、少し変えるだけで印象が変わります。

 

高校2年の夏、フィリピンにホームステイした際、私が挨拶をしても現地の子どもたちが目を合わせてくれないことがあった。後で知人に聞くと、その地域では「目上の人と直接目を合わせない」文化的背景があるという。私が当たり前だと思っていたコミュニケーションのルールが、場所が変わるだけで通用しない——この経験から、言語だけでなく文化的背景まで踏み込んで学べる貴学の〇〇プログラムに強く惹かれた。

 

違いが分かると思います。 接続詞に頼らず、一つの具体的な経験から文を始めるだけで「この人にしか書けない文章」になります。

 

2.パンフレット構文

次の構文に移ります。

 

貴学では一つの専門分野だけでなく、分野横断的な学びが可能で、多様な価値観を持つ人たちと共に、共生社会の構築に向けて主体的に学ぶことができる環境が整っている。私はこうした貴学の理念に共感し、志望するに至った。

 

これもよくあるパターンです。私はこれを「パンフレット構文」と言っています。パンフレットや公式サイトの言葉をほぼそのまま使っているパターンです。

「分野横断的」「共生社会の構築」「主体的な学び」「多様な価値観」——これらは大学側が「自分たちの特徴を説明するための言葉」であり、不特定多数に向けた言葉です。当然最大公約数的な言葉になってしまいます。言い換えると、それは、抽象的な言葉なのです。一方、受験生は、大学に向かって個別具体的な文章を書かなければ、自分が何者であるのかを届けることはできません。

当然ですが、審査する教員は、自分の大学のパンフレットの文言を知っています。それを使えば、何も考えていないことは瞬間でバレるでしょう。

もちろん、パンフレットの言葉を使うこと自体が悪いわけではありません。問題は、「その言葉を自分の経験や関心に翻訳せずにそのまま貼り付けてしまう」ことです。少し添削をしてみましょう。

 

 高校の探究活動で、地域の外国人労働者への日本語教育ボランティアに参加した。そこで気づいたのは、「日本語を教える」だけでは不十分で、労働環境や制度の理解も同時に必要だということだった。貴学の〇〇学部は、言語教育・社会学・法学を横断して学べるカリキュラムが組まれており、私がこの活動で感じた課題に、複数の角度からアプローチできると考えている。

 

「分野横断的」という言葉こそ使っていますが、「なぜ自分にとって分野横断である必要があるのか」が、具体的な経験から説明されています。ここが決定的な違いです。

 

3.使い回し構文

次に挙げたいのが、「使い回し構文」です。「使い回し構文」も私が勝手に命名したものですが、複数の大学用に書類を作成したのがバレバレの文のことです。例を見てみましょう。

 

 私が貴学を志望する理由は、少人数教育で丁寧な指導を受けられる環境が整っているからである。高校時代、部活動でリーダーとしてチームをまとめた経験から、人と深く関わりながら学ぶことの大切さを実感した。貴学でも、先生方や仲間と密に関わりながら、専門知識を深めていきたいと考えている。

 

これも一見ちゃんと書けているように見えると思います。しかし、上記の文は、大学名にも学部名にも一度も触れていないことに気づいたでしょうか。試しに「貴学」を実際の大学名に置き換えて読んでみてください。どの大学名を入れても、ほぼ違和感なく成立してしまいます。これを私は「使い回し構文」と呼んでいます。

 

原因は明確で、「その大学・その学部でなければいけない理由」が一つも書かれていないからです。

 

– 少人数教育→多くの大学に当てはまる

– 部活のリーダー経験→学部と無関係

– 「専門知識を深めたい」→どの専門かが書かれていない

 

つまりこの文章は、大学選びの理由ではなく「大学というものへの一般的な希望」を書いているに過ぎません。複数の大学に志望理由書を提出する受験生に驚くほど多いパターンです。大学の先生という文を読む専門家を甘く見てはいけません。

そもそも「使い回し構文」の見抜き方は簡単です。大学名・学部名・教授名・カリキュラム名などの固有名詞をすべて隠して読んでみるのです。それでも文章が成立してしまったら、使い回し構文の疑いがあります。

 

 貴学経済学部の〇〇教授が提唱する「地域内経済循環」の考え方に強く関心を持っている。私の地元は人口減少が進み、地域の商店街がシャッター街になっているのを日常的に見てきた。この課題に対して、貴学の少人数ゼミでは1年次から地域経済の実地調査に関われると知り、教室で理論を学ぶだけでなく、自分の地元の課題に直接アプローチできる環境に魅力を感じている。

 

大学名を入れ替えたら成立しません。その大学でなければいけない理由が、固有名詞レベルで書かれているからです。

4.まとめ

三つのNG構文をまとめてみましょう。

 

 AI構文

抽象的な接続詞頼みで顔が見えない

                                         →具体的な一つの出来事から書く

パンフレット構文

大学側の言葉をそのまま借りている

                                        → 自分の経験に翻訳してから使う

使い回し構文

大学名を入れ替えても成立する

                                        →固有名詞レベルの具体性を入れる

 

実はこの三つの根にあるものは同じです。

「自分にしか書けない具体的な経験」が抜け落ちているという一点に集約されます。

 

裏を返せば、自分だけの経験・エピソード・気づきをちゃんと言語化できれば、この三つのNGは自然と避けられるということです。今回紹介した三つ自分の下書きに当てはまっていないか、ぜひ見直してみてください。

 

【学校対決シリーズ】② 「渋渋× 広尾」 自調自考の自由な探究vsコース制の手厚い面倒見  グローバル・共学系対決

カテゴリー:学校紹介2026.08.23

  1. 導入

 

先週に続き今回も「学校対決シリーズ」となります。今回は共学・グローバル教育系の対決として注目度の高い2校、渋谷教育学園渋谷(渋渋)と広尾学園を取り上げます。

 

どちらも共学・国際教育に力を入れ、人気のある学校です。現在の流行りの学校の流れを作ってきた学校といっても過言ではないかもしれません。人気を引っ張ってきた二つの学校ではありますが、実は校風はかなり対照的です。渋渋は「自調自考(自ら調べ自ら考える)」を教育理念に掲げ、生徒の自主性に任せる探究型の校風です。一方の広尾学園は本科・医進サイエンス・インターナショナルという明確なコース制を敷き、コースごとに手厚く面倒を見るスタイルが特徴です。

 

今回も「自由度」「面倒見」「進学実績」「学習環境」「通学のしやすさ」「学費」の6項目で点数化し、それぞれのご家庭にどちらが向いているかを一緒に考えていきましょう。

 

※なお、今回の点数はあくまで一般的な公開情報をもとにした一つの見方であり、絶対的な評価や優劣を示すものではありません。お子さんに合うかどうかは、ぜひ実際に学校見学や説明会に足を運んで確かめてみてください。

 

 

  1. 軸の説明

 

比較する前に、今回の軸を整理します。

 

– 自由度:校則の有無、生徒の裁量の大きさ、探究学習の自由度

– 面倒見:先生からのサポート体制、コース別指導や進路指導の手厚さ

– 進学実績:東大・難関大学、海外大学を含めた合格実績

– 学習環境:グローバル教育、ICT教育、探究学習の充実度

– 通学のしやすさ:立地、アクセス、周辺環境

– 学費:6年間でかかる総額の目安(国際教育プログラムの費用込み)

 

この6項目を5点満点で採点していきます。なお、前回の女子学院×桜蔭と同じ軸となっています。

 

  1. 渋谷教育学園渋谷(渋渋)の評価

 

良い点・特長

– 「自調自考」を掲げ、生徒が自ら課題を見つけて探究する校風。中学段階からの探究学習・レポート指導が充実

– 2025年度は東大に50名合格するなど、共学校のなかでもトップクラスの進学実績。早慶上智への進学者数も多い

– 渋谷駅から徒歩圏内という都心一等地に立地し、通学のアクセスは抜群

– 海外大学への進学や海外研修にも力を入れており、グローバル志向の強い生徒に向いている

 

 良くない点(向かない家庭)

– 自主性重視の校風のため、「手取り足取り管理してほしい」というご家庭にはやや物足りない可能性

– 2026年入試は第1回・第2回・第3回とも高倍率で、特に第2回は偏差値・合格最低点が最も高くなりやすい

– コース制ではなく全員共通カリキュラムのため、明確な目標別(医学部特化など)の手厚い指導を求める家庭には向かない場合がある

 

 点数

| 項目 | 点数 |

| 自由度 | ★★★★☆ (4) |

| 面倒見 | ★★★☆☆ (3) |

| 進学実績 | ★★★★★ (5) |

| 学習環境 | ★★★★★ (5) |

| 通学のしやすさ | ★★★★★ (5) |

| 学費 | ★★★☆☆ (3) |

 

  1. 広尾学園の評価

 

良い点・特長

– 本科コース・医進サイエンスコース・インターナショナルコース(AG/SG)という明確なコース制で、目標に応じた手厚い指導が受けられる

– 医進サイエンスコースは医師・研究者を志すマインドの育成に重点を置き、理系志向の生徒に強い

– インターナショナルコースは海外帰国子女教育研究指定校としての実績があり、多 国籍で多様性のある学習環境

– ICT教育や1人1台端末の活用など、先進的な学習環境が整っている

 

 良くない点(向かない家庭)

– コースごとに校風や雰囲気が異なるため、「広尾学園らしさ」が一枚岩ではなく、入学後のコース選択・コース変更を見据えた検討が必要

– 広尾・白金台エリアに立地しており、渋谷や新宿など主要ターミナル駅からのアクセスはやや遠く感じる家庭もある

– 渋渋と比較すると東大現役合格者数はやや少なめで、超難関国立大学突破を最優先する場合は渋渋の方が実績で優位

–コース制のため面倒見の手厚さには差があり、選抜コースや成績上位層には手厚い一方、そうでない層は「放置されている」と感じる生徒もいるとの声もある

 

点数

| 項目 | 点数 |

| 自由度 | ★★★☆☆ (3) |

| 面倒見 | ★★★★☆ (4) |

| 進学実績 | ★★★★☆ (4) |

| 学習環境 | ★★★★★ (5) |

| 通学のしやすさ | ★★★☆☆ (3) |

| 学費 | ★★★☆☆ (3) |

 

  1. レーダーチャート

 

6項目を並べると、渋渋は「進学実績」「通学のしやすさ」で優位、広尾学園は「面倒見」で優位という対比になります。どちらも「学習環境(グローバル教育)」は最高評価ですが、全体を通してみると、渋渋のほうがチャートの面積は広くなりました。共学校として見てみると、両校とも素晴らしい学習環境だと言えるでしょう。

 

 ※点数はあくまで一つの見方であり、主観を含みます。優劣ではなく「相性」として見てください。

 

  1. 結論

本日の話をまとめますと、

 

– 自分で考えて動ける自主性があり、都心アクセスと進学実績を重視したいご家庭→ 渋谷教育学園 渋谷

– 医学部志望やインターナショナル進学など目標が明確で、コースに応じた手厚いサポートを求めるご家庭→ 広尾学園

 

どちらも共学・グローバル教育のトップ校であり、「自主性に任せるか、コースで手厚く導くか」という校風の違いが最大の分かれ目です。偏差値の近さだけで選ばず、ぜひ文化祭や学校説明会でお子さん自身の反応を見てあげてください。

 

出典・

– 偏差値・進学実績データは森上教育研究所、日能研、各校公式サイトの進路実績ページ等を参考(2025〜2026年時点の公開情報)

 

 

2027年度 先行予約受付中

カテゴリー:お知らせ2026.08.21

現小3生と高2生の先行予約を受け付けています。

小3生は来年2月より、高2生は11月より授業開始を予定しております。

ご検討中の方は早めにご連絡いただきますようお願いします。

 

 

漢検のお知らせ

カテゴリー:お知らせ2026.08.20

本日(8月20日)は、漢検実施日となっており、授業ございません。

お間違いのないようご注意ください。

【学校対決シリーズ】① 「女子学院 × 桜蔭」 「自由な自主性」vs「規律ある学力」— どちらがお子さんに合うか

カテゴリー:学校紹介2026.08.16

  1. はじめに

こんにちは。今回から新しい「学校対決シリーズ」という企画を始めていきます。初回は女子御三家の中でも特によく比較される二校、女子学院と桜蔭を取り上げます。

 

どちらも全国最難関の女子校ですが、偏差値だけ見ると「桜蔭の方が上」です。しかし、実際にわが子をどちらかの学校に通わせるとなると偏差値以上に大事なのが「校風がお子さんに合うかどうか」です。

 

女子学院は「自由の女子学院」と呼ばれ、校則がほとんどなく、生徒の自主性に任せる校風となっています。一方の桜蔭は「学業を究める」という言葉が象徴するように、規律と学力を重視する校風です。

 

本日は「面倒見」「自由度」「進学実績」「学習環境」「通学のしやすさ」「学費」の6項目で点数化し、それぞれのご家庭にどちらが向いているかを一緒に考えていきましょう。

 

  1. 軸の説明

比較する前に、今回の軸を整理します。

 

– 自由度:校則の有無、制服、生徒の裁量の大きさ

– 面倒見:先生からのサポート体制、補習や進路指導の手厚さ

– 進学実績:東大・難関大学、特に医学部を含めた合格実績

– 学習環境:授業のスタイル、探究学習やグローバル教育の有無

– 通学のしやすさ:立地、アクセス、周辺環境

– 学費:6年間でかかる総額の目安

 

この6項目を5点満点で採点していきます。あくまで「傾向」としての採点で、優劣をつけるものではない、という前提でご覧ください。なお、今回の点数はあくまで一般的な情報をもとにした一つの見方であり、絶対的な評価や優劣を示すものではありません。お子さんに合うかどうかは、ぜひ実際に学校見学や説明会に足を運んで確かめてみてください。

 

  1. 女子学院の評価

 

良い点・特長

– 校則がほぼ存在せず、制服も基本自由。生徒の自主性・自立心を育てる校風が最大の特徴

– 「これしなさい」ではなく「自分で考えて動く」文化が根付いており、行事も生徒主体で運営され る

– 立地は一番町、各国大使館が並ぶ閑静で治安の良いエリア

– 進学実績も極めて高く、2025年の東大合格者は28名(現役25名)。早慶上理には451名が合格しており、進路の幅が広い

 

良くない点(向かない家庭)

– 自由度が高い分、「手取り足取り管理してほしい」というご家庭にはやや物足りなく感じる可能性

– 校則や制服がない分、公式説明会などで「うちの子は自分で管理できるか」を見極める必要がある

– 2026年入試からキリスト教主義の礼拝を優先し、試験日が2月2日に変更(サンデーショックの影響)。併願戦略の見直しが必要

 

点数

| 項目 | 点数 |

 

| 自由度 | ★★★★★ (5) |

| 面倒見 | ★★★☆☆ (3) |

| 進学実績 | ★★★★★ (5) |

| 学習環境 | ★★★★☆ (4) |

| 通学のしやすさ | ★★★★☆ (4) |

| 学費 | ★★★★☆ (4) |

 

「※点数はあくまで一つの見方であり、主観を含みます」

 

 

  1. 桜蔭の評価

 

良い点・特長

– 女子最難関の学力層が集まり、進学実績は女子校トップクラス。理系・医学部志向の生徒にも強い

– 「知的な刺激」に溢れた本郷エリアに立地し、東大が近く、勉強への意識が自然と高まる環境

– グローバル教育や探究教育、感性表現教育にも力を入れており、単なる詰め込みではない学びを提供

– 同じ目標に向かう仲間の質が高く、勉強面での相乗効果が期待できる

 

良くない点(向かない家庭)

– 校風としては規律や学業重視の色合いが強く、「もっと自由にのびのび過ごしてほしい」というご家庭には合わない可能性

– 偏差値・入試難易度が女子校の中でも最高峰(四谷大塚基準で偏差値70)のため、入試そのもののハードルが非常に高い

– 学力面での競争が激しい環境になじめるかどうか、お子さんの性格を見極める必要がある

 

点数

| 自由度 | ★★☆☆☆ (2) |

| 面倒見 | ★★★★☆ (4) |

| 進学実績 | ★★★★★ (5) |

| 学習環境 | ★★★★★ (5) |

| 通学のしやすさ | ★★★☆☆ (3) |

| 学費 | ★★★★☆ (4) |

 

「※点数はあくまで一つの見方であり、主観を含みます」

  1. レーダーチャート

 

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6項目を並べると、女子学院は「自由度」で突出し、桜蔭は「学習環境」「面倒見」でやや優位という、きれいな対比になります。進学実績はどちらも高水準でほぼ互角で、特長の異なるまさに対決にふさわしい二校です。

 

 

  1. 結論

本日の話をまとめますと、「自主性を伸ばしたい、自分で考えて行動できるタイプのお子さん」であれば、女子学院。「学業への集中力が高く、規律ある環境で切磋琢磨したいタイプのお子さん」であれば、桜蔭となるでしょうか。一般的な評価とほぼ一致していると思います。

どちらも最難関の女子校であり、「どちらが上か」ではなく「どちらがお子さんの性格に合うか」で選ぶことがもっとも大切です。偏差値だけで決めず、ぜひ文化祭や学校説明会に実際に足を運んで、お子さん自身の反応を見てあげてください。

 

補足:出典・注意事項

– 偏差値・進学実績データは四谷大塚、SAPIX等の公開情報および各校公式サイトを参考(2026年時点の情報)

 

 

【総合型選抜】ボランティアはもう武器にならない? 差がつくのは 読書 かもしれない話

カテゴリー:大学受験2026.08.09

夏休みに入り、総合型選抜の対策を本格的に始める受験生も多い時期かと思います。本日は、総合型選抜入試の対策として、よく使われてきた「ボランティア活動」について、今の時代にどこまで効果があるのか、そして代わりにどんなことが差別化になり得るのかを、お話ししてみたいと思います。というのも、総合型選抜入試のような試験形式は、通常の学力テストのようなものと異なり正解がありません。正解がないからこそ、他の受験生との「差別化」というのが重要なキーワードとなるからです。

結論から言うと、私は「本を読むこと(学びたい分野に関するもの)」のほうが、今はかえって目立つのではないかと考えています。その理由について、順を追って説明します。

なぜボランティアが効かなくなったのか

一昔前は、ボランティア活動をしていること自体が評価される時代がありました。継続的に社会と関わってきた経験は、それだけで説得力があったからです。特に、自分の進みたい分野、たとえば教育学部に進みたいという人が、教育系のボランティア活動をしていたとなると、それだけで、説得力は増すものです。ところが今では、総合型選抜対策を専門とする塾がボランティア先まで紹介するようになりました。どんな活動をして、どう志望理由書に書けば評価されやすいか、というノウハウがすでに出回っているということです。

その結果、何が起きるかというと、面接官からすると「みんな似たような話をしている」、あるいは「みんな同じような活動をしている」という印象になります。もちろん、活動そのものが悪いわけではないのですが、対策されつくしてしまうと、差がつく材料としては弱くなってしまうのです。

差別化が均質化していく仕組み

ここで少し整理しておきたいのが、ボランティアに限らず、あらゆる「差別化要素」がたどる道筋です。だいたい次のような流れになります。

1.誰かが独自の取り組みを始める 最初は誰もやっていないので、それだけで目立ちます。

2.評価される事例として広まる 合格実績として語られるようになり、「あの活動をすると評価される」という情報が広がっていきます。

3.塾がノウハウとして体系化する 効果があると分かった時点で、対策できる形に落とし込まれます。ここまで来ると、誰でも同じような形で取り組めるようになります。

4.均質化して、差別化効果を失う みんなが同じことをするようになると、もはや差はつきません。そして次の「まだ対策されていない何か」が探されるようになります。

ボランティアは、今まさにこの4番目の段階にいると私は見ています。そして、次に来るものとして今のところ手つかずに近いのが「読書」ではないかと思っているのです。

図:差別化から均質化へのサイクル

 

画像1

なぜ読書が今、差別化になり得るのか

大学が総合型選抜で見ているのは、突き詰めると「学問に対する関心の深さ」や「自分で問いを立てて考える力」です。読書、それも学びたい分野に関するものは、この二つをもっとも自然な形で示せる材料になります。ボランティアのように場所や機会に左右されず、家でも取り組めるという点も、夏休みという時期には向いていると言えるでしょう。

また、読書はまだ「対策の型」が広く出回っていない分野です。もちろん今後、読書対策塾のようなものが出てくれば、いずれ同じように均質化していく可能性はあります。そこは踏まえておく必要があります。加えて、大学の先生、特に文系の先生は本を読むことが仕事の一部であり、膨大な本を読んできた人たちです。ほとんどの先生は、現在の学生が本を読まないことを残念に思っているでしょう。そこに、本をしっかりと読みこんでいる受験生が来たら、それだけでも心をつかむことができると思います。

ただし「読んだだけ」では意味がない

ここで一つ、釘を刺しておきたいことがあります。読書そのものが評価されるわけではない、ということです。何百冊読んだか、有名な本を読んだかどうかは、実はそれほど重要ではありません。大切なのは、その本から自分がどんな問いを持ったか、その問いに対してどう考え、何を調べ、何を行動に移したか、という一連の流れです。

つまり、読書もまた「読んだ」という事実だけを並べれば、いずれボランティアと同じ道をたどります。型化できないのは、活動の種類そのものではなく、そこから生まれる自分だけの思考プロセスなのです。この点を見誤ると、せっかくの読書も差別化にならなくなってしまいます。

夏休み中にできる実践

では具体的に、夏休みの間に何をすればよいのでしょうか。二点にまとめます。

1.学びたい分野に関する本を選ぶ 興味の入り口となる新書や、志望する学部に近いテーマの本から始めるのがおすすめです。難易度が高すぎる専門書よりも、まずは自分の言葉で語れるレベルのものを選ぶほうが良いでしょう。

2.読んだ後に「問い」を言語化する 読みっぱなしにせず、読んで疑問に思ったこと、もっと知りたくなったことをメモに残しておきます。これが、後で志望理由書や面接に落とし込む際の材料になります。

まとめ

以上、ボランティアが差別化になりにくくなってきた背景と、代わりに読書が持つ可能性についてお話ししてきました。大切なのは「ボランティアが悪くて読書が正解」ということではなく、どんな活動であっても、いずれ対策されて均質化していくという構造そのものを理解しておくことです。そのうえで、今の時点でまだ対策されつくしていないものに取り組みつつ、そこから生まれる自分自身の問いや思考を大事にすることが、結果的に一番の差別化になるのではないかと思います。

夏休みという時間のある時期だからこそ、一冊の本とじっくり向き合ってみることをおすすめします。

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8月10日(月)~8月13日(木)は塾がお休みとなっております。お間違いのないようご注意ください。

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【衝撃】芝浦工業大学がここまで難しくなった理由

カテゴリー:ブログ2026.08.02

english_writingみなさんは、芝浦工業大学と聞いてどんなイメージをお持ちでしょうか。保護者世代の方であれば、「理工系では有名だけれど、MARCHより少し下くらいかな」というような印象をおもちの方も多いのではないでしょうか。

そのようなイメージしか持たれていない方は、現在の芝浦を知ると、驚くかもしれません。レベルが上がっているからです。芝浦工業大学は近年、受験生からの人気が高まり、難化が続いています。しかし、今日お話ししたいのは、「偏差値が上がった」ということではありません。

じつは、昔から企業は芝浦工業大学を高く評価しており、受験生がその価値に気づくまで時間がかかった大学だということです。

今日はその理由について、データを交えながら解説していきます。

1.偏差値は原因ではなく結果

最初にお伝えしたいことがあります。それは、偏差値というのは、当然ですが、大学の価値そのものではなく、人気が高くなれば上がる数字だということです。

つまり、企業から評価されると、その情報が受験生に伝わり、志願者が増え、その結果として、偏差値が上がるのです。芝浦工業大学は、この流れがここ10年ほどで一気に進みました。

実は企業評価は昔から高かった

では、本当に企業から評価されていたのでしょうか。じつはそれを示すデータがあります。大学通信が毎年発表している「有名企業400社実就職率ランキング」によると、

2024年度卒業生の実績(2025年7月発表)では、全国総合ランキングで

  • 5位 慶應義塾大学 46.7%
  • 6位 東京理科大学 43.6%
  • 7位 芝浦工業大学 41.2%
  • 9位 早稲田大学 39.1%

となっています。上位には国公立大学や豊田工業大学のような小規模私大も入っているため、私立大学だけに絞ってみると、芝浦工業大学はおおむね3〜4位という結果です(豊田工業大学を私立枠に含めるかどうかで順位が変わります)。

もちろん、この数字だけで大学の良し悪しが決まるわけではありませんが、「有名企業への就職」という観点では、芝浦工業大学は全国トップクラスの実績を持っていることが分かります。つまり、企業は以前から芝浦工業大学を評価していたのです。

2.「最近良い大学になった」は少し違う

「芝浦工業大学は最近急に良い大学になった」というような声を聴くことがありますが、じつは、この表現は少し誤解があるように思います。というのも、企業は昔から芝浦工業大学の学生を採用してきました。

  • 製造業
  • 自動車メーカー
  • 建設会社
  • インフラ企業
  • IT企業

上記のような企業で多くの卒業生が活躍しています。つまり、企業側はずっと芝浦工大生の優秀さを知っていたのです。一方で、受験生の評価はそこまで高くありませんでした。このズレが長い間存在してきたのが、最近になってなくなってきたのではないでしょうか。

ズレがなくなってきたがゆえに、受験生の評価も上がり、結果として偏差値が上がったのです。

3.なぜ受験生は気付いたのか

では、なぜここ数年で人気が高まったのでしょうか。理由は大きく三つあります。

① 就職情報が見える時代になった

昔は、「大学名」だけで大学を選ぶ人も少なくありませんでした。しかし今は、

  • 就職率
  • 就職先
  • 有名企業就職率
  • 大学院進学率

などが簡単に調べられます。受験生自身が卒業生の進路に関してアクセスしやすくなったのです。

② 理系人気の上昇

また、それだけでなく

  • AI
  • 半導体
  • DX
  • 情報工学

などの分野が注目され、理工系全体の人気が高まっています。その中でも、就職実績が強い大学として芝浦工業大学が選ばれるようになってきたのでしょう。

③ 都心キャンパス

それらに加えて、現在の豊洲キャンパスを中心とした学習環境も人気の理由の一つです。保護者世代が持っている芝浦工業大学のイメージとは、ずいぶんと変わったと言えるでしょう。

4.現在の就職力も非常に高い

実際に現在の数字を見ても、芝浦工業大学生の就職は非常に好調です。大学が公表している直近の数字(2024年度卒業生=2025年3月卒業生の実績)では、就職率は99.3%。有名企業400社への実就職率も41.2%と、着実に高い水準を維持しています。こうした数字を見ると、企業からの評価が一時的なものではなく、継続して高いことが分かります。

5.結論

ここまで見ていただくと分かるように、芝浦工業大学は、偏差値が先に上がって評価された大学ではありません。

企業評価

↓

就職実績

↓

受験生の人気

↓

偏差値

この順番だったのです。つまり、偏差値は原因ではなく、結果だった。これが本日、もっともお伝えしたかったことです。